だいにち堂が消費者庁を相手取り、景品表示法処分の取り消しを求めた訴訟は、3月3日、東京地裁がだいにち堂の請求を棄却する形で決着がつきました。
だいにち堂は2017年、販売するサプリメントの広告が、景表法の優良誤認にあたるとして、消費者庁から措置命令を受け翌年8月、これを不服として命令の取り消しを求め提訴していました。しかし2021年3月3日東京地裁はだいにち堂の措置命令取消請求訴訟を棄却しました。
だいにちどう事件とは
だいにち堂事件とはサプリメント広告で目の症状を改善する効果が得られるかのような表示をおこなっていたとして、2017年3月に消費者庁がだいにち堂に景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を出したものです。以下、簡単に説明します。
争点となったのは主観的表現が優良性の標ぼうに当たるか
だいにちどう事件で争点になったのが、主観的表現が、優良性の標ぼうに当たるかどうかです。
だいにち堂はアスタキサンチン配合のサプリメントの広告で以下のような記載をしていました。
- 「ボンヤリ・にごった感じに!!」
- 「新聞・読書 楽しみたい方に 目からウロコの実感力!!爽快なクリア感アスタキサンチンを今すぐ始めませんか?クリアな毎日を応援します」
消費者庁は、「ボンヤリ」等の表現は、目の見え方が不良・良好な状態を意味しうるものであり、優良性を表現すると指摘。不実証広告規制の適用要件を満たすとし2017年3月景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を出しました。
他方、だいにち堂は、これらの表現は抽象的な表現であり、商品の効能性を示すものではなく不実証広告規制による根拠要求の対象外であるとしました。抽象的表現に根拠を求めるのは「表現の自由」も侵害するとして、同規制の適用は違法としました。
本件のポイント
だいにちどう事件は抽象的な表現であっても措置命令の対象になり得ることを示し、当時業界を震撼させた有名な事例です。今回控訴が棄却されたことで、「具体的なことは標ぼうせずとも広告全体として効能をイメージさせると措置命令対象になる」との行政の考え方がお墨付きとなりました。
今後事業者には、広告全体の印象にも気を配ることが求められます。
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