


薬機法(薬事法)では、「痩せる」「病気が治る」といった具体的な変化の標ぼうを規制していますが、抽象的な表現でも医薬品のような効果を連想させる表現は不可となることがあります。
「小顔印象」は医薬品的な効果を連想させるため認められません。
そのほか「スリミング」「ぐっと引き締める」などの表現も不可とされています。
NTTDoCoMoやハウス食品やエーザイなど上場企業と継続的に取引をし、わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受けるなどの実績をもつLifelighterでは、「AIに負けないライターになりたいけれど方法がわからない」という人向けに、毎月先着3名様限定で無料の個別相談を行っています。
薬機法(薬事法)とは


薬機法(旧薬事法)とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の品質、有効性や安全性を確保するための法律です。医薬品等の製造や販売などに関するルールを定めていて、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
2017年、内容の一部改正とともに、名称も「薬事法」から「薬機法」に変更となりました。
化粧品等の適正広告ガイドラインとは
化粧品等の適正広告ガイドラインとは薬機法などの法律に基づいて、化粧品や医薬部外品、医薬品の表現のルールについてまとめた広告表現の基準で、日本化粧品工業連合会が出しています。
薬機法の条文だけでは、細かいところまで網羅できないため、化粧品ガイドラインで補完しているわけです。



イメージとしては
薬機法=大枠
化粧品ガイドライン=法律の隙間を埋める指針
って感じ大丈夫です
化粧品で「小顔印象へ」は不可


薬機法では身体の構造機能への具体的変化の標ぼうは禁止されています。
では、抽象的な表現であれば、どんなものでも認められるのでしょうか。
答えはNOです。
たとえば化粧品でよく見かける「小顔印象」は認められません。
- 小顔印象へ
化粧品等の適正広告ガイドラインは、顔痩せ効果などの表現は化粧品の効能効果の範囲を逸えるため認められないとしています。
E10 「痩身」、「顔痩せ効果」等の表現
ー(中略)ーこれらは、身体の構造機能
に影響を与えられるかのような表現となり化粧品等の定義の範囲を逸脱するので使わないこと。
顔痩せ効果等の主旨の表現は化粧品等の効能効果の範囲を逸脱するので行わないこと。
ここで、こんな風に感じた方もいらっしゃるでしょう。



でも”印象”なら効能効果にあたらないよね?
ガイドラインは認められない表現の具体例として「小顔印象」を例示しています。
[認められない表現の具体例]
「ぐっと引き締めて」、「小顔印象へ」
具体的な変化をうたっていないのに、なぜアウトになってしまうのでしょうか。
これは「小顔印象」という表現が消費者に医薬品的効果を連想させるためです。
薬機法の目的のひとつに、医薬品と非医薬品を明確に区分し、医薬品を守るというものがあります。つまり消費者に医薬品的効果を連想させるか否かが重要なポイントになるわけです。
その点「小顔印象へ」とすると、顔が引き締まる効果(医薬品的効果)が得られるかのようなイメージを与えかねません。そのために小顔印象は不可となってしまうのです。
ただしメーキャップ効果であれば可能


ただし化粧によるメーキャップ効果であれば瘦身効果の標ぼうも可能です。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】では以下のようにしています。
ただし、化粧品でも化粧によるメーキャップ効果等の物理的効果等の外観的変化を表現する場合は、事実でありメーキャップ効果等の物理的効果であることが明確に示されていれば表現できる。
次の2要件を満たした場合、メーキャップ効果等の「物理的効果等」の「外観的変化」の表示が認められます。
- メーキャップ効果等の物理的効果であることが明確に示されていること
- 真実であること
メーキャップ効果とは
色彩により、覆う、隠す、見えにくくする等の物理的効果


OK表現・NG表現


OK表現
ガイドラインでは認められる表現として
- 小顔にみえるメーキャップ効果
を例示しています。
[認められる表現]
小顔にみえるメーキャップ効果
メーキャップ効果(色彩により、覆う、隠す、見えにくくする等)がOKということから考えると以下のような表現も可能です。
【OK表現】
- 痩せ見え顔へ導くファンデーション
- 二重顎をカバーしてシュッとしたお顔に見せる
- 顔の影を覆ってスリムな印象へ
「小顔メイク」はグレーゾーン
では「小顔メイク」はどうでしょうか。こちらは広告などで頻繁に見かける表現です。
薬機法のルールに当てはめてみると
①身体の構造機能への変化はうたっていません。
しかしながら、
②「メーキャップ効果等の物理的効果等であることを明確に示す」という痩身効果の条件を満たしていません。
つまり、適法とはいえず、文脈によってはアウトになる可能性があるでしょう。
ただ多用されているにもかかわらず摘発事例がないことから、現状では許容範囲とされていると考えられます。
NG表現


