


薬機法では、満足度やアンケート、口コミによる表現でも、効果や安全性を保証する内容はNGとされています。
たとえば「満足度93%」などの表現は、効能の誤認につながるため注意が必要です。使用感や香りに関する内容であれば、調査方法や対象を明示すれば表示可能ですが、調査が不十分な場合は景品表示法違反とされることもあります。
「No.1」表示に関しては2023年夏頃から摘発が増えており、注意が必要です。
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そもそも薬機法(薬事法)ってなに?
薬機法(薬事法)とは、医薬部外品や化粧品などに関するルールを定めた法律です。
正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、2014年に「薬事法」から改正されました。
薬機法(薬事法)の目的は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品といった製品の品質や安全性を確保し、効果がきちんとあることを確かめて、私たちの健康を守ることにあります。
薬機法の基本ルール
薬機法(薬事法)では、医薬品でないものが医薬品のような効果効能(改善、治る、筋力アップなど)をうたうことや、安全性や効果効能を保障する表現(副作用はありません、安心です、必ず効きます)などを禁止しています。
【薬機法(薬事法)で禁止される表現の例】
医薬品でない商品の医薬品的効果
- 化粧水で「シワ改善」
- サプリメントで「肝機能障害が治る」
- 育毛剤で「発毛」
安全性や効果効能を保障する表現
- 絶対に安全な商品です。
- 確実に効きます。
- 副作用はありません。
薬機法では効果や安全性の保証表現は禁止


薬機法では、効果や安全性の保証となるような表現は禁止されています。
広告表現の注意すべきポイントなどなどを定めた医薬品等適正広告基準では次のように規定しています。
3 効能効果、性能及び安全性関係
(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全
性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。
使用体験談等について、
経験又は体験談的広告は、かえって消費者に対し効能効果等や安全性について誤解を与えるおそれがあるとし、基本的には行ってはならないと定めています。
(5)使用体験談等について
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使
用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者
に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以
下の場合を除き行ってはならない。
なお、いずれの場合も過度な表現や保証的な表現とならないよう注意す
ること
ここには「アンケート」「調査」といった表現は出てきませんが、調査やアンケートの結果であっても効能効果を保証するものはアウトと考えられます。
また
化粧品等の適正広告ガイドライン口コミでは化粧品での標ぼうが可能な範囲でも効果に触れることそのものが効果の保証にあたるとみなされ不可となっています。
つまり実際の調査結果であっても効果に関するものは認められません。
「満足度〇〇%」も表示不可


「でも、満足や実感であれば効能効果にあたらないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、日本化粧品工業連合会(粧工連)の「化粧品広告審査会において話題となった広告表現」では以下のようにあります。
2.製品
スキンケア類
3. 指摘事項
「満足度93%!!」、「愛用者の98%が満足」
4.内容説明
効能効果又は安全性以外の使用方法・使用感・香りのイメージ等であることが、
明示されることなく、満足度の高い人が多数存在することをデータで示すことは、
効能効果又は安全性が確実であるかのような誤解を与えるおそれがあります。
(引用元:化粧品広告審査会において話題となった広告表現|日本化粧品工業連合会)
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】でも次のように規定されています。
E22 「調査結果に基づく数値」の表現
「満足度93%!!」、「愛用者の98%が満足」のように、調査結果に基づき数値で示すことは、効能効果又は安全性が確実であるかのような誤解を与えるおそれがあるので、原則として行わないこと。
以上から
満足度や実感でも、調査結果に基づく数値を示すのは原則不可です。
ただ、ガイドラインは次のように続きます。
ただし、効能効果又は安全性に対して誤認を与えることのない、「使用方法、使用感、香りの嗜好性等」に関するものであって、客観的調査に基づき、調査の概要を明示し、調査の結果が適正に引用されている場合については認められるものとする。
数値の表示は
- 「使用方法、使用感、香りの嗜好性等」に関するものあって、
- 客観的調査に基づき、
- 調査の概要を明示し、
- 調査の結果が適正に引用されている場合
に限り、効能効果や安全性について誤認を与えない範囲であれば可能ということになります。



