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【2021年最新】薬機法改正の内容と実務への影響をどこよりもわかりやすく

薬機法
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2019年11月27日に、薬機法が改正されました。

「誇大広告の厳罰化」や「責任役員の法的位置づけの義務化」など、ヘルスケア業界、特に広告に携わる方なら必ず押さえておくべきポイントがいくつか盛り込まれています。

薬事法管理者の観点から、改正の内要と実務への影響を実務に関わる部分に絞って解説いたします。

はじめにおことわりしておきますが、長いです。(1.5万文字あります)

ただその分網羅性は高いですので

「薬機法の最新の規制について詳しく知りたい」
「専門性を極めたい」

という方にはもってこいの内容となっています(「ctrl」+「F」で検索窓→「💡」で検索すれば要点だけ閲覧できます。)

※スマホの場合
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「細かな改正の内容より、現時点(2021年)での違反行為と罰則をサクッと知りたい!」という方はこちらの記事がおススメです。↓

【体系的に理解したい人向け】結局のところ薬機法では何が禁止で違反したらどうなるのか?
薬機法で禁止されている行為は大きく「1医薬品的な効果効能をうたう=未承認医薬品の広告(第68条)」「大げさな表現を使う=誇大広告(第66条)」「医薬品でないものを医薬品として売る、貯蔵する、授与する=未承認医薬品等の販売、授与(第14条1項、9項、第55条等)」です。違反した場合の罰則は、未承認医薬品の広告、誇大広告については「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰併(または併科)」未承認医薬品等の販売、授与は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(または併科)」です。違反しないためのポイントは「どうとでも解釈できる=言い逃れできるような」表現を用いる
【2021年】医薬品等適正広告基準|最重要ポイント14個を分かりやすく解説
医薬品等適正広告基準が最後に改正されたのは2017年9月です。本改正では誇大広告に関連する項目は総じて厳格化しています。一方で緩和されている部分も多く、より実務に即した内容に調整されたといえるでしょう。たとえば大きな改正点としては「○○専門」など特定の年齢性別が表示可能になった」「一定の条件を満たした場合ビフォーアフターの掲示が可能になった」「併用表現の除外規定が明確化した」などが

 

改正の理由は?

薬機法は、2014年の薬事法改正で名称変更となった法律です。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性を確保することを目的としています。

施行後5年を目途に、改正後の実施状況を勘案し必要に応じて見直すことが定められていたため、今回の改正に至っています。

 

改正の目的は大きく次の2点です。

  1. 優れた医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供すること
  2. 患者が住み慣れた地域で安心して医薬品を使えるような環境を整備すること

国民のニーズに応える優れた医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するとともに、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができる環境を整備するため、制度の見直しを行う(引用元:. 医薬品医療機器等法等の改正について 厚生労働省)

 

💡改正のテーマは大きく次の3点です。

  1. 高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善
  2. 薬剤師・薬局のあり方の見直し
  3. 信頼確保のための法令遵守体制などの整備

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

背景

医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者がほとんどないために研究開発が少ない医薬品などがあることは1990年代前半から問題となっていました。そこで

  • 1993年に「希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器25の指定制度」
  • 2015年に「先駆け審査指定制度」
  • 2017年に「条件付き早期承認制度」

がそれぞれ導入されました。

 

しかしいずれも厚生労働省の出す「通知」に基づく制度であったため機能しないケースがしばしばあり、法律に基づく制度とすることが求められていました。

 

医療機器の導入・改良には承認が必要ですが、継続的な改良が求められる医療機器も存在します。つまり承認を必要とする制度では対応できないのです。

 

そこで、今回の改正ではこれらの課題をクリアーするための制度の導入を「Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度」という形で示しました。

 

💡Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度の概要

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化

b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入

c添付文書の電子的方法による提供の原則化

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化

 

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

<背景>

・医療上の必要性が高いにもかかわらず、開発が進みにくい医薬品などの存在
・グローバル化の進展

 

医療上の必要性が高いにもかかわらず、開発が進みにくい医薬品があります。たとえば希少ガンや難病といった患者数が少ない病の治療薬などです。

 

また海外では承認されていても国内では承認されていない国内未承認薬や、国内では適応外となる薬があります。たとえば新型コロナウィルスの治療薬「レムデシベル」も当初日本では承認されていませんでした。

 

5月7日に国内でも承認されましたが、それは米国食品医薬品局(FDA)が使用を承認したことで特例承認制度(薬機法第14条3)が適用されたからです。特例承認制度の適用には厳しい要件がありいつでも適用されるわけではありません。国内でも画期的な医薬品を早期に承認できる制度つくりが必要です。

 

新薬開発の成功確率は約1/25,000といわれ、一つの薬を開発するのに10年~15年程度を要します。開発が断念されるケースも少なくありません。

 

つまり効率的かつ合理的な制度構築が求められます。

 

💡そこで今回の改正で次の2つの制度がが法制化されることとなりました。

  1. 先駆け審査指定制度
  2. 条件付き早期承認制度

1先駆け審査指定制度の法制化

 

先駆け審査指定制度とは💡先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて開発され、早期の治験段階で著明な有効性が見込まれる医薬品などを指定し、優先審査などの対象とする仕組みです。2015年に厚生労働省の通知に基づき導入されました。

これまでも制度自体はあったのですが法律ではなく通知(※1)によって運用されてきました。
改正法施行後は、「先駆的医薬品など」と「特定用途医薬品など」として法定されることになります。(改正薬機法2条16項)

 

(※1)平成27年4月1日薬食審査発0401第6号「先駆け審査指定制度の試行的実施について」

 

先駆的医薬品や特定用途医薬品に指定されるとどうなる?

