「抗酸化」もOK!栄養機能食品とは|トクホとの違いを分かりやすく

いわゆる健康食品では医薬品のような表現は基本的に認められません。しかし栄養機能食品では、条件を満たせば「抗酸化」「視力」といった表現も認められるのです。本稿では保健機能食品のひとつである「栄養機能食品」について、概要や表示ルール、トクホや機能性表示食品との違いなどを解説していきます。栄養機能食品の表示一覧や適用範囲も紹介していますので参考にしてください。

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目次

栄養機能食品とは

そもそも、栄養機能食品とはどんなものなのでしょうか。はじめに栄養機能食品の概要を解説します。

栄養機能食品は保健機能食品のひとつ

栄養機能食品とは、国が定めた特定の栄養成分の基準に適合した食品です

栄養機能食品は保健機能食品のひとつで、根拠となる法律は、食品衛生法です。

「特定の栄養成分を含むものとして厚生労働大臣が定める基準に従い当該栄養成分の機能の表示をするもの(生鮮食品(鶏卵を除く。)を除く。)」

                     

食品衛生法施行規則第21条第1項第1号シ

機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)との違いは

保健機能食品には、栄養機能食品のほかに機能性表示食品と特定保健用食品(トクホ)があります。

保健機能食品のなかでも、特定保健用食品(トクホ)は科学的根拠を立証したうえで、消費者庁の個別の許可を受けなければ販売できません(個別許可型)

機能性表示食品も科学的根拠を事業者の責任で立証したうえで、届け出が必要です(届け出型)。

他方栄養機能食品では、国が定めた規格基準を満たしていれば販売可能で、届け出も許可もいりません(規格基準型)

詳しくはこちらで解説しています。

栄養機能食品の表示一覧とルール

続いて、栄養機能食品の表示一覧や必要な表示、義務表示などについて紹介していきます。

ポイントは次の4点です。

  • 栄養機能食品の表示一覧
  • 表示しなければならない事項
  • 表示が禁止されている事項
  • 栄養機能食品の表示が望ましくない食品

栄養機能食品の表示一覧

栄養機能食品では以下の栄養素の表示ができます。

  • 脂 肪 酸(1種類):n-3系脂肪酸
  • ミネラル類(6種類):亜鉛、カリウム※、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム
  • ビタミン類(13種類):ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、
               ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、
               ビタミンE、ビタミンK、葉酸
                 ※錠剤、カプセル剤等の形状の加工食品にあっては、カリウムを除く。

【表 7 栄養機能食品に係る基準及び表示】食品表示基準 別表第 11(第 2 条、第 7 条、第 9 条、第 23 条関係)

スクロールできます
栄養成分下限値上限値栄養成分の機能摂取をする上での注意事項
n-3系脂肪酸 0.6 g2.0 g n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。 本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
亜鉛2.64㎎15㎎亜鉛鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。
亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
亜鉛は、たんぱく質・核酸の代
謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。亜
鉛の摂り過ぎは、銅の吸収を阻害するおそれ
がありますので、過剰摂取にならないよう注
意してください。一日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避け
てください。
カリウム840㎎2800㎎カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です。本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
腎機能が低下している方は本品の摂取を避けてください。
カルシウム204㎎600㎎カルシウムは、骨や歯の形成に
必要な栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
2.04㎎10㎎鉄は、赤血球を作るのに必要な栄
養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
0.27㎎6.0㎎銅は、赤血球の形成を助ける栄
養素です。
銅は、多くの体内酵素の正常な
働きと骨の形成を助ける栄養素で
す。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。
マグネシウム96㎎300㎎マグネシウムは、骨や歯の形成
に必要な栄養素です。
マグネシウムは、多くの体内酵
素の正常な働きとエネルギー産生
を助けるとともに、血液循環を正
常に保つのに必要な栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。。多量に摂取すると軟便(下痢)になることがあ
ります。一日の摂取目安量を守ってください。
乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。
ナイアシン3.9㎎60㎎ナイアシンは、皮膚や粘膜の健
康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
パントテン酸1.44㎎30㎎パントテン酸は、皮膚や粘膜の
健康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビオチン15㎍500㎍ビオチンは、皮膚や粘膜の健康
維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンA231㎍600㎍ビタミンAは、夜間の視力の維
持を助ける栄養素です。
ビタミンAは、皮膚や粘膜の健
康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
妊娠三か月以内又は妊娠を希望する女性は
過剰摂取にならないよう注意してください。
ビタミンB10.36㎎25㎎ビタミンB1 は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健
康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンB20.42㎎12㎎ビタミンB2 は、皮膚や粘膜の健
康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンB60.39㎎10㎎ビタミンB6 は、たんぱく質から
のエネルギーの産生と皮膚や粘膜
の健康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンB120.72㎍60㎍ビタミンB12 は、赤血球の形成を助ける栄養素です。本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンC30㎎1000㎎ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンD1.65㎍5.0㎍ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンE1.89㎎150㎎ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素で
す。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンK45㎍150㎍ビタミンKは、正常な血液凝固能を維持する栄養素です。本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、
より健康が増進するものではありません。一
日の摂取目安量を守ってください。
血液凝固阻止薬を服用している方は本品の
摂取を避けてください。
葉酸72㎍200㎍葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、
より健康が増進するものではありません。一
日の摂取目安量を守ってください。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養
素ですが、多量摂取により胎児の発育がよく
なるものではありません。
なぜ基準値に上限が定められているの?

