令和5年3月28日消費者庁は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を指定し、運用基準を公表しました。第三者の自主的な意思による表示内容とは認められないケースでは、第三者が表示をおこなうことによる利益提供を暗示した場合でも規制対象とするなど、事業者側にはかなり厳しいものとなっています。
今回は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準やステルスマーケティングに関する検討会 報告書、WOMJ ガイドラインを基に
- ステルスマーケティングの規制内容
- 規制対象になるケース、規制対象にならないケース
- 事業者が講ずべき対策
を解説していきます。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
- わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける
をもつ専業薬機ライターが解説します。
ステルスマーケティング規制についてはこちらの記事で解説しています。
規制対象は「事業者の表示であり、第三者の表示のように見えるもの」
令和5年3月28日消費者庁は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を指定し、運用基準を公表しました。いわゆるステルスマーケティングの規制です。
告示の対象となるのは、第三者の表示のように見えるにもかかわらず、実際には事業者の表示であるものです。
ステルスマーケティングの規制対象になるもの、ならないものは
ではステルスマーケティングの規制対象になるものとならないもの、どのようになっているのか見ていきましょう。
ポイントは「事業者が表示内容の決定に関与した」か
ステルスマーケティングか否かの判断においては事業者が表示内容の決定に関与したか否かがカギとなります。
ステルスマーケティングで問題となるのは、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」です。
つまり実際にはそうでないのに、客観的な立場からの口コミであるかのように見える場合、消費者が不利益を被る可能性があるよね、ということです。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示とは、以下の2点を満たす表示です。
- 事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示
- 事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示
事業者が表示内容の決定に関与したとされるもの
ステルスマーケティングになるのは、事業者が表示内容の決定に関与しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示です。
運用指針では事業者が表示内容の決定に関与したとされるものについて、2つに分類しています。
- 事業者が自ら行う表示
- 事業者が第三者に行わせる表示
①事業者が自ら行う表示
事業者が自ら行う表示について
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
ア 事業者が自ら行う表示には、事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示、例えば、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示も含まれる。
事業者が自ら行う表示に含まれる表示として以下が例示されています。
事業者と関係のある従業員による表示
事業者の子会社等の従業員が行う表示
つまり自作自演だけでなく関連会社の商品やサービスについての表示も「事業者が自ら行う表示」とみなされ得るわけです。
「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業」のうちどのようなケースが事業者の表示に該当するのでしょうか。
運用基準では以下のような要素から実態を勘案し、総合的に考慮し判断するとしています。
- 従業員の事業者内における地位、立場、権限、担当業務
- 表示目的等
事業者の表示になるケース
「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」が事業者の表示に該当するのは次のようなケースです。
商品やサービスの販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者が、その商品やサービスの販売を促進するための表示を行う場合
例
- 販売スタッフが、一般消費者の認知度を高めることを目的に商品やサービスの画像や文章をSNSに投稿する場合
- 開発チームの一員がライバル企業の製品を誹謗中傷し、自社製品の品質・性能の優良さについて言及する場合
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
(ア) 商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者(例えば、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員等)が、当該商品又は役務の販売を促進するための表示(例えば、商品又は役務の画像や文章を投稿し一般消費者の当該商品又は役務の認知を向上させようとする表示、自社製品と競合する他社の製品を誹謗中傷し、自社製品の品質・性能の優良さについて言及する表示)を行う場合(他の者に指示をして表示を行わせる場合を含む。)
【事業者の表示にあたるもの】
関係従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示
- 販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員等が、商品又は役務の画像や文章を投稿し一般消費者の当該商品又は役務の認知を向上させようとする表示
- 自社製品と競合する他社の製品を誹謗中傷し、自社製品の品質・性能の優良さについて言及する表示
事業者の表示とならないケース