先駆的医薬品や特定用途医薬品に指定されると、具体的にどうなるのでしょうか。薬機法では以下のように規定しています。

厚生労働大臣は、決の各号のいずれにも該当する医薬品又は医療機器につき、製造販売をしようとする者(本邦に輸出されるものにつき、外国において製造等をする者を含む。)から申請があったときは、当該申請に係る医薬品又は医療機器を希少疾病用医薬品又は希少疾病用医療機器として指定することができる。(第77条の2)

国は、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品並びにその用途に係る対象者の数が本邦において厚生労働省令で定める人数に達しない特定用途医薬品、特定用途医療機器及び特定用途再生医療等製品の試験研究を促進するため必要な措置を講ずるものとする(第77条の4)

 

つまり先駆的医薬品に指定されると

先的に審査を受けられる

特定用途医薬品に指定されると

税制上の優遇措置が受けられる
・助成金が交付される

ということです。

改正内容

💡厚生労働大臣は、

  1. 日本・外国で承認を与えられている製品と作用メカニズム等が明らかに異なる
  2. その用途に関し、特に優れた使用価値を持つ

の2つを満たした医薬品について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて先駆的医薬品、先駆的医療機器又は先駆的再生医療等製品に指定します。

→「これまでにない優れた医薬品は先駆的医薬品などに指定し、優先審査などの対象としますよ」ということです。

 

💡また厚生労働大臣は、

その用途が特定の区分に属する疾病の治療等であること
当該用途に係る医薬品等に対するニーズが著しく充足されていないこと
その用途に関し特に優れた使用価値を持つこと

の3つを満たす医薬品について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、特定用途医薬品、特定用途医療機器又は特定用途再生医療等製品に指定します。

 

→「なかでも特定の条件を満たしたものは特定用途医薬品などに指定し、助成金などの対象としますよ」ということです。

 

先駆け審査制度には、付帯決議が定められています。

 

【付帯決議】

・先駆け審査制度において、指定を受けた後に要件を満たさないことが明らかになった場合には、速やかに指定を取り消すこと。

・先駆け審査制度により製造販売承認を受けた抗インフルエンザ薬について、耐性ウイルスを発生しやすいことが指摘されていることから、その有効性、安全性等の状況を監視すること。

2条件付き早期承認制度の法制化

 

条件付き早期承認制度とは

💡条件付き早期承認制度は患者数が少ないなどにより治験に長期間を要する医薬品などを、一定の有効性・安全性を前提に、条件付きで早期に承認する仕組みです。ここでいう条件とは製造販売後の、検証的臨床試験等以外の臨床研究による有効性・安全性の再確認等を指します。

 

 

本来であれば医薬品の用法・用量等を設定するためには、対象となる医薬品を「相当数の治験」で「多数の患者」に投与・使用し、有効性・安全性を検討することが必要になります。

 

けれども患者の数が少ない病気では実現は難しいですよね。

 

そこで2013年の薬事法改正において「条件及び期限付き承認制度」が導入され、2017年の通知ではその制度の対象を広げました。

 

ただ条件付き早期承認制も先駆け審査指定制度と同じく法制化されておらず、通知(※2)によって運用されてきました。今回はこれを法制化したものになります。

 

(※2)「医薬品の条件付き早期承認制度の実施について(平成29年10月20日薬生薬審発1020第1号)」「革新的医療機器条件付早期承認制度の実施について(平成29年7月31日薬生発0731第1号)」

 

改正内容

💡1製造販売の承認審査過程における特例

厚生労働大臣は、

  1. 医療上特にその必要性が高いと認められる場合
  2. 検証的臨床試験の実施が困難である等の場合

の2つを満たす場合は、臨床試験の試験成績に関する資料の一部の提出を要しないとすることができます。

 

→「臨床試験の実施が困難なケースでも承認をおこなうために、必要な場合、提出する臨床試験データの省略を認めますよ」ということです。

 

💡製造販売承認への条件付与

また厚生労働大臣は、

使用の成績に関する調査の実施、適正な使用の確保のために必要な措置の実施等の条件を付して、製造販売の承認をすることができるものとされます。

 

→「ただし、安全性の問題から、製造販売には条件をつけますよ」ということです。

条件付き早期承認制度にも、付帯決議が付されています。

 