単に「満足度98%」としたのでは消費者が「効果や安全性についての満足度表示」であると誤認しかねないためですね
NG
- 購入者の〇〇%が効果を実感
- 満足度93%!!
OK
- 使いやすさの満足度93%!!
- 愛用者の〇〇%が香りが良いと回答
「※」での対応も可能だが位置と大きさに注意
満足度表記に※などで「使いやすさ」と注釈をつけて効能効果のことではないことを表記することは可能です。ただし注釈は数値(○○%。○位など)の近くに十分な大きさで書く必要があります。
数値から離れた場所や小さな文字の場合、認められません。消費者から見づらく、気づかない恐れがあるためです。
美容健康の広告規制は基本的に、消費者目線で考えます。
調査人数も十分に確保する必要があります。
たとえば香りの満足度98%とした場合、かなりの人数が満足している印象を与えます。そのため、相当数の調査人数を対象とした結果でなければ、景品表示法の優良誤認表示や誇大広告にあたる可能性があります。
顧客満足度の表示をする場合パーセンテージだけでなく
- 調査方法
- 調査人数
- 調査対象
- 調査期間
などを具体的に明記し、誤認を与えないようにする配慮が重要です。もちろん、事情であることが前提です。
顧客満足度No.1は景表法に注意!


気をつけなければならないのが、「顧客満足度No.1」「お客様満足度○○部門No.1」などの「No.1表示」です。No.1表示は魅力的であるがゆえに不当表示が行われやすく、景品表示法で規制されています。
No.1表示には客観性な調査が必要
公正取引委員会事務総局の「No.1表示に関する実態報告書」(以下「実態報告書」といいます)では、No.1表示が不当表示とならないためには客観的な調査に基づいていなければならないとしています。
客観的な調査といえるためには、
- 関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家の多数が認める方法
- 社会通念上及び経験則上妥当な方法
のいずれかによることが必要です。
満足度等の算定には
無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し、作為が生じないように考慮して行うなど、客観性が担保される方法でおこなうことが求められます。
商品等の範囲も明記すること
No1表示をする際は、
「商品等の範囲」つまり”どこのなににおいて”No1なのかを、明瞭に記す必要があります。
(1) 商品等の範囲に関する表示
No1表示の根拠となる調査結果に即して,一般消費者が理解することができるようにNo.1表示の対象となる商品等の範囲を明りょうに表示すること。
(明りょうでない表示例)
「お客様満足度○○部門No.1」(注:○○は化粧品の種類,表示物は化粧品の通信販売に用いられているもの)(実際には,化粧品全体の○○部門における調査結果ではなく,通信販売される化粧品の○○部門における調査結果であった。)
「○○健康食品シェアNo.1」(注:○○は特定の栄養成分等)(一般消費者にとって,○○健康商品の範囲を理解することは困難なものであった。
引用元 No.1表示に関する実態調査について
NG
- 「お客様満足度○○部門No.1」
- 「○○健康食品シェアNo.1」
OK
- 「お客様満足度○○部門No.1(〇〇サイトにおける育毛シャンプー、調査期間〇〇~〇〇)」
- 「○○健康食品シェアNo.1(〇〇通販におけるブルーベリーサプリ、調査対象〇〇人)」
調査対象や方法、人数については明確な規定はありません。不当表示とみなされないよう、できる限り詳細に明記することが求められます。
満足度表記の摘発事例
2024年3月6日株式会社SCエージェント
消費者庁は、2024年3月6日、株式会社SCエージェントに対して、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に基づく措置命令を行いました。
同社は、蓄電池およびその導入に関する施工サービスに関して、自社運営ウェブサイト「エコ最安値.com」において、「口コミ人気 No.1 蓄電池販売会社」「アフターフォロー満足度 No.1」「コストパフォーマンス満足度 No.1」「工事品質満足度 No.1」と表示したり、「施工実績10,000件の信頼」「たくさんの蓄電池を販売・工事しています」と表示したりすることで、実際の取引条件よりも著しく有利であるかのように誤認させていたとのことです。
2024年2月29日飯田グループホールディングス株式会社ほか4社
消費者庁は、2024年2月29日飯田グループホールディングス株式会社ほか4社に対して、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に基づく措置命令を行いました。
同社グループは、注文住宅の建築請負サービスに関し、自社ウェブサイト(例えば飯田GHDのサイト)や一部子会社のサイト、SNS投稿などの媒体において、「土地情報が豊富な注文住宅会社 第1位」「高品質なのにローコストな注文住宅会社 第1位」「初めて住宅を建てる方におすすめの注文住宅会社 第1位」といった複数の「No.1」表示を行い、実際の取引条件よりも著しく有利であるかのように誤認させていたとのことです。
