


雑貨(雑品)とは薬機法の対象外のものをいいます。
例
除菌グッズ
マスク
健康器具
アロマ
CBDなど
法的な定義はありませんが雑貨では医薬品や化粧品のような効果は認められないため、注意が必要です。
今回は雑貨(雑品)でいえる表現、いえない表現を実際の行政処分事例とあわせて紹介します。
NTTDoCoMoやハウス食品やエーザイなど上場企業と継続的に取引をし、わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受けるなどの実績をもつLifelighterでは、「AIに負けないライターになりたいけれど方法がわからない」という人向けに、毎月先着3名様限定で無料の個別相談を行っています。
雑貨(雑品)とは


雑貨(雑品)とは、薬機法の規制対象である化粧品や医薬部外品、医薬品、医療機器に該当しないものを刺します。明確な定義はありませんが、主に美容行為や健康のために使うものとされています。
たとえば以下のようなものです。
【雑貨(雑品)の例】
- アロマオイル
- 美顔ローラー
- CBD(カンナビジオール)
- 健康器具
- 腕時計
- ネックレス
- マスク
雑貨(雑品)では、医薬品的な効果も化粧品的効果もいえない
雑貨(雑品)は薬機法(薬事法)の対象外ですが、医薬品のような効果も化粧品のような効果も認められません。
雑貨(雑品)は医薬品としての認可を受けておらず、化粧品としての届け出も出ていないからです。


雑貨(雑品)でどこまでいえる?商材別のOK/NG表現と摘発事例を紹介


ここからは、雑貨(雑品)の表現の考え方や具体的なOK表現とNG表現、摘発事例などを商材別に解説していきます。
- 除菌グッズ
- マスク
- 健康器具
- アロマオイル
1:除菌グッズ


ここまで見てきたように、除菌グッズは物理的に菌を取り除くことを目的としている場合は認められますが、菌そのものを殺すような表現は不可となる可能性が高いです。
除菌グッズのNG表現
たとえば以下の表現はすべてNGリスクがあります。
- 殺菌スプレー
- 殺ウイルス
- 滅菌スプレー
- スプレーで消毒
- アレルギーを無効化
- アレルギー物質から守る
除菌グッズのOK表現
除菌グッズで可能な表現は非常に限られています。以下の表現であれば、不可とされるリスクは低いでしょう。
- 菌をふき取る
- 除菌
- 菌を取り除く
除菌グッズの摘発事例
①根拠なく除菌効果をうたった3社に措置命令(2021年3月11日)


大分県の「OTOGINO」、兵庫県の「マトフアー・ジヤパン」、福井県の「遊笑」はチラシなどにおいて合理的な根拠なく以下のような表示をしたことで、行政処分が出されました。
問題となった表示の例
- 「菌やウイルスを瞬時に撃退!」
- 「瞬間除菌」
- 「99.9%瞬間除菌!」
- 「強力 99.9%瞬間除菌 臭いも元から分解します」
消費者庁|消費者庁|次亜塩素酸水の販売事業者 3社に対する景品表示法に基づく措置命令について
②ウイルス予防法効果を標ぼうした30社に注意喚起(2020年3月27日)
ウイルス予防商品を販売していた 30 事業者による 46 商品の表示に注意喚起を発出しました。
表示例
- 「光触媒/除菌・抗菌・消臭スプレー、マスクや服に吹き付けたり、ソファーや壁、空間に吹き付けてもOK」
- 「新型「コロナウイルス、脅威のウイルス対策に」
- 「光触媒により菌やウイルスの根本となる DNA を破壊し不活化、光触媒でウイルス不活化全身ガード!」など
消費者庁では、2020年2月25 日~同年3月6日の期間、インターネット広告で、新型コロナウイルスに対する予防効果をうたったウイルス予防商品の表示について、景品表示法(優良誤認表示)と健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から緊急パトロールを実施しており、その結果上記のような表示が見つかったとのことです。
消費者庁|新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品 の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について
景品表示法や薬機法は、消費者への影響が大きなものから順に規制していきます。「悪質である」「よく売れている、」「話題性のある」商品・サービスなどは摘発されやすいです。本件は、当時流行していたウィルスに関する商品であったものの、悪質性がさほど高くないと判断されたため、社名公表には至らなかったものと思われます。
2:マスク