付帯決議

・条件付き早期承認制度の対象となる医薬品等の適応疾患について、

  1. 命にかかわる疾患
  2. 症状の進行が止められず日常生活に著しい影響を及ぼす疾患
  3. 希少疾病

といった重篤なものや、申請時に有効な治療法が確立していないものを中心とすること。また、ワクチンを含む予防薬について、条件付き早期承認制度の対象としようとするときは、特に慎重に検討すること。

 

・条件付き早期承認制度により製造販売の承認をした場合は、速やかに有効性・安全性を再確認するために厳格な製造販売後調査等を実施すること。

また、承認を受けた医薬品・医療機器の使用に際しては、一定程度の有効性及び安全性が確認されたものにとどまることから、製造販売後に再確認を必要とするものであることについて、患者に対して適切な情報提供がなされるよう努めること。さらに、承認を受けた医薬品等の評価に係る調査等結果の提出期限については、実施に必要な最低限の期間を品目ごとに定めること。

 

・条件を満たさなくなった場合には、速やかに承認の取消し又は承認事項について変更を命ずること。

💡先駆け審査指定制度および条件付き早期承認制度の法制化の施行期日は令和2年9月1日です。

「先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化」によって何がどう変わった?

✓世界に先駆けて開発され、治験段階の早期で高い有効性が見込まれる医薬品などを優先審査する「先駆け審査指定制度」が法制化された。

✓これにより国際的規制調和が前進した。

✓難病など患者数の少ない疾患に対する医薬品を条件付きでスピーディに承認する「条件付き早期承認制度」が法制化された。

✓これにより医療上の必要性があるにもかかわらず治験が難しいなどの理由で開発が進められなかった医薬品などの開発ができるようになった。

 

b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入

 

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

<背景>

・医療機器の改良・改善に承認を必要とする現行の制度では変化し続ける医療機器の改善、改良に対応できない

医療機器にも

  • 医療用ガーゼ
  • 血圧計
  • MRI

など様々なものがあり、特性を踏まえた規制が必要です。

たとえば「一般医療機器」に分類される医療用ガーゼやピンセットなどは、不具合が生じても人体へのリスクが低いため、導入に承認はいりません。しかし「高度管理医療機器」に分類されるペースメーカーや冠動脈ステントなどは、不具合が生じた場合、人体へのリスクが大きいので大臣の承認を必要とします。

 

従来は医療機器の改良・改善には承認が求められました。

必要なデータがすべて集まってから改良改善の申請をし、審査を経て認可されればようやく改良、というながい工程を踏む必要があったわけです。

 

 

しかし医療機器のなかには、絶えず改良・改善が想定されるものもありますし、AIのように初回承認から性能等が常に向上し続けるプログラムが組み込まれているものもあります。

 

このような変化し続けることがあらかじめ明確な医療機器については変更に承認を必要とする制度では対応できないとの指摘がありました。

 

💡そこで改正法ではあらかじめ改良が見込まれている医療機器について、継続した改良を可能とする承認審査制度が導入されました。

 

【改正前】

継続的な改良・改善に対しては、その変更による製品への影響の度合いに応じ、

臨床試験が必要な一部変更承認(薬機法23条の2の5第11項)
非臨床試験で評価可能な一部変更承認(薬機法23条の2の5第11項)
または
軽微変更届で対応(薬機法23条の2の5第12項)

が原則

 

改正内容

審査

💡計画に従った変更をおこなう日の一定日数前までに届け出れば、承認を得ずに変更可能に

改正法施行後は、医療機器などの承認を受けた者は、承認事項のうち性能、製造方法などの変更に関する計画について厚生労働大臣の確認を受けることができ、確認を受けた者は、当該計画に従った変更をおこなう日の一定日数前までに届け出れば、承認を得ずに変更できるようになりました。(改正薬機法23条の2の10の2第6項)

 

💡継続した改良を可能とする承認審査制度の導入の施行期日は令和2年9月1日です。

 

「医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入」により何がどう変わった?

✓計画を事前に届け出ることで、承認を得ずに医療機器の性能、製造方法などの変更ができるようになった。

✓これにより、絶えず改良、改善が想定される医療機器にも対応できるようになることが期待される。

参考:新医療機器等と改良・後発医療機器の区分および審査内容の違いについて|医薬品医療機器総合機構

c添付文書の電子的方法による提供の原則化

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

<背景>・紙の添付文書では迅速な情報伝達ができない
・紙の添付文書は資源の無駄になる

 

添付文書とは、医薬品や化粧品の箱に入っている警告や使用上の注意、その他の重要事項などを記載した文書を指します。一般消費者向けの「使用上の注意」などの説明書ではなく、医療関係者が処方や調剤のために確認するものです。

 

 

従来の紙の添付文書では迅速な情報伝達ができない問題点がありました。


 

たとえばとある医療機関が2020年3月に、医薬品A を仕入れたとしましょう。そして2か月後の2020年5月に添付文書の内容が改訂されたとします。

 

すると、2020年5月以降に新しく医薬品A を仕入れるまで、医療機関にある在庫品は納入した時点(2020年3月)のものです。つまり添付文書の内容も改訂前のままです。重要な事項が改訂されていたとしても手元にある添付文書には反映されていないため対応できません。

 

