今回は化粧品で表現できる56の効能効果やルール、「しばり表現」や「特記表示」「乾燥による小じわを目立たなくする」といった表現の注意点などについて解説します。使ってしまいがちなNG表現も紹介していますので、参考にしてください。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
- わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける
をもつ専業薬機ライターが解説します。
化粧品で表現できる効果は56つ!注意点やルールを解説
化粧品で認められる表現は以下の56の範囲内の表現です。
ポイントは次のとおりです。
化粧品効能効果のPOINT:①読みかえは可能
化粧品効能効果のPOINT:②組み合わせも可能
化粧品効能効果のPOINT:③( )内の条件は満たさなければならない
化粧品効能効果のPOINT:④しばり表現に注意
化粧品効能効果のPOINT:⑤日やけを防ぐ効果はUVカット効果のある商品に限る
化粧品効能効果のPOINT:⑥乾燥による小ジワを目立たなくするは試験をクリアした商品に限る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
化粧品効能効果のPOINT:①読みかえは可能
効能効果を超えない範囲で読みかえすることは認められています。
「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】
またそれ以外にも効能効果を超えない範囲で読みかえは認められます。
- (3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ→〇頭皮の健康な状態をキープする
- (13)毛髪の水分、油分を補い保つ→〇髪の毛に油分を与える
化粧品効能効果のPOINT:②組み合わせも可能
また組み合わせることも認められます。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
- →「肌荒れを防いで皮膚をすこやかに保つ」
化粧品効能効果のPOINT:③( )内の条件は満たさなければならない
( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】
とされています。
ややこしい書き方ですが、要するに「()=条件」で、()内に書かれてあることは満たさなければいけませんよ、ということです。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)→
- ニキビ、アセモを防ぐ
- 化粧水でニキビ、アセモを防ぐ
- 成分によりニキビ、アセモを防ぐ
- (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
- (汚れを落とすことにより)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
化粧品効能効果のPOINT:④しばり表現に注意
しばり表現とは、一言一句換えてはならない表現です。承認された効能効果に一定の条件が付いているものは、しばり表現を変えたり省略したりすることは認められません。たとえば以下のようなものが該当します。
(37)日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする
しばり表現のフレーズを変えたり省略したりすることは認められません。
- この化粧品はしみ、そばかすを防ぐ
- 小ジワを目立たなくする美容クリームです。
- 日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ
- 乾燥による小ジワを目立たなくする
注釈で対応するのは認められます。
- この化粧品はしみ(※)を防ぎます(※)日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ
- 小ジワ(※)を目立たなくするクリームです。(※)乾燥による小ジワを目立たなくする
ただしこの場合、注釈は
- 同一視野に
- 目立つように
書かなければなりません。
化粧品効能効果のPOINT:⑤日やけを防ぐ効果はUVカット効果のある商品に限る
- (36)日やけを防ぐ。
- (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
はUVカット効果のある商品しか表現できません。
化粧品効能効果のPOINT:⑥乾燥による小ジワを目立たなくするは試験をクリアした商品に限る
(56)乾燥による小ジワを目立たなくするは「化粧品の効能の範囲の改定について(平成23年7月21日 薬食発 0721 第1号『厚生労働省医薬食品局長通知』)」により追加された効能です。
日本香粧品学会の「化粧品機能評価ガイドライン」に基づく試験等を行い、その効果を確認した場合のみ表現できます。
シワの表現についてはこちらで詳しく解説しています。
化粧品で認められないこと
続いて、化粧品の広告で認められない事項について解説していきます。
特定成分を表示すること
特定成分を表示することは、あたかもその成分が有効成分であるかのような誤解を生じるため、原則として認められません。
ただし、誤解を与えないように表示すれば認められます。特定成分を表現することは「特記表示」といい、ルールがあるので注意が必要です。
特記表示についてはこちらで詳しく解説しています。
最大級の表現又はこれに類する表現をつかうこと
化粧品では効能効果や安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現をつかうことは認められません。
- 「最高のききめ」
- 「無類のききめ」
最大級の表現についてはこちらで詳しく解説しています。
医薬関係者等が推せんすること
