「アロマオイルで自律神経を整える」「マスクでインフルエンザ対策」「CBDで睡眠の質改善」こんな表現を使っていませんか。
実はこれらはすべて薬機法上のリスクがある表現です。
アロマオイルやマスク、CBD(カンナビジオール)などは雑貨(雑品)と呼ばれ、表現できる範囲が非常に限られています。とくにCBDは2020年に厚労省から注意喚起の文章も出されており、今後規制が厳しくなる可能性が高いです。
本稿では雑貨(雑品) とはなにか、雑貨(雑品)でいえること、いえないこと、表現のテクニックなどについて解説していきます。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
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をもつ専業薬機ライターが解説します。
雑貨(雑品)とは
雑貨(雑品)とはそもそもどういったものを指すのでしょうか。
はじめに化粧品や医薬品、医薬部外品、医療機器と雑貨(雑品)の違いをおさえておきましょう。
雑貨(雑品)とは薬機法の規制対象外のもの
雑貨(雑品)とは薬機法の対象外のものをいいます。明確な定義はありません。
たとえば以下のようなものです。
【雑貨(雑品)の例】
- アロマオイル
- CBD(カンナビジオール)
- サングラス
- 腕時計
- ネックレス
- マスク
薬機法の規制対象は医薬品、化粧品、医薬部外品、医療機器
薬機法の規制対象は大きく分けて以下4つです。
薬機法の規制対象
- 医薬品
- 化粧品
- 医薬部外品
- 医療機器(再生医療機器)
医薬品
医薬品は「治療」を目的とし、有効成分の効果が厚生労働省に承認を受けているものを指します。
医薬品の例
- 発毛剤
- 整腸剤
- 頭痛薬
医薬部外品
医薬部外品は「予防や衛生」を目的とし、肌あれ・にきびを防ぐ、毛を育てるなどの効果を持つ「有効成分」が、一定の濃度で配合されたものをいいます。
医薬部外品の効果は医薬品とくらべて緩やかです。
医薬部外品の例
- 育毛剤
- 日焼け止め
- 虫歯予防歯磨き粉
化粧品
化粧品は「人の身体を清潔にしたり、美化すること」を目的とし、作用の緩和なものをいいます。
化粧品は医薬部外品よりも効果が緩やかです。
化粧品の例
- ファンデーション
- マスカラ
- 化粧水
医療機器(再生医療機器)
医療機器(再生医療機器)とは「病気の診断や治療、予防」を目的とした機械器具などを指します。
意外に思われるかもしれませんが、眼鏡も医療機器です。
医療機器の例
- 体温計
- レーザー治療器
- MRI
- 眼鏡
- 手術はさみ
「化粧品」「医薬部外品」などの種類は目的で分類される
「化粧品」や「医薬部外品」「医療機器」といった種類は「目的」によって分類されます。
「治療」を目的としたものは医薬品・医療機器に、「予防・衛生」を目的としたものは医薬部外品に「身体を美しくしたり清潔にする、魅力を増す」ことを目的としたものは化粧品になるのです。
「治療」を目的……「医薬品・医療機器」
「予防・衛生」を目的……「医薬部外品」
「身体の美化・清浄・魅力UP」を目的……「化粧品」
たとえば「塩」は食べるのであれば「食品」になります。
お風呂に入れる目的で使うのであれば「医薬部外品」です。肌に塗るなら「化粧品」に分類されます。
塩を病気の治療を目的に使用するなら「医薬品」です。
はさみも、手術で使うなら医療機器に分類されます。
他方、図工の授業で紙を裁断する目的や、美容室でお客さんの髪の毛をカットする目的で使うなら雑貨(雑品)になります。
マスクでも同様です。
手術のときにつかうなら医療機器に分類されます。
ハロウィンでコスプレをするために使う場合や、芸能人が変装のために使う場合、雑貨(雑品)になるのです。
雑貨(雑品)では医薬品のような効果はいえない
雑貨(雑品)は薬機法(薬事法)の対象外ですが、医薬品のような効果も化粧品のような効果もうたえません。
以下の表現はすべてNGリスクがあります。
- アロマオイルでアレルギー症状を改善
- CBDオイルで自律神経を整える
- エッセンシャルオイルでストレスを緩和
- サングラスで疲れ目予防
- 磁気ネックレスで睡眠の質改善
- アロマテラピー
なぜ、薬機法(薬事法)の対象外であるはずの雑貨(雑品)で効果をいえないのでしょうか。
次章で解説していきます。
雑貨(雑品)は薬機法(薬事法)の対象外なのになぜ効果をいえない?