そう、紙の添付文書ではタイムラグが生じる問題があったのです。添付文書は頻繁に改定されるのでこうした事態は十分に起こり得ます。

 

その他紙の添付文書は資源浪費につながるとの声もあり、添付文書の電子的方法による提供が原則化が決定しました。

 

改正内容

💡添付文書情報の電子化が原則に

施行後は添付文書情報を電子化し、容器や外箱などの被包に、最新の注意事項など情報にアクセスするための番号や記号、その他符号を記載すること、注意事項など情報の提供をおこなうために必要な体制の整備をおこなうことが求められます。(改正薬機法52条1項、63条の2第1項、65条の3、68条の2、68条の2の2)

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 

※なお一般用医薬品などの消費者が直接購入する医薬品は、使用時に添付文書の情報の内容を直ちに確認できる状態を確保する必要があるため、紙媒体の同梱はこれまで通りおこなわれることになります。

💡添付文書の電子的方法による提供の原則化の施行期日は令和3年8月1日です。

 

「添付文書の電子的方法による提供の原則化」により何がどう変わる?

✓医薬品の添付文書の電子化が原則化されることが決定した。

✓これにより使用者への情報伝達のタイムラグを解消できる。

✓ペーパーレス化にも繋がることが期待される。

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

背景

医薬分業の適正化の必要性

薬剤師・薬局の役割は、近年大きく変化してきており、ここ数年は薬剤師の取り組みが問われています。それに対し行政として

 

  • 医薬分業
  • 健康サポート薬局のスタート
  • 調剤報酬改定

など、様々な機会を通じて方向性を示してきました。

 

とりわけ2015年10月23日、厚生労働省により「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~ 」が発表されてからは、医業分業が推し進められてきました。

 

医業分業とは

出典:転職グッド

医業分業とは薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師、薬剤師という専門家が分担しておこなうことです。医薬分業ともいいます。

昔は医師が処方をおこないそのまま院内で薬を処方する形がとられていました。この形態は患者にとってはかかりつけ医から直接もらえる安心感や一か所で済む利便性などはあります。

 

けれども薬材料で生計を立てていた医師が多かったため、過剰投薬などのいわゆる「薬漬け医療」の問題が生じるようになりました。

また「医業分業」であっても、大規模病院の敷地内や周辺に出店した新興調剤薬局などによる医師へのリベート供与などの問題も起こりました。

 

そこで厚労省では平成5年(1993年)に「薬局業務運営ガイドライン」を発出し、薬局の在り方などに厳格なルールをもうけたのです。以後、医業分業が急速に進むこととなります。

 

医業分業は進みましたが、一方で問題も出てきました。

薬の処方と調剤別々におこなえば、人件費などのコストが増えます。差額はそのまま薬の価格に上乗せされるので、患者にしわ寄せがくるわけです。

 

もちろん経済的負担増に見合うだけのサービス向上を患者が実感できていれば問題はありません。けれども現実はそうではなく、「患者が医業分業のメリットを実感できていない」との指摘がありました。

 

そこで今回の改正では「患者の立場になった、患者中心の医業分業」つまり患者をどう支えていくかということを、薬剤師・薬局のあり方の見直しというかたちで示しました。

具体的には以下の3点です。

「Ⅱ薬剤師・薬局のあり方」の概要

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)

b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入

cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

参考:中央社会保険医療協議会 総会(第 417 回) 議事次第 令和元年6月26日(水) 9:00~ 於 厚生|厚生労働省

「医業分業の欠点」にかかる政府の今後の展望に関する質問に対する答弁書:答弁本文

第140国会-衆議院予算委員会第四分科会-1号

医薬分業政策の評価と課題

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)

薬剤師

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

<背景>

高齢化の進展による多剤投与とその副作用の懸念の高まり

高齢化が進むにつれて、多くの薬を服用しなければならない患者が増えています。

厚生労働省が令和元年6月26日に発表した「医薬品の効率的かつ有効・安全な使用に ついて」によると70代で約6割、80歳以上で約7割の患者が、6種類以上の薬を服用しています。

 

1日当たりの服薬量

出典:医薬品の効率的かつ有効・安全な使用に ついて|厚生労働省

服用する薬が増えると、それだけ飲み合わせの副作用リスクも増大することとなります。飲み忘れ重複服薬の危険性もあります。

 

つまり在宅で患者を支える薬剤師・薬局の機能の強化が求められていたのです。

改正内容

💡薬剤師による服薬指導義務などの法制化

改正法試行に伴い、薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務などが法制化されることとなりました。(改正薬機法9条の4第5項、36条の4第5項)

💡薬剤師による服薬指導義務などの法制化の施行期日は令和2年9月1日です。

参考:医薬品の効率的かつ有効・安全な使用に ついて|厚生労働省

 

「薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)」により何がどう変わる?