一方、「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」が事業者の表示に該当しないものは、以下のようなケースです。
商品やサービスを販売する事業者の関係者ではあるものの、商品やサービスの販売を促進することが必要とされる地位や立場にない者がその商品やサービスの販売を促進する目的ではない表示を行う場合。
例
- 化粧品会社の工場製造スタッフが、消費者に配られているチラシなどを基に、製品の製造法について表示を行う場合
イ) 「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」が事業者の表示に該当しないものとしては、商品又は役務を販売する事業者の従業員や当該事業者の子会社等の従業員ではあるものの、当該商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にはない者が、当該商品又は役務に関して一般消費者でも知り得る情報を使うなどし、当該商品又は役務の販売を促進する目的ではない表示を行う場合。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
【事業者の表示にあたらないもの】
- 関係従業員ではあるものの、商品やサービスの販売を促進することが必要とされる地位や立場にはない者が、商品やサービスの販売を促進する目的ではない表示を行う場合
②事業者が第三者に行わせる表示
次に、事業者が第三者に行わせる表示が事業者の表示となるのは、次のようなケースで事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合です。
【事業者の表示になるもの】
- (ア) 事業者が第三者に対して当該第三者のSNS上や口コミサイト上等に自らの商品又は役務に係る表示をさせる場合。
- (イ) EC(電子商取引)サイトに出店する事業者が、いわゆるブローカーや自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合。
- (ウ) 事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際に、アフィリエイターに委託して、自らの商品又は役務について表示させる場合。
- エ) 事業者が他の事業者に依頼して、プラットフォーム上の口コミ投稿を通じて、自らの競合事業者の商品又は役務について、自らの商品又は役務と比較した、低い評価を表示させる場合。
暗示的に表示を依頼する場合もステマとみなされるおそれ
留意が必要なのが、第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性があると判断できる場合、暗示的に表示を依頼する場合もステマとみなされる可能性がある点です。
事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、客観的な状況に基づき、第三者の表示内容について、事業者と第三者との間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある場合には、事業者が表示内容の決定に関与した表示とされ、事業者の表示となる
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
第三者の自主的な意思による表示内容と認められない関係性があるか否かは、次のような要素から判断されることとなります。
自主的な意志による表示か否かの判断基準の例
- 事業者と第三者との間の具体的なやり取りの態様や内容
- メール・口頭・送付状
- 事業者が第三者の表示に対して提供する対価の内容、その主な提供理由
- 宣伝する目的であるかどうか。
- 事業者と第三者の関係性の状況
- 過去に事業者が第三者の表示に対して対価を提供していた関係性がある場合に、その関係性がどの程度続いていたのか
- 今後、第三者の表示に対して対価を提供する関係性がどの程度続くのか
事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合として、以下のようなケースを挙げています。
明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示(ステルスマーケティング)とされるケースの例
- 客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合
たとえば事業者がSNSなどへの口コミを投稿してもらうことを目的に商品又は役務を無償で提供し、その提供を受けた当該第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行う - 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務について表示することが経済上の利益をもたらすことを暗示させる場合
「弊社は今拡散力のある人材を必要としています。結果を出してくれた人とは今後もお付き合いさせていただきたいと思っています」
→遠回しに利益提供を約束しているのでステルスマーケティングになる
一方事業者が第三者の表示に関与したとしても客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらないとしています。
例
「気に入っているから」「好きだから」といったといった理由で、特定の商品やサービスついて自らの意思で行っている表示であることが客観的に見て明らかな場合
客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合に当たるかは事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があるか否かによって判断されます。
事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性がある(=事業者の表示となる)か否かの判断要素の例
- 第三者と事業者との間で表示内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないか
- 事業者から第三者に対し、表示内容に関する依頼や指示があるか
- 第三者の表示の前後において、事業者が第三者の表示内容に対して対価を既に提供しているか、
- 去に対価を提供した関係性がどの程度続いていたのか