お伝えしているように、雑貨(雑品)は薬機法(薬事法)の対象外です。ではなぜ効果がうたえないのでしょうか。
雑貨(雑品)で効果をうたえないのは、医薬品や化粧品などの効果をうたうには承認や届け出が必要だからです。
つまり種別上は医薬品や化粧品であったとしても、広告表現として医薬品や化粧品の効果をうたうには、それぞれの要件を満たさなければならないのです。
以下、詳しく解説していきます。
薬機法でうたえるのは「承認された効果」
薬機法の基本は「認められた範囲のみうたえる」です。
たとえば化粧品では化粧品の効果効能56の範囲内のみうたえます。
「発毛」「若返る」など化粧品の効果効能56を逸脱した効果の標ぼうは認められません。
医薬部外品であれば、承認を得た範囲内がうたえます。
医薬品や医療機器でも同じです。
「胃腸のむかつきをおさえる」効果を承認された胃腸薬でうたえるのは、「胃腸のむかつきをおさえる」を越えない範囲の表現だけです。
胃腸薬で「頭痛改善」や「花粉症の症状を緩和」は認められません。
そして化粧品や医薬部外品、医薬品、医療機器として効果をうたうためには、化粧品や医薬部外品、医薬品、医療機器として販売するための届け出や許可が必要です。
×「種類(化粧品や医薬部外品)に該当」=「種別の効果をうたえる」
雑貨(雑品)は承認を得ていない
雑貨(雑品)は化粧品や医薬品などとして販売するための許可も受けていなければ、届け出も受理されていません。
そのため雑貨(雑品)では承認や届け出が必要な医薬品的効能、化粧品の効能は基本的にうたえないのです。
【雑貨(雑品)では承認や届け出が必要な効果は不可】
- 化粧品的効果
- 医薬品的効果
- 医薬部外品的効果
- 医療機器的効果
ただし美容雑貨は化粧品効能をうたえるケースがあります。
詳しくはこちらで解説しています。
雑貨(雑品)でうたえること、うたえないことは
次に、雑貨(雑品)でうたえることとうたえないことを見ていきましょう。
雑貨(雑品)でいえないこと
医薬品的効果
雑貨(雑品)では医薬品のような効果はうたえません。
医薬品のような効果をうたうには医薬品として承認を得る必要があります。
薬機法の未承認医薬品広告(第68条)では承認を受けていない医薬品などについて、広告してはならないと定めています。
薬品医療機器等法第68条(抜粋)
承認・認証を受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品について、その名称・製造方法・効能・効果又は性能に関する広告をしてはならない。
たとえば以下はすべてNGリスクがある表現です。
- CBDオイルでアレルギー症状を改善
- 除菌スプレーで殺菌
- CBDでホメオスタシスを維持
- エッセンシャルオイルで自律神経を整える
- アロマでストレスを緩和
「アロマセラピー」も認められません。セラピーには治療という意味があり、医薬品のような効果を連想させるからです。
「アロマトリートメントを受けるとこんな効果があります。たとえば○○…」といった表現もよく見かけますが、不可です。
- アロマセラピー
- アロマトリートメントを受けるとこんな効果があります。たとえば○○
医療機器のような効果
医療機器のような効果も認められません。医療機器の効果をうたうには医療機器としての承認が必要になります。
たとえば以下はすべてNGリスクがある表現です。
- ネックレスで血行促進
- サングラスで視力改善
化粧品のような効果
雑貨(雑品)では化粧品のような効果はうたえません。化粧品の効果をうたうには化粧品としての届け出や承認が必要になります。
たとえば以下はすべてNGリスクがある表現です。
- 肌のうるおいアップ
- 肌のキメを整える
- 毛髪のつやを保つ
雑貨(雑品)でいえること
雑貨(雑品)でも間接的な効果や物理的な効果なら標ぼうできます。
間接的な効果や物理的な効果の標ぼうには承認や届け出は必要ないからです。
間接的効果
- このエッセンシャルオイルをたくと部屋がいい香りになり、(間接的に)自律神経が整います
- このネックレスをみにつけると華やかになり、(間接的に)自分に自信がつきます
物理的効果
- アロマオイルを塗りマッサージすることでリンパの流れがよくなり(物理的に)むくみがとれます
- マスクでウィルスを(物理的に)ブロックします
「マッサージ」の表現は、あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)で規制されています。
実は厳密には「マッサージ」の文言そのものが不可とされているわけではありません。
整体や整骨など「医業類似行為」を業とするものが「マッサージ」とうたうことを規制するものです。
もっとも、企業の担当者でも「マッサージの文言が不可」と誤認されている方が多いので、現状では別の表現を用いるのがベターでしょう。
- 揉む
- 押す
あはき法についてはこちらで解説しています。
雑貨(雑品)の表現のテクニックを紹介
では、雑貨(雑品)の訴求のコツを見ていきましょう。
雑貨(雑品)では身体への直接的・具体的効果は認められません。間接的・抽象的に効果を表すテクニックが有効です。
雑貨(雑品)の表現テクニック:①「空間」や「時間」を演出
- 心の開放時間へ誘う
- お家時間の充実
- リラックス空間を演出
雑貨(雑品)の表現テクニック:②「気持ち」にアプローチ
身体の機能や構造に働きかけるかのような表現は医薬品的です。
「気持ち」や「内面」にアプローチしましょう。
- 軽やかに動きたい方におすすめ
- アップアップなあなたへ
- 外出が億劫な人に
雑貨(雑品)の表現テクニック:③「一時的な効果」「物理的な効果」にとどめる
身体を全く動かさずに効果があるかのような表現は医薬品的です。
あくまでも「物による」「一時的な効果」にとどめましょう。
- このオイルをつけて揉むと夕方の足のむくみが緩和※されます(※揉むことによる物理的な効果です)
- このレッグサポーターをつけてストレッチをするとリンパの流れが促進します。
注釈をつけて「一時的な物理的効果」であることを明記すると安全です。
雑貨(雑品)はうたえる範囲が限定的!違反しないよう注意しよう
雑貨(雑品)はうたえる範囲が非常に限られます。
現状では違反している広告も多いですが、今後規制が強化される可能性は高いです。なかでもCBDはその危険性からか国による注意喚起の文書も複数発出されています。
規制が厳しくなってから慌てずに済むよう、今のうちから対策を講じておきましょう。
弊社では日本でただ一人消費者庁の公的文書の誤りを改善させた実績を持ち「景品表示法務検定」のアドバンスクラス(平均合格率2.9%)も取得済(合格者番号APR22000 32)の専業薬機法ライターが、広告法務をサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
- わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける
をもつ専業薬機ライターが解説します。