✓薬剤師の服薬サポートが法制化される。
✓これにより、患者の飲み忘れや重複服薬、飲み合わせの副作用などを防止し患者が安全・安全に暮らせるようになることが期待される。

b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

疲れてきましたか?今で半分くらいです。

 

<背景>

・医薬分業の効果を患者が実感できていないという指摘(患者が自分に適した薬局を選ぶための仕組みの必要性)

・外来で治療を受けるがん患者の増加

 

医療機関の周りにはいわゆる門前薬局が数多くあり、処方箋を持っていけばどの薬局でも薬を受け取ることができます。しかし薬局によって窓口での支払額やサービスに差が出るのが実際です。

 

健康にかかわる問題なので費用だけではなく、サービスなども含めて総合的に判断しなければなりません。そのため患者が自分に適した薬局を選ぶための仕組みが必要とされていました。

 

また、がん等の専門的な治療が求められる病気に対しては特殊な調剤への対応、退院時の支援などの、より丁寧な薬学的管理が求められます。このような状況に適切に対応するためには、

 

  1. 専門性が高く実践的な経験を持つ医療機関の薬剤師
  2. 地域の実情に応じて一定の資質を持つ薬局薬剤師が医療機関の薬剤師等と連携しながら対応できる体制

 

が必要です。

 

こうした課題をクリアするために、改正法では患者が自身に適した薬局を選択できるような制度設計をしました。

 

改正内容

💡改正法施行後は、患者が自身に適した薬局を選択できるよう、機能別薬局として、「地域連携薬局」および「専門医療機関連携薬局」に関し、都道府県知事による認定制度(名称独占)が導入されることになります。(改正薬機法6条の2、6条の3)

 

地域連携薬局入退院時や在宅医療に他医療提供施設と連携して対応できる薬局
専門医療機関連携薬局…がんなどの専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応できる薬局

 

💡施行期日は令和3年8月1日です

「特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入」により何がどう変わる?

✓がんなど専門的な薬を必要とするケースとそうでないケースそれぞれに対応できるよう、「地域連携薬局」および「専門医療機関連携薬局」に都道府県知事による認定制度が令和3年8月1日より導入される。

✓これにより、患者が自身に適した薬局を選択できるようになる。

※認定制度は「名称独占」であり、都道府県知事に認定された薬局のみがその旨を表記できます。

cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

 

 

医師による診療行為については、一定の条件の下で遠隔でも認められてきていました。けれども薬の処方時におこなわれる薬剤師による服薬指導は、対面によりおこなうことが明記されていて、テレビ電話などを使用して服薬指導をおこなうこと(いわゆるオンライン服薬指導)は認められていませんでした。

 

改正内容

💡オンライン服薬指導が可能に

対面義務の例外としてテレビ電話などの通信によって服薬指導をおこなうことが可能になりました。

具体的な手段については、厚生労働省令において以下のように定められています。

「映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるもの(改正薬機法9条の3第1項)」

 

ただし、どんなケースでもオンライン服薬指導が実施できるわけではありません。

改正薬機法9条3第1項を受けて令和2年3月27日付で公布された改正省令により薬機法施行規則15条の13第2項が新設され、以下の条件が付されました。

 

【オンライン服薬指導を実施する条件(薬機法施行規則15条の13第2項追加分)】

1.「薬局開設者が、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、同一内容又はこれに準じる内容の処方箋により調剤された薬剤について、あらかじめ、対面により、当該薬剤を使用しようとする者に対して法第九条の三第一項の規定による情報の提供及び指導をおこなわせている場合におこなわれること(薬機法施行規則15条の13第2項1号)」

→「薬を販売・授与をする薬剤師が、患者に対してあらかじめ対面調剤薬についての情報提供・指導をおこなっている必要がありますよ」ということです。

 

2.「薬局開設者が、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、同一内容又はこれに準じる内容の処方箋により調剤された薬剤について、あらかじめ、対面により、薬剤を使用しようとする者に対して服薬指導をおこなわせている場合におこなわれること(薬機法施行規則15条の13第2項2号」

→「薬を販売・授与をする薬剤師が、患者に対してあらかじめ対面で調剤薬についての服薬指導をおこなっている必要がありますよ」ということです。

 

3.「次に掲げる事項を定めた服薬指導計画に従っておこなわれること(薬機法施行規則15条の13第2項3号 )

(ⅰ) オンライン服薬指導で取り扱う薬剤の種類及びその授受の方法に関する事項
(ⅱ) オンライン服薬指導並びに対面による服薬指導の組合せに関する事項
(ⅲ) オンライン服薬指導をおこなうことができない場合に関する事項
(ⅳ) 緊急時における処方箋を交付した医師又は歯科医師が勤務する病院又は診療所その他の関係医療機関との連絡体制及び対応の手順に関する事項(
ⅴ) その他オンライン服薬指導において必要な事項

 

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則等の一部を 改正|厚生労働省

 

 

このように要件が課されていて、どんなケースでもオンライン服薬指導が可能なわけではない点に留意が必要です。

💡オンライン服薬指導制度の施行期日は令和2年9月1日です。

コロナのオンライン診療は特例措置

施行期日の令和2年9月1日以前にもオンライン診療を認めるとした通知があります。

「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」の2.薬局における対応 (2)電話や情報通信機器を用いた服薬指導等の実施についてのなかに

「新型コロナウイルス感染症の拡大防止等のため、全ての薬局において、薬剤師が、患者、服薬状況等に関する情報を得た上で、電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を適切におこなうことが可能と判断した場合には、当該電話や情報通信機器を用いた服薬指導等をおこなって差し支えないこととする」との記載があります。

 

ですがこの通知は“新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関の受診が困難になりつつあることに鑑みた一時的な対応として”出されたものであり、あくまでも緊急措置です。

つまり、本改正におけるオンライン服薬指導制度の開始は、患者の負担を大幅に減らし得る非常に意義深いものとなります。

参考:新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の 時限的・特例的な取扱いについて|厚生労働省

 

「テレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入」により何がどう変わった?

