化粧品や医薬部外品で「強力なリフトアップ効果」はうたえる?

化粧品や医薬部外品の広告で「強力なリフトアップ効果」「強力な引き締め成分」などの表現をよく見かけます。しかし化粧品や医薬部外品の広告表現は薬機法のルールに従わなければなりません。

「強い」「強力」といったフレーズは薬機法上、標ぼう可能なのでしょうか。

目次

化粧品や医薬部外品で「強力」「強い」は不可!

2020年末にSNSで話題になった「V3ファンデーション」が、薬機法に抵触するのではないかと話題になりました。V3ファンデーションが薬機法違反にあたるのは「角質層を超えた」浸透を標ぼうしたためです。

しかし、実はもっと身近に使われている

  • 「強力な」
  • 「強い」

などの表現も薬機法ではNGとなってしまうリスクがあるのです。

薬機法では効能効果や安全性の保証表現を禁止している

薬機法では、効能効果や安全性を保証する表現を認めていません。消費者が効能効果や安全性について誤信した結果、適切な治療機会を逸したり、過剰摂取によって健康を害するリスクがあるためです。

医薬品等適正広告基準では次のとおりに規定しています。

医薬品等適正広告基準

(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実で

ある保証をするような表現をしてはならない。

効能効果について「強力」「強い」も不可

効能効果についての「強力」「強い」の表現も明確に「認めない」としています。

(6)効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現をしてはならない。

<共通>

(3)「強力」、「強い」の表現について

効能効果の表現で「強力な ・・・」、「強い ・・・」の表現は、原則として認めない。

「強力」や「強い」が禁止されているのは、効能効果に関して誤認させないためです。したがって「強力」や「強い」に類する強調・保証表現もすべて使えません。

NG

  • 「パワフル」
  • 「強靭」
  • 「非常に」

注目したいのは化粧品の効能範囲であっても、強調・保証表現は不可ということです。

たとえばメイク落とし化粧品や日焼け止めの広告で以下のような表現をよく見かけますが、薬機法上NGとなります。

NG

  • 「肌汚れまで根こそぎオフ」→化粧品効能「17(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。」が該当する→しかし「根こそぎ」が強調表現でアウト 
  • 「絶対に日焼けさせない」→化粧品効能「36日やけを防ぐ。」が該当する→しかし「絶対に」が保証表現でアウト 

最上級表現も不可

医薬品等適正広告基準では最上級の表現も不可としています。

(1)最大級の表現について
「最高のききめ」、「無類のききめ」、「肝臓薬の王様」、「胃腸薬のエース」、「世界一を誇る○○KKの○○」、「売上げNo.1(注)」等の表現は認められない。

たとえば以下の表現は認められません。

  • 「最高のききめ」
  • 「無類のききめ」
  • 「胃腸薬のエース」
  • 「世界一を誇る○○○」
  • 「売上げ No.1」

最上級表現は薬機法だけでなく、景品表示法や医療法にも抵触するおそれがあります。

また他社を引き合いに出してPRする場合、誹謗広告にならないように注意です。たとえば

  • 「今最も注目の〇〇」
  • 「どこよりも〇〇」

などの表現はただちに不可とはなりませんが、文脈によってはNGとなります。

No.1表示は景品表示法にも注意

「最高」、「世界一」「売上げNo.1」などは No.1(ナンバーワン表示)と呼ばれ、景品表示法でも厳しく規制されているので注意しましょう。

公正取引委員会事務総局発出の「No.1表示に関する実態報告書」は、No.1表示が不当表示とならないためには客観的な調査に基づいていなければならないとしています。

客観的な調査といえるためには、

  1. 関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家の多数が認める方法
  2. 社会通念上及び経験則上妥当な方法

のいずれかによることが必要です。

NGケース

「強力」「強い」もしくはそれに類する表現

  • 「強力なリフトアップ効果」
  • 「パワフルな引き締め力」
  • 「強い効果が期待できる」など 

最上級表現

  • 「史上初の引き締め成分」
  • 「圧倒的保湿力」
  • 「最高の効き目」など

化粧品で認められた効能の強調表現

  • 「肌汚れまで根こそぎオフ」
  • 「絶対に日焼けさせない」
  • 「お肌がツルッツル」など

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注意

強調表現がすべてNGというわけではありません。ただ、化粧品や医薬部外品では効能効果についての「強力」「強い」などの表現は不可とされています。現段階では、使用したら即摘発といった強力な規制ではないものの、注意が必要です。

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@223ciwjy

橋本 駿
貴社の利益を守る法規ライター
2019年開業。現在は法人案件を中心に薬機法や景品表示法といった広告法規が絡むライティングや広告制作、セミナー、研修などを行っている。

ーー
広告規制が厳格化していますが、多くの企業は薬機法しか意識していません。
しかし実は薬機法よりも大事なのが、景品表示法です。
薬機法を守っていても、景品表示法に違反していれば摘発対象になります。

2024年には改正景品表示法が施行され、課徴金の割増規定などが盛り込まれる予定です。

ただ景品表示法はルールが非常に複雑で、弁護士でさえも理解できていないケースが少なくありません。

誤りを発信している弁護士のHPも散見されます(事例については個別相談で)
私は景品表示法をはじめとする広告法務に関して網羅的かつ高い専門知見を持ち合わせています。

ですから万全のコンプライアンス体制で貴社の利益を守ることが可能です。

◆主な実績
・消費者庁に公的文書の誤りを指摘改善させた実績
・景品表示法務検定アドバンス(消費者庁公認、公正取引協議会主催)
・食品の適正表示推進者(薬機法関連指針などを発出する東京都福祉保健局の認定資格)
・その他薬機法民間資格
・上場企業との取引実績多数

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