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局その他化粧品等の効能効果に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、選用しているといった広告は認められません。
推薦表現や権威付けのテクニックについては、こちらで詳しく解説しています。
他社の製品を誹謗すること
他社製品の誹謗は認められません。
直接的・具体的な誹謗だけでなく、漠然とした誹謗も禁止されている点に注意が必要です。以下のような表現も認められません。
- 他社の製品の品質等について実際より悪く表現するもの
例:「他社の口紅は流行おくれのものばかり」 - 他社の製品の内容について事実を表現するもの
例:「どこでもまだ◯◯式製造方法」
比較広告の制限についてはこちらで詳しく解説しています。
成分の効果や安全性を誤解させること
化粧品の成分やその分量、本質などについて効果や安全性を誤解させることは認められません。
- 安全性の高い成分です
- 高品質の成分です
製造方法やその優秀性を誤解させること
製造方法について実際の製造方法と異なる表現や、その優秀性について事実に反する認識を得させるおそれのある表現をすることは認められません。
また「特許取得」の表現は事実であっても認められません。
特許表示についてはこちらで詳しく解説しています。
効能効果や安全性を誤解させる使用体験談を使うこと
購入者の感謝の言葉や使用体験談は、効能効果や安全性を誤認させるおそれがあるため、原則認められません。
ただし次の範囲であれば認められます。
- 化粧品の広告で使用感を説明する場合
- タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合
「使用感」とは使用方法・使用感・香りのイメージです。
もっとも、使用感のみを特に強調する広告は、消費者に製品の使用目的を誤らせるおそれがあるため認められません。
口コミや使用体験談についてはこちらで詳しく解説しています。
臨床データや実験例を例示すること
一般向けの広告では臨床データや実験例等を例示することは、かえって効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあるため認められません。
「アレルギーテスト済み」等の表現
「アレルギーテスト済」などの表現は、安全性の保証表現にあたり、原則は認められません。
ただし、条件によっては条件によっては使用できます。「アレルギーテスト済」を用いる場合の注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
美白表現
美白効果は化粧品では認められません。ただし、メーキャップ効果としての表現なら可能です。
メーキャップ効果についてはこちらで詳しく解説しています。
低刺激の表現
「低刺激」や「肌に優しい」などの表現は安全性の保証表現にあたり、原則は認められません。ただし、条件によっては「低刺激」や「肌に優しい」などの表現も可能です。
詳しくはこちらで解説しています。
違反事例
ここからは薬機法違反の逮捕事例を紹介していきます。
アフィリエイターが書類送検(2021年3月17日)
2021年3月17日、薬機法違反の疑いでアフィリエイターの男性を書類送検。健康食品のアフィリエイトで「更年期障害、糖尿病、痛風の予防・改善に効く」と紹介しました。
アフィリエイターが逮捕されたことで、話題を呼んだ事例です。
ニキビ治療薬販売の逮捕事例(2022年6月9日)
2022年6月9日 自作のニキビ治療薬を国の承認を受けずに販売したとして化粧品販売会社「コスメエース」社長の河邨(かわむら)弘隆容疑者を医薬品・医療機器法違反(未承認医薬品の販売など)の疑いで逮捕。
法人としての同社も書類送検されました。
スマートフォン向けニュースアプリの逮捕事例(2020年3月19日)
2020年3月19日スマートフォン向けニュースアプリ大手「Gunosy(グノシー)」(東京都港区)の完全子会社「digwell(ディグウェル)」が虚偽広告を制作、配信。外部からの指摘を受けて、内部調査を実施、判明しました。
化粧品や育毛剤などについについて「シミが消えた」などの架空の口コミや関係のない人の写真を使うなどの虚偽広告を制作し、配信していたものです。
手作り石鹸の販売で書類送検(2023年6月6日)
2023年6月6日、ミネラルウオーターを販売していた会社の社長と社員の合計4人が逮捕されました。
未承認の医薬品を販売 医薬品販売会社社長逮捕(2022年8月23日)
2022年8月23日「免疫力が上がる」とうたい、国から承認を受けていない未承認医薬品「スーパープラセンタ」を芦屋市の女性(59)に販売したとして、兵庫県警は東京都の医薬品販売会社社長・小畠俊雄容疑者(47)を逮捕しました。
ステラ漢方事例の逮捕(2020年7月20日)
ステラ漢方が販売する健康食品「肝パワーEプラス」の逮捕事例です。
ステラ漢方の従業員佐野宏樹容疑者(29)、広告代理店のKMウェブコンサルティングの社長佐々木拓道容疑者と町田幸平容疑者、広告業大手のソウルドアウト従業員など関係者計6人の逮捕に及びました。
問題となったのは「肝臓疾患の予防に効果がある」「無敵の肝臓を手に入れる」という表現を使った記事広告です。
違反の内容そのものはよくあるものでしたが、広告主と広告代理店の社員などが同時に逮捕された事例はそれまでほとんどなかったため、ステラ漢方事件は業界に衝撃を与えました。
薬機法上の化粧品のルールをきちんと押さえよう
今回は化粧品で認められる表現や「しばり表現」や「特記表示」などのルール、そのほか注意すべき表現などについて解説してきました。化粧品のルールは薬機法(薬事法)の基本です。しっかりと頭に入れておきましょう。また薬機法(薬事法)上は問題なくても、景品表示法に抵触するケースがあります。
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