✓条件を満たせば、オンライン服薬指導ができるようになった。
✓これにより、患者は薬局や医療施設に通わずに服薬指導を受けられるようになった。

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

背景

 

  • 製造販売業者の製造販売や品質保生、安全管理などの法律上の位置づけが不明確で連携がうまくいかず法令遵守のための体制が機能していない
  • 薬機法違反事案の多くは製造販売業者等の経営陣が法律上の問題点を把握していない、あるは把握していても適切な対応が取れないことに起因するものである

 

現行の制度下でも、コンプライアンスの徹底のために研修を開いたり、社内規定をつくるなどの努力をしている企業はあります。しかし多くにおいて製造販売、品質保証、安全管理などにおける責任者の法律上の位置づけが不明確です。

 

そのため部門間の連携がうまくいかず、法令遵守のための体制が機能していないところが少なくないのが実際です。

そして薬機法違反事案の多くは以下の点に原因があります。

 

  1. すべての業務決定を下す経営陣がそもそも法律上の問題点を把握していない
  2. あるは把握していても適切な対応が取れない

 

そこでコンプライアンスのための整備義務や違反を減らすための制度の導入などを「信頼確保のための法令遵守体制などの整備」という形で示しました。具体的には次の3点です。

「Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備」の概要

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け

b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化

c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け

法律

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

もう少しです!

<背景>

  • 責任役員の法律上の位置づけがあいまい
  • 法令遵体制整備等の責任の所在が不明確
  • 製造販売業者等の経営陣が法律を理解していないことによる違反事例の増加

 

薬機法では、これまでも製造販売業者に対して

「総括製造販売責任者」
「品質保証責任者」
「安全管理責任者」

の設置を義務付けてきました。

 

他方、これらの職務を担う者の組織内での立場や責務、経営陣との関係については、明確に定められていませんでした。

 

それゆえ、

  • 技術責任者による意見申述が適切におこなわれない
  • 法令遵守のための改善サイクルが機能しない

 

という社内構造上の問題があったのです。くわえて、法令遵守やそのための社内体制整備等の責任の所在が不明確であることもかねてより課題になっていました。

 

また近年薬機法違反が増加していますが

  • 製造販売業者等の経営陣が法律上の問題点を把握していないこと
  • 問題点に対して製造販売業者等が適切な対応をおこなっていないこと

が違反の根本原因になっているケースが少なくありません。

 

違反を減らすには次のようなことが必要です。

  1. コンプライアンスのための社内規定を整備すること
  2. 研修などを通じてすべての従業員に社内規定や法令順守の重要性を周知させること

 

そこで本改正では次の旨の規定が設けられました。

  1. 薬事に関する業務に責任を持つ役員」を法律上の位置づけ、それを許可申請書に記載しなければならない(改正薬機法12条2項2号)
  2. 総括製造販売責任者製造管理者を設置する(改正薬機法17条3項)
  3. 「製造販売業者・製造業者にコンプライアンス上の問題点を把握し、解決するための措置(記録体制の整備社内規定の作成・周知など)の実施を求める」(改正薬機法18条の2第1項)
  4. コンプライアンス体制の整備が不十分な場合に、製造販売業者・製造業者に対して改善を命ずる権限を厚生労働大臣に付与する(改正薬機法72条の2の2)

1「薬事に関する業務に責任を持つ役員」の法律上の位置づけ、許可申請書への記載義務化(改正薬機法12条2項2号)

契約書

💡「薬事に関する業務に責任を持つ役員(以下責任役員)」の法律上の位置づけが義務化され、許可申請書にもこの役員名を記載しなければならなくなります。

 

製造販売業者・製造業者の法令遵守に責任を持つ者を明確にするため、「薬事に関する業務に責任を持つ役員」を法律上位置付けるとともに、許可申請書記載事項とする(改正薬機法12条2項2号)

 

「責任役員」は、取締役であり、執行役員は含まれないとされています。

💡許可等業者における法令遵守体制の整備に関する規定の施行期日は令和3年8月1日です。

2総括製造販売責任者と製造管理者の設置(改正薬機法17条3項)

総括製造販売責任者と製造管理者を設置し、意見申述をしなければならなくなります。

 

総括製造販売責任者・製造管理者による、製造販売業者・製造業者に対する意見申述義務を法律上規定する(改正薬機法17条3項)

 

