「空気清浄に根拠なし」萬祥株式会社へ措置命令

2021年1月15日、消費者庁は萬祥株式会社に対し同社が供給する「Jaiaile 」に係る表示について景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出しました。同日にNature Linkも措置命令を受けていますが、対応の違いに注意です。

違反行為者の概要

名 称 萬祥株式会社(法人番号 8010501025685)

所 在 地 東京都台東区松が谷四丁目25番3号

代 表 者 代表取締役 塚本 舜也

設立年月 平成18年12月

資 本 金 1000万円(令和3年1月現在)

 

違反行為の概要

自社ウェブサイトにおいて、「花粉除去率99.9%」、「PM2.5除去率99.9%」と表示するなどなどあたかも、 本件商品を身に着ければ身の回りの空間の花粉、PM2.5などの浮遊物を除去し、空気を清浄にする効果が得られるかのように示す表示をしていた。しかし実際には根拠のないものであった。

 

たとえば「Jaiaile パーソナル空気清浄機 日々の空気をよりキレイに」「-ion100万/㎝3」、「花粉除去率99.9%」、「PM2.5除去率99.9%」、「0.5秒ごとに1,000,000/㎝3のマイナスイオンを連続48時間出し続けることが可能、平均一日8時間使用しても、五日間持ちますから、頻繫な充電は要らず、首にかけるだけでいつでも、どこでも、キレイな空気があなたを包み込みます。」等と表示するなどあたかも、 本件商品を身に着ければ、本件商品から発生するマイナスイオンの作 用により、いつでもどこでも、様々な場面で、身の回りの空間の花粉、PM2.5などの浮遊物を除去し、空気を清浄にする効果が得られる かのように示す表示をしていた。

表示に対して消費者庁は合理的根拠の提出を求めた。萬祥は資料を提出したものの、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであったため景品表示法違反(優良誤認表示)として措置命令をだした。

措置命令の内容は次の通り。

ア、一般消費者に対し、実 際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反  するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。

イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。

ウ 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有すること

 

打消し表示もしていたが・・・

萬祥は、「※お使いの環境により誤差が生じますので、ご了承くださ い。」「※実験データであり、実際の使用環境での性能を保証するもので はありません、ご了承ください。」及び「Q:タバコの煙や臭いを完全に 消せますか? A:完全に除去することはできません。」などの打消し表示もしていました。けれども一般消費者が表示から受ける商品の効果の認識になんら影響を及ぼすものではないと判断され、措置命令が出されました。

つまり打消し表示をつけても効能を表示する言い訳にならないということです。

 

萬祥の対応

今回の措置命令を受け、萬祥は以下のように公表しています。

 

・優良誤認と指摘を受けた箇所は「いつでもどこでも」「様々な場所で使える」ところである。

・空気清浄機に関しての検査データはしっかりしているが、消費者庁の見解は実際に使用する環境での検査データではないので、使用する環境での検査データを取ったうえで表記しないと問題であるとの回答。

・「実験データであり、※お使いの環境により誤差が生じます」「実験データであり、※実際の使用環境での性能を保証するものではありません、ご了承ください。」等の打消し表示をしていたが、実際に使用する環境での実験データを取ったうえでの表記出なければ認められないとの処置だった。

・弊社として表記についての見解の相違を疑問点として伝えたが、具体的な回答もなく、今回の措置命令は残念。

弊社の対応として、

・製品としては何ら問題なく今後表記を変更し販売していく。

・実際に使用する環境でのエビデンスデータがない場合は表記なしか、表記する場合は実験データしかない旨、はっきりと分かる表記を会社として周知徹底する。

・今回の措置命令を踏まえ、今後の製品PRには十分注意を払い表示を行う

 

本件のポイント

ポイント

同時に摘発されたNature Linkは、「本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものでした。」「深くお詫び申し上げます。」とするなど措置命令を真摯に受け止め、今後は表示の裏付けとなる合理的根拠の考え方を理解した対応をとっていく姿勢が読み取れます。

他方、萬祥は「弊社として表記についての見解の相違を疑問点として伝えたが、具体的な回答もなく、今回の措置命令は残念」とするなど、措置命令に対して不服があるかのように回答しており、合理的根拠や打消し表示の考え方に納得しているか疑問が残ります。

コロナ渦で空気清浄機の需要は増えていますから、これまで以上に取り締まりが厳しくなることも考えられます。ルールをしっかり理解して表示には細心の注意を払うことが求められます。

 

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@223ciwjy

橋本 駿
貴社の利益を守る法規ライター
2019年開業。現在は法人案件を中心に薬機法や景品表示法といった広告法規が絡むライティングや広告制作、セミナー、研修などを行っている。

ーー
広告規制が厳格化していますが、多くの企業は薬機法しか意識していません。
しかし実は薬機法よりも大事なのが、景品表示法です。
薬機法を守っていても、景品表示法に違反していれば摘発対象になります。

2024年には改正景品表示法が施行され、課徴金の割増規定などが盛り込まれる予定です。

ただ景品表示法はルールが非常に複雑で、弁護士でさえも理解できていないケースが少なくありません。

誤りを発信している弁護士のHPも散見されます(事例については個別相談で)
私は景品表示法をはじめとする広告法務に関して網羅的かつ高い専門知見を持ち合わせています。

ですから万全のコンプライアンス体制で貴社の利益を守ることが可能です。

◆主な実績
・消費者庁に公的文書の誤りを指摘改善させた実績
・景品表示法務検定アドバンス(消費者庁公認、公正取引協議会主催)
・食品の適正表示推進者(薬機法関連指針などを発出する東京都福祉保健局の認定資格)
・その他薬機法民間資格
・上場企業との取引実績多数

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