マスクに関しても、殺菌・不活化、感染症予防を標ぼうするものは基本的にすべてアウトです。特定のウィルス名や細菌名だけで不可となるおそれがあります。
「花粉」は微妙なところですが文脈次第では不可となります。「花粉を分解する」と標ぼうし摘発された事例も存在します(後述)。
東京都福祉保健局の、医薬品等広告講習会の資料には次のようにあります。
マスク(不織布)
Q 医療機器に該当しない?
A 不織布でできており、単に物理的な除去を目的とするものは非該当。ただし、殺菌・不活化を目的とするもの、菌やウイルスに対し、薬理的な作用などを有するものは薬事該当。
Q 問題となる標ぼうはどのようなものが
A 特定の細菌やウイルスに対する効果を標ぼうするもの、殺菌・不活化、感染症予防を標ぼうするもの「新型インフルエンザ予防に」等
医薬品等広告講習会 東京都福祉保健局
マスクのNG表現
マスクではたとえば以下の表現はすべてNGリスクがあります
- ウィルスを無力化
- 殺菌
- インフルエンザ対策
- アレルギー物質から予防
- 花粉を分解
マスクのOK表現
一方、以下のような表現は認められる可能性が高いでしょう。
- マスクでウィルスをシャットアウト
- マスクで花粉の侵入を防ぐ
- マスクで菌をカバー
- 抗菌マスク
マスクの摘発事例
マスクの効果で花粉がやアレルギー物質が分解されると表示(2019年7月4日)


DRC医薬、アイリスオーヤマ、大正製薬、玉川衛材に措置命令が発出された事例です。消費者庁は「マスクを装着するだけで、花粉に由来するアレルギー物質やウイルスなどを科学的に分解するかのような表示」であるとし、措置命令を出しました。
問題となった表示の例
- 「花粉を水に変える」
- 「光触媒で分解」
- 「花粉の中のタンパク質を分解」
- 「マスク表面に付着した菌やウイルス、花粉などが二酸化炭素と水に変わる!」。
消費者庁|光触媒を使用したマスクの販売事業者4社に対する措置命令
3:健康器具


健康器具は、器具そのものの「物理的効果」や「筋肉の運動による効果」の範囲内であれば認められます。
- 振動を与える
- 一分間に○○回の振動
しかし、「コリをほぐす」「筋肉の疲れに有効」「脂肪減少」といった医療機器、医薬品のような表示ぼうをしているものは雑品である健康器具では認められません。
- 脂肪燃焼
- 疲れをとる
- 背骨のゆがみを矯正
東京都福祉保健局が行っている医薬品等広告講習会の資料には次のようにあります。
筋肉運動補助器具
Q 医療機器には該当しない?
A 筋肉の運動のみを目的としている場合は医療機器非該当
Q 問題となる標ぼうはどのようなもの?
A 運動マシンとしてだけでなく、肩や腰にあててコリをほぐしたり、運動後の筋肉の疲れに有効等の標ぼうをしているもの、脂肪減少作用等を標ぼうするもの
医薬品等広告講習会 東京都福祉保健局




健康器具のNG表現
- 肩や首に装着してこりをほぐしす
- ふくらはぎに巻いて運動後の足の疲れをとる
- 筋肉がつく
- 脂肪が減少する
- 脂肪燃焼
- 疲れをとる背骨のゆがみを矯正
健康器具のOK表現
次のような表現であれば認められます。
- 筋肉を揉みほぐす
- 振動を与える
- 一分間に○○回の振動
健康器具の摘発事例
EMS器具を装着するだけで痩せると表示した通販事業者に対する措置命令(2021年3月31日)


