薬機法(薬事法)上健康食品で疲労回復(回復)はうたえる?

薬機法の専門家 橋本 駿

健康食品で「疲労」「回復」といった表現は薬機法上認められません。これらは「身体の機能を回復・増強する効果」とみなされ、医薬品的効能に該当するためです。「疲労回復」「疲れた体に」「回復をサポート」などの表現はすべてNGです。また「疲労ケア」も回復を連想させるためグレーゾーンです。一方、「元気な体を保ちたい」「ハツラツとしていたい」「スッキリ快調な朝を」など、状態や気分に焦点を当てた抽象的表現はOKです。成分名を挙げる表記も問題ありません。

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目次

薬機法(薬事法)とは

薬機法(薬事法)とは、医薬部外品や化粧品などに関するルールを定めた法律です。

正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、2014年に「薬事法」から改正され、内容の一部変更とともに名称も薬機法になりました。

薬機法(薬事法)の目的は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品といった製品の品質や安全性を確保し、効果がきちんとあることを確かめて、私たちの健康を守ることです。

薬機法の基本規制

薬機法(薬事法)では、医薬品でないものが医薬品のような効果効能(改善、治る、筋力アップなど)をうたうことや、安全性や効果効能を保障する表現(副作用はありません、安心です、必ず効きます)などを禁止しています。

薬機法(薬事法)で禁止される表現の例

医薬品でない商品の医薬品的効果

  • 化粧水で「シワ改善」
  • サプリメントで「肝機能障害が治る」
  • 育毛剤で「発毛」

安全性や効果効能を保障する表現

  • 絶対に安全な商品です。
  • 確実に効きます。
  • 副作用はありません。

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健康食品で「疲労」「回復」は基本的にNG

薬機法では医薬品的な効能効果の標榜を禁じています。
医薬品的な効能効果とみなされるものに「身体の機能の増強を目的とする効果」があり、疲労回復(回復)はこれに該当します。

そのため、健康食品で疲労回復(回復)は原則、いえないわけです。

OK表現とNG表現

違法合法

では薬機法上、どのような表現であれば可能で、どのような表現は認められないのでしょうか。

NG表現

【NG表現】

  • 慢性疲労に
  • 疲労回復
  • 疲れた体に
  • 頑張った体の回復に

注目すべきは、直接的に「疲労」「回復」と表示しなくてもNGとなる場合がある点です。

薬機法の違法性は、その広告表現全体が与える印象で判断します。例えば上記「頑張った体の回復に」は誰がどう見ても疲労回復を連想しますよね。そのため認められません。

では「疲労ケア」はどうでしょうか。

「ケア」には「世話・手入れ・管理」などの意味もあるので、必ずしも即不可とはいえません。ただし「疲労」に用いて「疲労ケア」とすると、ほとんどの人は「疲労を回復してくれるんだ」という印象を持ちます。つまり「疲労ケア」は黒に近いグレーです。Life-lighterでは推奨しません。

OK表現

アイデア

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よくある質問

質問:健康食品の広告で「疲労回復」と書くと薬事法(薬機法)違反になりますか?
回答:「疲労回復」は、身体機能を一般的に増強・増進させる医薬品的効能として扱われます。そのため、サプリやドリンクなどの健康食品で「疲労回復」と表示すると、NGとなるリスクがあります。健康食品では「毎日の健康維持をサポート」など、あくまで健康維持の表現にとどめましょう。

質問:「疲労回復をサポート」という表現なら薬機法的にセーフですか?


回答:「疲労回復をサポート」もかなり危険です。薬機法や景品表示法の違法性は、表示全体から判断されます。「疲労が回復する」という医薬品的な印象を与えればアウトになることも考えられます。特に、ビフォーアフター画像や利用者の体験談と組み合わさると、実質「疲労回復効果」の標ぼうとみなされるリスクが高まります。健康食品の場合は「忙しい毎日の栄養補給に」「毎日を元気に過ごしたい方に」程度に抑えるのが得策でしょう。

質問:機能性表示食品なら「疲労感を和らげる」と書くことはできますか?


回答:機能性表示食品として届出を行い、科学的根拠を備えている場合に限り、「一時的な疲労感を和らげる」などの表現が認められるケースがあります。ただし、あくまで「一時的」なレベルに限定され、慢性的な疲労や疾病の改善を連想させる表現は認められません。また、届出内容を超えた誇張表現や他の媒体でのアレンジはNGとなるため、表示文言は必ず届出通りに用いる必要があります。

質問:入浴剤やドリンクなどで「疲れた体に効く」「疲労を回復する」と書けるのはどんな商品ですか?


回答:「疲労回復」「疲れた体に効く」といった表現が認められるのは、原則として承認を受けた医薬品や、一部の医薬部外品(疲労回復効能を持つ入浴剤など)に限られます。エナジードリンクや一般の健康食品は食品に分類されるため、このような表現を用いると医薬品的効能の標ぼうと判断されます。結果として薬機法や健康増進法、景品表示法の指導・措置命令の対象となるリスクがあるため、商品区分ごとの上限を確認することが重要です。

質問:「疲労回復」の代わりに使えるOK表現にはどんなものがありますか?


回答:健康食品や一般化粧品では、「疲労回復」そのものを避け、健康維持レベルにとどめた抽象度の高い表現が無難です。例えば「毎日の元気な生活を応援」「忙しい毎日の栄養補給に」「リフレッシュしたい時のひと息に」「前向きな毎日をサポート」といった言い回しがよく用いられます。いずれも具体的な症状や身体機能の改善には踏み込まず、「気分」「生活スタイル」「栄養補給」といった訴求にするとよいでしょう。)

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Life-lighterでは、日本でただ一人消費者庁の公的文書の誤りを指摘・是正に貢献した実績をもち、消費者庁と公正取引協議会の資格「景品表示法務検定」のアドバンスクラスを取得済(合格者番号APR22000 32)、わかさ生活に薬機法の専門家としてインタビューをうけた実績などをもつ専業薬機法ライターが広告法務をサポートしています。

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橋本 駿
消費者庁の誤りを指摘した薬機法の専門家
【この記事の著者】
薬機法や景品表示法などの専門家。NTTDocomoやハウス食品、富士薬品など大手企業との取引実績多数。
2023年には消費者庁の公的文書の誤りを指摘・改善、2024年にはわかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける。
現在は専業薬機法ライターとして記事制作や表現のチェック、広告に関するコンサルティング、法務研修、講演活動などをおこなう。
消費者庁・公正取引協議会の「景品表示法務検定アドバンスクラス(合格者番号APR22000 32)」や東京都福祉保健局の資格を有する。その他薬機法関連の民間資格ももつ(薬事法管理者資格など)。

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