💡改正法施行後は「総括製造販売責任者」「製造管理者」の設置が義務付けられます。総括製造販売責任者と製造管理者は、法令遵守に必要な能力と経験を持つことが必要とされています。

 

また💡総括製造販売責任者・製造管理者は品質管理等を適切におこなうため、業者に対して書面で意見申述する法律上の義務が生じます。業者は総括製造販売責任者と製造管理者の意見をが聞き、責任役員はそれ応じた措置をとらなければなりません。

💡「総括製造販売責任者」「製造管理者」の設置が義務付けの施行期日は令和3年8月1日です。

3製造販売業者・製造業者に、コンプライアンス上の問題点を把握し、解決するための措置の実施を求める(改正薬機法18条の2第1項)

 

製造販売業者・製造業者に、業務が法令を遵守して適正におこなわれるために必要な社内規程等の整備、教育訓練等を通じた当該社内規程等の周知・徹底及び従業者が行った業務の内容が適時かつ正確に記録されるための体制等の整備を求める(改正薬機法18条の2第1項)

 

コンプライアンス上の問題点を把握し、解決するための措置の実施が求められるようになります。

社内規程等の整備

たとえば、薬機法遵守のための社内規程等の仕組み作りです。

ex.

  • 薬機法に関する知識共有体制
  • 未承認医薬品に該当する製品を作らないための確認体制
  • 販売前のチェック体制

 

教育訓練等を通じた当該社内規程等の周知・徹底

ルールを作っただけでは意味がありません。

セミナーや研修会、社内勉強会などで、作成した社内規定を周知・徹底することも求められます。

 

従業者が行った業務の内容が適時かつ正確に記録されるための体制

作業、出納、通信記録の保全など従業員が「いつどこで、どんな業務をおこなったか」を記録できる体制作りも求められます。

 

💡コンプライアンス上の問題点を把握し、解決するための措置の実施が求められるようになります。

💡コンプライアンス遵守の体制の整備に関する規定の施行期日は令和3年8月1日です。

 

4コンプライアンス体制の整備が不十分な場合に、製造販売業者・製造業者に対して改善措置を命ずる権限を厚生労働大臣に付与する(改正薬機法72条の2の2)

リサーチ

💡厚生労働大臣が整備が不十分な業者に対して、改善命令をおこなうことができるようになります。

法令遵守のための整備が不十分な場合に、製造販売業者・製造業者に対して改善に必要な措置を講ずべきことを命ずる権限を厚生労働大臣に付与する(改正薬機法72条の2の2)

 

対象は、医薬品や医薬部外品の製造販売業者や薬局などだけではなく、医療機器の製造販売業者、製造業者、もしくは配置販売業者や卸売業者にも及びます。

💡施行期日は令和3年8月1日です。

 

「薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け」により何がどう変わる?

✓「薬事に関する業務に責任を持つ役員」の法律上の位置付けがなされる。

✓それぞれの担う役割や相互関係が明確になるとともに、意見交換が促進され、コンプライアンスに繋がることが期待される。

✓製造業者や製造販売業者には法令遵守ための社内規程等の整備やその周知などコンプライアンスの体制整備を求め、整備が不十分な業者には厚生労働大臣が改善命令を出せる旨を定めた。

✓これによりコンプライアンスの体制が整い法を遵守した企業運営に繋がることが期待される。

b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

最後のひと踏ん張りです!

<背景>

  • 承認書と異なる製造方法による医薬品の製造販売
  • 医療用医薬品の偽造品の流通
  • 虚偽の申請により受けた薬監証明※に基づく未承認医療機器の輸入事案
  • 同一開設者の開設する薬局間における処方箋の付け替え

 

薬機法では、これまでも製造販売業者に

※薬監証明とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器を海外から輸入する際通関で必要となる書類のひとつ。

日本では承認されていない「日本未承認医薬品」の輸入がかねてより問題視されていました。
実は未承認医薬品の輸入にも一定のメリットはあります。

たとえば、国内では承認されていないが、海外では承認されている治療薬があった場合、輸入し投与することで患者は助かるかもしれません。

ですが実態は転売目的での輸入がほとんどを占め、偽造医薬品の流通も多い(※3)のが現状です。なかには重篤な副作用をひきおこした事例も存在します。

 

違法な輸入や偽造医薬品の流通は、これまでも薬監証明制度(未承認医薬品・医療機器等の輸入に関する監視の確認制度)によって取り締まられていました。ですが、法制化されていない状態だったため薬機法上の取り締まりが困難でした。

 

💡そこで本改正で薬監証明制度が法制化されました。今後は薬機法に基づく指導・取締りがおこなわれることとなります。

(※3)平成31年3月8日に税務省が発表した(平成 30 年の税関における知的財産侵害物品の差止状況)によれば、税関による医薬品の知的財産侵害物品の輸入差止めは90万点を超え、多くの偽造医薬品が輸入される状態が続いています。

参考:偽造医薬品への取り組み - 製薬企業の立場から -|厚生労働省

偽造医薬品対策|偽造医薬品対策|グローバルヘルス|日本製薬工業協会

偽造医薬品問題―日本と海外― Counterfeit Medicines―Japan and the World―|J-Stage

 

「国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化」により何がどう変わる?

