Amazon合同会社は2017年12月27日に有利誤認表示で措置命令を受けています。表示主体性の考え方において、非常に重要な意味を持つ本事例について、今一度整理しておきましょう。
Amazon合同会社、有利誤表示で措置命令 2017年12月27日
Amazonは2016年~2017年販売する「クリアホルダー(1000枚入り)」「ブレーキフルード」「甘酒」の3種、5商品で参考価格を表示していました。
しかし実際にはこれら参考価格は、「参考価格」として表示することが認められない価格であったことから、消費者庁は2017年12月27日にAmazon合同会社に措置命令を発出しています。
Amazonはこの措置命令を不服とし、翌2018年1月、消費者庁に措置命令取消訴訟を提起します。
措置命令取消訴訟で争点になったのが表示主体性です。
景品表示法の表示規制は
1事業者が
2自己の供給する商品・役務の取引について(供給主体性)
3実際のものよりも著しく優良・有利な表示をしてはならない(表示主体性)
とするもので、
「供給主体性」と「表示主体性」の両方が認められなければ、規制対象となりません。
景品表示法の規制対象の考え方について詳しくはこちらで詳しく解説しています。
Amazon側は納品業者が入力した価格がそのまま参考価格に表示される「仕組み」を構築しただけであり、表示主体性は認められないと主張しました。
納品業者が入力した価格がそのまま参考価格に表示される「仕組み」を構築しただけだ!表示主体性は認められない!
しかし第一審東京地裁判決(2019年11月15日)は請求を棄却。表示主体性が認定されます。
いやいや、Amazonはサイト上に、いつ、何を、どこに、どのように表示するかという仕組みを自由に決定することができたよね。表示主体性は認められますよ。
判決理由は「Amazonにはサイト上に、いつ、何を、どこに、どのように表示するかという仕組みを自由に決定できる権限がある」ことでした。
Amazonは控訴しましたが高裁判決(2020年12月3日)で控訴棄却されます。2021年2月21日、Amazonは訴えを取り下げお詫び記事を掲載しました。