- 今後提供することが決まっているか
- 今後対価を提供する関係性がどの程度続くのかなど
「事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があるか否か」の判断に当たっては、表示の対象となった商品又は役務の特性等(例えば、特定の季節のみに販売数量が増える商品であるか。)の事情を考慮するとしています。
事業者の表示とならない場合
以上のような事情を考慮したうえで、事業者の表示とならない場合として以下のようなケースを挙げています。
【事業者の表示とならないもの】
- 第三者が事業者の商品又は役務について、SNS等に当該第三者の自主的な意思に基づく内容として表示(複数回の表示も含む。)を行う場合。
- 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。
- アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にある表示を行う場合(たとえばアフィリエイターの表示であっても、事業者と当該アフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど)
- 第三者が自主的な意思に基づく内容としてサイトのレビュー機能を通じて、当該事業者の商品等の表示を行う場合(たとえば通常の商品レビューを自ら投稿する場合(レビューによる投稿に対する謝礼として、次回割引クーポン等を配布する場合であっても、レビュー(表示)内容について事業者と情報のやり取りが一切行われていない場合も含む))
- 事業者が実施するキャンペーンや懸賞に応募するために、第三者の自主的な意思に基づく内容とし表示を行う場合。
- 事業者が自社のウェブサイトの一部において、第三者が行う表示を利用する場合であっても、当該第三者の表示を恣意的に抽出することなく、表示内容に変更を加えず、そのまま引用する場合。
- 事業者が不特定の第三者に対して試供品等の配布を行った結果、当該不特定の第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。
媒体事業者の表示は基本的に事業者の表示にはあたらない
媒体事業者の表示は基本的に事業者の表示にはあたりません。
媒体事業者(新聞・雑誌発行、放送等)が自主的な意思で企画、編集、制作した表示については、通常、事業者が表示内容の決定に関与したといえないことから、事業者の表示とはならない。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
媒体事業者が自主的な意思で企画、編集、制作した表示には以下のようなものも含みます。
- 取材活動に基づく記事の配信
- 書評の掲載
- 番組放送
ただし、媒体事業者の表示であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる場合は、事業者の表示となる点に留意が必要です。
媒体事業者の表示内容の決定に事業者が関与したかは、取材活動等が正常な商慣習の範囲内かどうかが考慮要素となります。以下のようなケースでは媒体事業者の表示内容の決定に事業者が関与したとみなされることとなります。
【ステルスマーケティングになるもの】
- 通常考えられる範囲の取材協力費を大きく超えるような金銭が提供されている
- 通常考えられる範囲を超えた謝礼が支払われている
「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である」かは表示内容全体から判断される
本告示は事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると一般消費者に誤認される場合を規制するものです。
そのため
一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であるかは、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているかどうか、表示全体から判断されます。
「一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていないもの」について運用基準は次の2通りに分類しています。
- 事業者の表示であることが記載されていないもの
- 事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているもの
①:事業者の表示であることが記載されていないもの
事業者の表示であることが記載されていないものとして、指針では、以下を例示しています。
ア 事業者の表示であることが全く記載されていない場合
イ 事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際に、アフィリエイトサイトに当該事業者の表示であることを記載していない場合
②:事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているもの
事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているものとして指針では、以下を例示しています。
【ステルスマーケティングになるもの】
- ア 事業者の表示である旨について、部分的な表示しかしていない。
- イ 文章の冒頭に「広告」と記載しているにもかかわらず、文中に「これは第三者として感想を記載しています。」と事業者の表示であるかどうかが分かりにくい表示をする場合。あるいは、文章の冒頭に「これは第三者としての感想を記載しています。」と記載しているにもかかわらず、文中に「広告」と記載し、事業者の表示であるかどうかが分かりにくい表示をする場合。
- ウ 動画において事業者の表示である旨の表示を行う際に、一般消費者が認識できないほど短い時間において当該事業者の表示であることを示す場合(長時間の動画においては、例えば、冒頭以外(動画の中間、末尾)にのみ同表示をするなど、一般消費者が認識しにくい箇所のみに表示を行う場合も含む。)。
- エ 一般消費者が事業者の表示であることを認識できない文言を使用する場合。
- オ 事業者の表示であることを一般消費者が視認しにくい表示の末尾の位置に表示する場合。
- カ 事業者の表示である旨を周囲の文字と比較して小さく表示した結果、一般消費者が認識しにくい表示となった場合。