たとえば、これらの「No.1」表示は、実際に利用したことのある者やその分野に知見のある者を対象とした調査によって得られたものではなく、飯田グループが委託した調査では、利用経験や知見の有無を確認することなく、任意に選んだグループ内および特定9事業者との比較にとどまり、ウェブサイトの「印象」を問う形で実施されていました。
2024年2月28日エクスコムグローバル株式会社
消費者庁は、2024年2月28日、エクスコムグローバル株式会社に対して、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に基づく措置命令を行いました。
同社は、モバイルルーターのレンタルサービス「イモトのWiFi」について、旅行ガイドブック(例:「地球の歩き方 インドネシア 2020–2021」「地球の歩き方 ドイツ 2023–2024」)広告、および自社ウェブサイト上で、「お客様満足度 No.1」「海外旅行者が選ぶ No.1」「顧客対応満足度 No.1」と表示し、あたかも同社のサービスが調査に基づいて第1位であるかのような誤認を与えていましたが、実際には調査では利用経験の確認がなされず、特定の9サービスとの比較に限られるなど、客観的な裏付けのない表示だったとのことです。
2024年2月27日株式会社安心頼ホーム
消費者庁は、2024年2月27日、株式会社安心頼ホームに対して、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に基づく措置命令を行いました。
同社は、自社ウェブサイトにおいて「九州エリア口コミ満足度No.1」「信頼の3冠獲得 第1位」などと表示し、あたかも九州地区内において販売商品・役務に関して第一位であるかのように誤認させていたとのことです。
たとえば、「蓄電池|太陽光発電|エコキュート 九州エリア口コミ満足度No.1」などの表示がありましたが、実際には、利用経験者であるかを確認せず、特定9事業者のみを対比対象として選ぶなど、客観的な調査に基づいていないものでした。
2024年2月27日株式会社新日本エネックス
消費者庁は、2024年2月27日、株式会社新日本エネックスに対して、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に基づく措置命令を行いました。
同社は、自社ウェブサイトにおいて「No.1 JMR アフターフォローも充実」などの表示を行い、自社商品・役務が他社より優れているかのように誤認させていました。
たとえば、「No.1 2022 JMR 安心して導入できる太陽光発電・蓄電池販売」「3部門でNo.1を獲得しました!」などと表示していましたが、実際には利用者や知見の有無を確認せず、客観的な調査方法に基づいていない表示でした。
2023年6月14日株式会社バウムクーヘン
消費者庁は、2023年6月14日、株式会社バウムクーヘンに対して、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に基づく措置命令を行いました。
同社は、ペット用サプリメント「アイズワン」に関し、自社運営ウェブサイト、アフィリエイトサイト(「愛犬と満喫ライフ」「5分ブログ」等)上で表示された内容が、実際の取引条件よりも著しく有利であるかのように誤認を与えていた、とされています。
たとえば、自社ウェブサイトでは「年齢とともに不自由になっていくココ・・・若々しかった目の輝きもなくなったような・・・」「私にもできることが何かあるはず!!」と、目の白濁した犬のイラストや飼い主のイラストとともに表示し、「私も試してみます!」という文言とともに商品の画像を掲載していました。
こうした表示は、あたかも「アイズワン」を使えば白濁した犬の目の状態が改善するかのように消費者に期待させる内容だったとのことです。
満足度表示の摘発事例
2001年8月20日株式会社RAVIPA(ラヴィパ)
消費者庁はが2001年8月20日に株式会社RAVIPA(ラヴィパ)に対し、景品表示法第5条第1号(優良誤認)及び法第5条第2(有利誤認)に基づく措置命令を行いました。
株式会社RAVIPA(ラヴィパ)は「薬用Hairmoreスカルプエッセンス」と称する商品について自社ウェブサイトにおいて、「顧客満足度91.3%」と表示するなど、顧客の満足度が非常に高いものであるかのように表示していました。
顧客満足度等の算定に当たっては統計的に客観性が十分に確保されている調査を行わなければなりません。
しかし同社の行った調査は客観性が確保されているものではありませんでした。
ルールを守って適正広告を


満足度表示は魅力的ですが、化粧品広告で表示できるのは使用方法、使用感、香りの嗜好性に関してのみです。またNo1表示は景品表示法上の不当表示となることがあります。調査方法や人数、期間などについても可能な限り詳しく表示することを心がけましょう。
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