ガイドラインでは認められない表現として以下を例示しています。
[認められない表現の具体例]
「ぐっと引き締めて」、「小顔印象へ」
その他ガイドラインでは、「スリミング」「ファーミング」「セルライト」といった表現も不可としています。
【NG表現】
- ぐっと引き締めて
- 小顔印象へ
- スリミング
- ファーミング
- セルライト
小顔訴求はハイリスク!使わないのが安全
小顔訴求が用いられるのは、化粧品よりもむしろ整体やエステサロンでしょう。整体やエステは薬機法の対象外ですが、あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)で規制されていて具体的変化の標ぼうは認められません。
「小顔」「小顔矯正」などのワードは特に女性に対して強い訴求力をもちますが、その分摘発リスクも高いので要注意です。
摘発事例に以下のようなものがあります。
2012/7/10「コジマ身長伸ばしセンター」に措置命令
2013/4/23「一般社団法人 美容整体協会(東京・中央)」に再発防止措置命令
2016/7/5 9業者に措置命令(トゥモローズライフ、Kouken美容整体、レミスティック東京、関西プロポーション小顔センターなど)
2019/2/20「S.O.M株式会社」が運営するエステサロン「clear(クリア)」と「株式会社ビューネス」が運営するコルギサロン「白金小顔管理」に措置命令
2019/3/11「株式会社ドラミカンパニー」が運営するエステサロン「プラチナフェイス静岡御幸町店」に措置命令
名称に用いるのはOK?


では、効能効果としてではなく、「スリミング美容液」など名称に用いるのは可能でしょうか。
痩身効果を名称に用いるのは必ずしも不可とはなりません。薬機法の規制はチグハグなところがあり、効能効果としてではNGでも名称ならOKというものがあります。
例)
「ダイエットに効く」はNG
「ダイエット」の語を名称に使うのはOK
とはいえ、薬機法では強調表現を原則禁止しています。
たとえば「低刺激表現」は科学的に立証されている場合可能ですが、キャッチコピーなど強調しないことが条件です。「アレルギーテスト済み」「ノンコメドジェニックテスト済み」「皮膚刺激性テスト済み」なども強調すると不可となるおそれがあります。
【強調すると不可】
- 低刺激
- アレルギーテスト済み
- ノンコメドジェニックテスト済み
- 皮膚刺激性テスト済み
つまり痩身効果も名称に用いると強調とみなされる可能性があります。名称としても使わないのが無難でしょう。
【OK表現】
- 小顔に見えるメーキャップ効果
- 痩せ見え顔へ導くファンデーション
- 二重顎をカバーしてシュッとしたお顔に見せる
- 顔の影を覆ってスリムな印象へ
【強調すると不可】
- 低刺激
- アレルギーテスト済み
- ノンコメドジェニックテスト済み
- 皮膚刺激性テスト済み
【NG表現】
- ぐっと引き締めて
- 小顔印象へ
- スリミング
- ファーミング
- セルライト
抽象的な表現でも医薬品的効果を連想させると不可


薬機法では抽象的な表現でも医薬品的効果を連想させると不可となります。
たとえば「見た目年齢ー〇歳」は「見た目」つまり外観の印象がー〇歳となりOKですが、「肌年齢ー〇歳」は「肌の構造機能」が”ー〇歳となり医薬品的効果を連想させるため不可となります。実務上極めて重要なポイントですから、しっかりと押さえておきましょう。
Life-lighterでは、日本でただ一人消費者庁の公的文書の誤りを指摘・改善させた実績をもち、消費者庁と公正取引協議会の資格「景品表示法務検定」のアドバンスクラスを取得済(合格者番号APR22000 32)の専業薬機法ライターが広告法務をサポートしています。
- 薬機法ライティング
- 広告制作
- 薬機法チェック(非弁行為に当たらない方法)
- セミナー
- 広告表現コンサルティング
- 社内研修
などのサービスを提供しているほか、AI時代に稼げる薬機法ライターの養成スクールも展開しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
コメント