- キ 事業者の表示である旨を、文章で表示しているものの、一般消費者が認識しにくいような表示(例えば、長文による表示、周囲の文字の大きさよりも小さい表示、他の文字より薄い色を使用した結果、一般消費者が認識しにくい表示)となる場合。
- ク 事業者の表示であることを他の情報に紛れ込ませる場合(例えば、SNSの投稿において、大量のハッシュタグを付した文章の記載の中に当該事業者の表示である旨の表示を埋もれさせる場合)
「一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっている」とは
「一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていないもの」がステルスマーケティング規制の対象になります。
では事業者の表示であることが明瞭となっているとみなされるのはどのようなケースなのでしょうか。
運用基準では以下を例示しています。
ア 「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といった文言による表示を行う場合
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
イ 「A社から商品の提供を受けて投稿している」といったような文章による表示を行う場合
ただしアについてこれらの文言を使用していたとしても、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められない場合もあるとしています。
事業者の表示であることが明らかな場合、告示の対象とならない
事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭もしくは社会通念上明らかであるものは、告示の対象とはなりません。たとえば以下のようなケースはステルスマーケティング告示の対象外となります。
【ステルスマーケティングにならないもの】
- ア 放送におけるCMのように広告と番組が切り離されている表示を行う場合。
- イ 番組放送や映画等において事業者の名称等をエンドロール等を通じて表示を行う場合。
- ウ 新聞紙の広告欄のように「広告」等と記載されている表示を行う場合。
- エ 商品又は役務の紹介自体が目的である雑誌その他の出版物における表示を行う場合。
- オ 事業者自身のウェブサイトにおける表示を行う場合。
- カ事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を行う場合。
- キ 社会的な立場・職業等(例えば、観光大使等)から、一般消費者にとって事業者の依頼を受けて当該事業者の表示を行うことが社会通念上明らかな者を通じて、当該事業者が表示を行う場合。
事業者自身のウェブサイトであっても、第三者の客観的な意見として表示しているようにみえるが実際には第三者に依頼・指示をして特定の内容の表示をさせている場合(もしくはそもそも事業者が作成し、第三者に何らの依頼すらしていない場合))などには事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならないとしています。
その際の表示例として告示では次のような例を挙げています。
- 「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」といった表示をする
ステルスマーケティング規制に対して事業者がとるべき対策は
きたるステルスマーケティング規制の法制化に対して事業者は今のうちに対策を講じておくべきです。
では、具体例にどのような対策が有効なのでしょうか。
ステルスマーケティング規制への対策①:広告であることを明記する
事業者の表示であることが明瞭となっていれば、ステルスマーケティングとはみなされません。
そのため、広告であることを明りょうに表示することが重要です。
広告であることを表示するための文言として、ステルスマーケティングに関する検討会 報告書では以下の表現が例示されています。
- 「広告」
- 「宣伝」
- 「プロモーション」
- 「PR」
- 「A社から商品の提供を受けて投稿している」等
ただし形式的に文言を使用していたとしても、一般消費者が認識しにくい表記をしている場合、事業者の表示とみなされることがあります。
例
- 他の文字と比較して小さく表示
- SNSの投稿において、大量のハッシュタグのなかに「#PR」と表記
- 他の文字より薄い色を使用
(イ)一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているものについて
一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められるためには、一般消費者にとって、表示内容全体から分かりやすい表示となっている必要がある。一般消費者にとって分かりやすい表示の例としては、例えば、「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といった文言を使用することが考えられる。
ステルスマーケティングに関する検討会 報告書
・ただし、上記文言は例示であり、上記文言を使用していたとしても、表示内容全体から判断して一般消費者にとって事業者の表示であると認められない場合もあり得ることに留意することが必要。
・当該商品又は当該役務を購入しようとする一般消費者にとって、事業者の表示であることが分かりやすいものとなっている必要がある。
・また、例えば、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といったような表示も考えられる
ステルスマーケティング規制への対策②:womマーケティング協議会のガイドラインを遵守する
womマーケティング協議会のガイドラインに沿って表記をおこなえばステルスマーケティングとはみなされません。
WOMマーケティング協議会とは、口コミマーケティング協会(WOMMA)の略称です。
2009年に発足し、消費者が製品やサービスについて「正しく情報を知る権利」を尊重し、口コミで情報を共有することを中心としたマーケティング戦略に関する調査、研究、協議をおこなっています。
公的機関ではありませんが、womマーケティング協議会のガイドラインに沿って表記をおこなえばステルスマーケティングとはみなされません。