栄養機能食品では、下限値と上限値が定められています。たとえばマグネシウムは下限値が96㎎、上限値が300㎎です。下限値を定めることは理解できますが、なぜ上限値まで定められているのでしょうか。

栄養機能食品で基準値に上限が定められているのは、どれだけ身体によい栄養素でも過剰摂取は健康被害につながる可能性があるためです。

たとえば、ミネラルの一種である亜鉛は過剰摂取すると吐き気やめまいなどを引き起こすことがあります。

実際、機能性表示食品でもビタミン、ミネラルについては、過剰摂取の懸念から関与成分の対象外となっています。

表示しなければならない事項

栄養機能食品では、必ずし表示しなければならない必要表示事項があります。

<栄養機能食品の必要表示事項>

  1. 栄養機能食品である旨及び当該栄養成分の表示
  2. 一日当たりの摂取目安量
  3. 栄養成分の量及び熱量(栄養成分表示)
  4. 摂取の方法
  5. 摂取する上での注意事項
  6. バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言
  7. 消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨
  8. 一日当たりの摂取目安量に含まれる機能に関する表示を行っている栄養成分の量が、栄養素等表示基準値に占める割合
  9. 栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言
  10. 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものは、当該注意事項
  11. 特定の対象者に対し注意を必要とするものにあっては、当該注意事項
  12. 保存方法(※生鮮食品のみ)
  13. その他(※生鮮食品のみ)

表示が禁止されている事項

一方で、表示が禁止されている事項もあります。

禁止されている表示

  1. 栄養機能食品としての表示が認められている栄養成分以外の成分の機能の表示
  2. 特定の保健の目的が期待できる旨の表示

栄養機能食品として表示が認められているもの以外の栄養素の機能の表示については認められません。
たとえば、タンパク質は筋肉をリンは骨を作るのに役に立つ栄養素です。

しかし栄養機能食品として機能等の表示が認められていないため、機能をうたうことができません。

【栄養機能食品としての表示が認められていない栄養素の効果はうたえない】

  • タンパク質は筋肉を作るのに役立ちます。
  • リンはカルシウムとともに骨を生成します。

また栄養機能食品で認められているのは、あくまでの栄養の機能の表示です。特定の保健の目的が期待できる旨の表示は認められません。次のような表現は事実であっても不可となります。

【特定の保健効果はうたえない】

×肩こり改善
×糖尿病に効く

栄養機能食品の表示が望ましくない食品

ビールグラス

栄養機能食品は、国が定めた栄養基準をクリアした食品は、特定の健康効果を表示できるというものです。

ただし以下のような食品は、健康の保持増進効果も期待できる反面、摂取による健康への悪影響も否定できないことから、栄養機能食品の表示をすることは望ましくないとされています。

【健康リスクの観点から栄養機能食品の表示が望ましくない食品】

  • ビール等のアルコール飲料
  • ナトリウム、糖類等を過剰に摂取させることになる食品等

栄養機能食品の表示ルール

ここからは、栄養機能食品の表示ルールについて詳しく見ていきましょう。

ポイントは次の2点です。

栄養機能食品では健康食品では使えない表現も可能

いわゆる健康食品では、医薬品的な効能を想起させる表現は基本的に認められません。

しかし栄養機能食品では、健康食品では使用できない表現が認められる場合があります。

たとえばビタミンCの規格基準を満たした栄養機能食品であれば次の表現が可能です。

ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。

またビタミンEの規格基準を満たした栄養機能食品であれば次の表現が認められます。

ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。

「抗酸化」「視力」などいわゆる健康食品では認められない表現が使えるのは大きなメリットといえるでしょう。

栄養機能食品は読みかえや省略は不可

栄養機能食品の表示は、表現の変更はできない点に注意が必要です。

機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)の場合、表示内容の主旨が同じであれば許可や届け出の表現を変更することが認められますが、栄養機能食品の場合は表示内容の主旨が同じでも、定められた栄養成分の機能に変化を加えたり、省略したりすることは認められません。ただし、以下の場合には、まとめて記載することが可能です。

  1. 一つの食品で、複数の栄養成分の栄養機能表示が同一の場合

    『ビタミンB2、ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。』
  2. 一つの栄養成分に、二つ以上の栄養機能表示がある場合

    『葉酸は、赤血球の形成を助けるとともに、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。』

通信販売の表示は適用除外

またECサイトにおける食品表示情報の掲載については現段階では適用範囲外となっています。

現時点では食品表示基準の適用範囲は食品の容器包装への表示のみです。

しかし容器包装上の食品表示と、EC サイト上に掲載されている食品表示情報に差が生じると、なにかと不都合が発生します。そこで公益社団法人 日本通信販売協会(JADMA)や消費者庁がインターネット販売における食品表示についての指針を発表しています。

【食品表示基準の指針】

  • インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック(消費者庁2022年6月15日)
  • 通信販売広告における食品の表示に関する方針(JADMA 2021年8月26日)

また先日消費者庁開催の「消費者庁食品表示懇談会」を傍聴してきたのですが、そのなかでも食品表示についての話題にあがっていました。

令和6年には食品衛生基準行政が消費者庁に移管されることが決まっており、「無添加表示のガイドライン」の策定も検討されています。

昨今食品表示の規制に動きがあることから、将来的にECサイトにおける食品表示情報も食品表示基準の対象になることも十分に考えられます。

栄養機能食品はニーズが急増している保健機能食品|しっかりと理解を

栄養機能食品は保健機能食品のひとつで、国が定めた規格基準を満たせば、一定の機能性を標ぼうすることが認められます。ただし機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)と異なり、読みかえは一切認められません。

栄養機能食品は、昨今の健康志向からニーズが高まっています。今後さらなるニーズの高まりが予想されますから、栄養機能食品のルールをきちんと頭に入れておくことが大切です。

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