オークローンマーケティング、ディノス・セシール、プライムダイレクト、ヤーマンに対して発出された措置命令です。
対象となったのはオークローンマーケティングの「スレンダートーン アブベルト」とディノス・セシールの「クワトロビート」「TBCスレンダーパッドBE」、プライムダイレクトの「バタフライアブス」「バタフライアブスディープテック」、ヤーマンの「クワトロビート」「トルネードRFローラー」の七つ。
いずれも、テレビショッピング番組やネット通販の動画などで、腹部や身体の部位に商品を装着するだけで、腹部の痩身効果が得られるかのように表示していました。
問題となった表示例
- 「お腹を見せてもらうと、確かに、スタート時にぽっこりしていたお腹がスッキリ。女性らしいウエストラインも見えてきた」
- 「そのサイズはスタート時と比べ、マイナス9.2センチ」
- 「102.4センチあったウエストはなんと88センチに。驚きのマイナス14.4センチ」
- 「なんと、マイナス19.6センチのお腹引き締めに成功。出産前のお腹を取り戻した
この事例は美容家電大手のヤーマンやディノス・セシールが摘発を受けたことで、当事非常に話題になりました。
セシールは2021年6月25日に1559万円の課徴金納付命令を受けています。
4:アロマ・CBD


アロマやCBDでは、空間や水への香りつけやそれによる間接的効果は認められます。
しかしアロマやCBDに関しては、可能な表現が非常に限られています。たとえば以下のような表現はよくみかけますが、すべて不可とされるリスクがあります。
「アロマで睡眠の質改善」
「CBDオイルで自律神経を整える」
また、空間の香りつけは認められても、身体への香りつけは認められません。身体への香りつけは肌への効果となり化粧品の領域になるからです。
また「自律神経を整える」「ストレス改善」といった医薬品的効能も認められません。
東京都福祉保健局が行っている医薬品等広告講習会の資料には次のようにあります。
エッセンシャルオイル
医薬品等広告講習会 東京都福祉保健局
Q 化粧品には該当しない?
A 空間・水の芳香付けを行うことを目的とする場合は化粧品非該当
身体への芳香付け、肌への効果を標ぼうするものは化粧品に該当
Q 問題となる標ぼうはどのようなもの?
A 香りの吸入により、鼻やのどの調子をよくする
香りの吸入により中枢神経を刺激してうつの改善、食欲増進等の作用を標ぼうするもの
アロマのNG表現
- エッセンシャルオイルで疲れをいやす
- オイルで自律神経を整える
- オイルで肌のきめを整える
- 精油の力でうつ病を改善する
- オイルが睡眠の質を高める
- アロマでストレス改善
アロマのOK表現
- いやし空間を演出する
- 香りで気分リフレッシュ
- 軽やかなあなたに
- 眠りにつきすい寝室へ
アロマの摘発事例令
新型ウイルスへの効果をうたった事業者に注意喚起(2020年3月27日)
2020年3月27日、消費者庁が新型コロナウイルスへの効果を標ぼうしたアロマオイルを販売した1事業者に注意喚起を発出した事例があります。
問題となった表示の例
- 「新型コロナウイルス(COVID-19)予防対策精油」
- 「非常に強力な抗菌、免疫賦活の特質の精油を配合、新型コロナウイルス(COVID-19)の予防対策用ブレンド
消費者庁 新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品に対する注意喚起第2報


雑貨(雑品)の規制は今後厳格化される可能性大!今のうちに対策を


雑貨(雑品)は現時点ではさほど厳しくは見られません。明らかに法に違反しているものでも、消費者への影響が大きいと判断されないかぎり、摘発されることは稀です。
しかし今後規制は厳しくなっていくことが予想されます。特にCBDに関しては厚生労働省によって「大麻等の薬物対策のあり方検討会」が開催されるなど、近年動きがありそうです。今のうちから対策を講じておくことが重要です。