✓薬監証明制度を法制化することで、偽造品など違法な医薬品の輸入や製造販売、流通を薬機法で取り締まりできるようになります。

✓これにより違法な医薬品の輸入や製造販、流通を減ずることが期待されます。

c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

Ⅰ高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器などを迅速に患者に届ける制度改善

 

a先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化
b医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入
c添付文書の電子的方法による提供の原則化

 

Ⅱ薬剤師・薬局のあり方の見直し

 

a薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化(服薬サポート)
b特定の機能を持つ薬局の認定・表示制度の導入
cテレビ電話等による遠隔服薬指導(オンライン服薬指導)の導入

 

Ⅲ信頼確保のための法令遵守体制などの整備

 

a薬機法の許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付け
b国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
c虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入

<背景>

  • 虚偽・誇大広告違反の罰金が少なく、抑止力にならない
  • 薬機法上の業許可を持たない事業者に対しては行政処分ができない
  • やり得の甘受

 

さあ、ヘルスケアビジネスにとって今回改正の本丸となる部分です。

現行の法律でも広告に違法性があった場合には、刑事処分や行政処分で処分がおこなわれます。しかし違法な広告で得た収益は、罰を受けても違反事業者の手元に残ってしまうという問題点があります。

 

つまり”やり得”を許してしまっている状態です。

 

また現行の法律では虚偽・誇大広告に違反した場合の罰金は個人・法人ともに200万円以下とされていることから抑止力がいまひとつ利きません

 

薬機法上の業許可を持たない事業者によりおこなわれる違反事例に関しては、許可の取消しや業務停止命令といった行政処分を課せられないため抑止効果が働きにくいという問題もあります。

こうした背景から、今回課徴金制度の導入が決定されました。

改正内容

💡売上額の4.5%の課徴金制度が導入される

改正法では医薬品、医療機器などの名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽・誇大な広告 (課徴金対象行為)を行った者に対し、違反行為をおこなっていた期間(3年間を上限とする)中における対象商品の売上額の4.5%を課徴金額とし、課徴金納付命令をおこなわなければならない旨の規定が設けられました (改正薬機法66条1項、75条の5の2第1項、第2項)。

 

💡課徴金制度導入の施行期日は令和3年8月1日です。

 

ただし例外規定も設けられています。

課徴金の例外規定
  1. 業務改善命令などの処分をする場合で、保健衛生上の危害の発生・拡大への影響が軽微である場合などには課徴金納付命令をおこなわないことができる(改正薬機法75条の5の2第3項1号)
  2. 課徴金が225万円未満の場合には課徴金納付命令をおこなうことができない(改正薬機法75条の5の2第3項4号)
  3. 同一事案に対する景品表示法の課徴金納付命令がある場合は、薬機法上の課徴金額である売上額の4.5%から景品表示法上の課徴金額である売上額の3%を控除する(改正薬機法75条の5の3)
  4. 徴金対象行為者が、(課徴金納付命令があるべきことを予知せずに)課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働大臣に報告したときは課徴金額の50%を減額する(改正薬機法75条の5の4)

このように、危害が軽微な場合には課徴金の納付を免れる、課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働大臣に報告した場合は減額されるなどの措置が設けられています。

他方、景品表示法に定められているような相当の注意を怠った者でないと認められるときに課徴金の規定の適用を除外する規定などは盛り込まれていません。つまり、これまで以上に細心の注意が必要です。

参考:全国厚生労働関係部局長会議 説 明 資 料

景表法の【広告表現の誇張】はどこまで認められる? | メンズ美容専門|薬機法ライターならLife-lighter
実際のものよりも著しく優良・有利であると示すと、景品表示法第5条の定める「優良誤認表示」「有利誤認表示」にあたり処分の対象になります。しかし実は、「パフィング」といって一定の範囲内なら誇張表現も許容されます。では具体的に広告表現の誇張はどこまで認められるのでしょうか。社会一般に許容される誇張の程度まで代表的な表示に関す...
「虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器などの販売に係る課徴金制度・措置命令の導入」により何がどう変わる?

✓令和3年8月1日より、薬機法の虚偽誇大広告規定に課徴金制度が導入される。

✓これにより違反企業は売上額の4.5%もの金額を納める義務が生じ、違反が減ることが見込まれる。

今回の薬機法改正は企業にとって厳しいものに!しかるべき対応が急務

今回の法改正のメインテーマは「1、医薬品、医療機器等が安全かつ迅速に提供され」、「2、薬剤師及び薬局が地域の中でその専門性に基づく役割を果たし」、「3、関係事業者が法令遵守体制の整備をおこなうこと」の3つです。

特に3については実務に直接的な影響を与えます。施行日は公布から1年、公布から2年、公布から3年の3段階となっていて、施行済みのものもありますから、しかるべき対策が急務といえるでしょう。

「未承認医薬品製造販売・広告の禁止(第68条)」の条項に変わりはありませんので、広告表現には引き続き気をつける必要があります。


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