コロナ対策をうたったマスクは薬機法違反になる?

「マスク着用はやっぱりコロナ対策に効果があった」との研究結果が出て話題になっています。コロナ対策をうたったマスクも相変わらず出回っていますが、広告法務に携わる方なら気になるのが、「マスクでコロナ対策を訴求した場合は薬機法反になるのか」ではないでしょうか?コロナ対策をうたったマスクは薬機法違反になるのか、解説します。

目次

通常のマスクはコロナ訴求もセーフ

コロナ対策をうたったマスクが薬機違反になるのかを考えるときにまず検討しなければならないのが、薬機法の対象範囲です。まずはマスクが薬機法の規制対象に入るのかを確認してみましょう。

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)はその目的について次の通りに規定しています。

この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする(薬機法 第一条)。

条文からもわかるように、薬機法の対象となるのは

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 医療機器および再生医療等製品
コットン

です。このうち医療機器というとMRIやレントゲンなど仰々しいものを連想するかもしれませんが、実は家庭の救急箱に常備されているような脱脂綿やガーゼも医療機器に分類されます。

つまり怪しいのは医療機器にマスクが当てはまるか、です。

しかし医療機器は、薬機法第二条第4項において以下のとおり定義されています。

「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。」

したがって、”医療機器”とは

①構造、使用方法、効果又は性能が明確に示されるものであって、

②「疾病の診断、治療、予防に使用されること」又は「身体の構造、機能に影響を及ぼすこと」のどちらかの目的に該当し、

③政令で定めるもの

です。コンビニやドラッグストア等で販売されているマスクは①~③のいずれにもあてはあまらないので”医療機器”に該当しません。通常のマスクは”雑品”扱いとなり、薬機法の対象外です。

雑品とは

薬機法では化粧品や医薬部外品など、規制対象となるものを明確に分類しています。

  • 化粧品とは、体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で皮膚等に塗布等するものです。作用の緩和なものをいいます。
  • 医薬部外品とは、防止・衛生を目的に使用するものです。
    厚生労働省が承認した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されているものをいいます。
  • 「雑品(雑貨)」とは、化粧品にも、医薬部外品にも入らないものを指します。
    薬機法上の定義はありません。雑品は薬機法の規制対象外です。

ただし推奨はされない

ただし一般のマスクでコロナ対策をうたうことは推奨はされません

大阪府はHP内「マスク・手指の殺菌消毒を目的とするアルコール(エタノール)製剤等を、海外から輸入又は国内で製造販売したい方へ【薬事への該当性について】」において次のように記載しています。

一般に市販されているような不織布や布のマスクは、基本的に医薬品医療機器等法で規制する医療機器に該当しませんが、次の点に注意してください。

  • 疾病の治療を思わせる標ぼうをしないこと。
  • 感染症や花粉症予防など、疾病予防と考えられる標ぼうをしないこと。
  • コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど、疾病を引き起こす特定のウイルス名を標ぼうしないこと。

なお、医療や手術の際に患者に使用する人工呼吸器用のマスクや、空気・酸素マスクは、医療機器に該当します。                         

                          (引用元:大阪府 HP)

また一般社団法人日本衛生材料工業連合会発出の「マスクの表示・広告自主基準」では次のように記されています。

第三条表示および広告等の規制

 次に挙げる表示は、本品の容器・被包または広告についてその標榜をしてはなら

ない。

第一項 医薬品的な効能・効果の標榜

マスク全体として、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器的な効能、効果およ

び性能の標榜と消費者に誤認を与えるような以下の表示

1) 「疾病の予防、治癒効果」「薬理効果」の表示。

2) 「具体的なウイルス、菌の名称」の表示。

3) 「物理的な性能」を記載する場合にあっても、「具体的なウイルスや菌の名称」

の表示。

ただし、「マスク」は社会通念上、花粉によるアレルギーや風邪、インフルエンザ

などの対策用品として使用されており、「バクテリアやウイルスなどを含む咳やク

シャミの飛沫、花粉粒子を遮断することで、かぜ、インフルエンザ、花粉、粉塵

(PM2.5等)の季節の対策の一つとし用いる旨」の表現を使用として表現すること

は可能。(引用元:マスクの表示・広告自主基準|)

以上をまとめると

  1. 「花粉症を防げます」「風邪を予防できます」といった医薬品的な効果効能の標ぼう
  2. インフルエンザ」「コロナウィルス」などウィルス名の標ぼう

は不可ということになります(法律ではないので罰則はありません)。

違法ではないが表示には十分注意を!

これらの基準はあくまでも自主規制であり、法的拘束力をもちません。したがってルールを破ったからといって法的制裁を受けることはないでしょう。しかしながら、クレームにつながる恐れはあります。
多くの人が憤懣やるかたなく苛立っているコロナ禍にあっては、どんなことがクレームの発端になるかわかりません。表示には十分に気をつけたいところです。

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