美顔ローラーやフェイススチーマーといった美顔器は、コロナ禍の在宅ケアのニーズもあり、市場が拡大しています。しかし美顔器の表現は、薬機法(薬事法)などの法律で細かく規制されています。今回は美顔器で認められる表現や美容機器と薬機法の関係、美容機器の表現テクニックなどを紹介します。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
- わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける
をもつ専業薬機ライターが解説します。
美顔器で「たるみ」「リフトアップ」はNG!美容機器と薬機法の関係とは
美顔器の広告で「たるみを解消して小顔美人に」「リフトアップ」などの表現をよく見かけます。しかしこれらは、すべてNGリスクがある表現です。まずは美容機器と薬機法の関係について解説していきます。
美顔器は通常「美容機器」に該当する
美顔器は通常、美容機器に分類されます。
美容機器の定義は次のとおりです。
美容機器とは…身体(肌を含む)の構造・機能に影響を与えないもので、単に美容(洗顔や化粧品を塗る動作の代用程度)を目的とするものです。
美容機器は美容雑貨として、事実に基づいた化粧品の範囲内の表現が認められます。
- 健康的な肌をキープ
- 肌を柔らかくする
- 肌のキメを整える
- 肌にハリを与える
- 肌をひきしめる
- 肌を滑らかにする
- (汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする
雑貨(雑品)は薬機法の規制対象外ですが、医薬品のような効果も化粧品のような効果もうたえません。
薬機法(薬事法)と「たるみ」表現の関係はこちらで詳しく解説しています。
他方、雑貨(雑品)のなかでも美容雑貨に分類されるものは、化粧品の範囲内であれば認められるという例外があるのです。美容雑貨には、以下のようなものがあります。
美容雑貨の例
- フェイスローラー
- 美顔スチーマー
- 脱毛器
ただし「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする」に関しては美容機器でも認められません。
「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする」は、日本香粧品学会の「化粧品機能評価ガイドライン」に基づく試験等で条件をクリアした場合のみ認められる表現です。
美容機器ではの「化粧品機能評価ガイドライン」に基づく試験は実施できないので「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現はできないわけです。
顔の形そのものに影響を与えるかのような、以下のような表現は、医療機器として認可されていない美顔器では、認められません。
- シミを薄くする
- 美白
- シワを改善
- お肌のターンオーバー促進
- 小顔になる
- たるみ解消
- リフトアップ
- 毛穴が目立たなくなる
医療機器として認可されている美顔器であれば、事実の範囲で上記のような表現は可能です。
美顔器で「浸透」はどこまで可能?
近年、美顔器は男性にも人気でさまざまな商品が販売されています。しかし市場が拡大しているぶん、リスクのある表現を使った美顔器の広告も増えています。
なかでも注意したいのが「浸透」の表現です。「浸透」表現については、日本化粧品工業連合会(粧工連)により、厳格なルールが定められています。美顔器で「浸透」はどこまで認められるのか、解説していきます。
浸透表現は角質層まで
化粧品ガイドライン【2020年版】で、化粧品の浸透表現は「角質層まで」とされています。
① 「肌への浸透」等の表現「肌への浸透」の表現は「角質層」の範囲内であること。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】
美顔器でも認められるのは「角質層まで」です。
- 角質層へ
- 浸透角質層のすみずみへ
「美顔器の機能で肌の奥までグングン浸透」などの表現は不可となるリスクもあります。
導入は必ずしも不可ではない
一方、「導入」については、現時点ではリスクは低いといえます。
「導入」は以前は不適切な表現とされていました。東京都も過去に「導入」を「過剰な浸透表現」つまり角質層を超える表現とする見解を出しています。
しかし、イオンタイプのスチーマーなどでは「導入」などの言葉を使っているメーカーも少なくありません。
「ブースター美容液」「導入化粧水」といった表現を使った広告も指摘は入っていないことから、現在は「導入」は即不可とはならないと判断してよいでしょう。
美顔器で注意したいその他の表現
美顔器の広告で使われることの多い、注意が必要なその他の表現について解説します。
お客様の声・口コミ体験談
美顔器の商品ページにおいて、口コミレビューとしてお客様の声で「シワが改善しました」「違いを実感しました」などの表現を使ってるものが散見されます。
しかし口コミでも薬機法や景品表示法の対象になり、これらの表現は認められません。
美顔器の口コミ体験談で認められるのは「使用感」までです。
- 使いやすかった
- 振動が心地よい
「ビックリです」「私史上最高の商品」「もう手放せません」などの表現は誇大広告(薬機法第66条)や、優良誤認表示(景品表示法第5条第1号)にあたるリスクもあります。
- シワが改善しました
- 翌朝違いに驚きました
- 私史上最高の商品です
- もう手放せません
「※個人の感想です」などの表示(打消し表示といいます)を示しても認められませんので注意しましょう。
口コミについてはこちらで詳しく解説しています。
「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」などの「打消し表示」についてはこちらで詳しく解説しています。
ビフォーアフター
ビフォーアフターは必ずしも不可ではありません。実はビフォーアフターは以前は禁止されていましたが、平成29年9月に「医薬品等適正広告基準」が改正され、現在では一定の条件を満たせばビフォーアフターの掲示も認められます。
ビフォーアフターについてはこちらで詳しく解説しています。
医薬品等適正広告基準についてはこちらで詳しく解説しています。
美顔器のOK表現、NG表現
次に、美顔器で認められる表現と認められない表現、表現テクニックを紹介します。
美顔器のOK表現
美容雑貨の美顔器では、化粧品の効果効能56をこえない範囲内なら認められます。
- 健康的な肌をキープ
- 肌を柔らかくする
- 肌のキメを整える
- 肌にハリを与える
- 肌をひきしめる
- 肌を滑らかにする
美顔器のNG表現
医療機器として承認を受けていない美容機器の美顔器では、顔のつくりを変えるかのような表現は認められません。
「乾燥による小ジワを目立たなくする」も不可です。
- シミを薄くする
- 美白
- シワを改善
- 乾燥による小ジワを目立たなくする
- お肌のターンオーバー促進
- 小顔になる
- たるみ解消
- リフトアップ
- 毛穴が目立たなくなる
美顔器の表現テクニック
最後に美顔器の表現テクニックをご紹介します。
- 使用方法で表現する
- 化粧品の範囲内で表現する
- イメージさせる
使用方法で表現する
使用方法で表現するテクニックです。美顔器で「たるみ」という表現は認められません。しかし
- 下から上へ引き上げるようにお使いください
- フェイスラインに沿ってお使いいただくと効果的です。
のように「使用方法の紹介」という見せ方であれば問題ありません。
化粧品の範囲内で表現する
化粧品で認められる表現を使うテクニックです。
美顔器で「毛穴を小さくする」という表現は認められません。ですが、
- キメの整ったお肌に
- 毛穴をひきしめる
のように化粧品効果効能56の範囲内の表現であれば、認められます。
また
- 毛穴が目立たなくなる(※)※汚れを落とすことによる物理的な効果です。
のように化粧品の範囲内であることを明記する方法もあります。
イメージさせる
薬機法では具体的な効果を表現することが規制されていますが、お客さんに「なんか効きそう・・・」という印象を与えることは規制していません。そこでイメージに訴えかける方法も有効です。
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美顔器で「たるみ」「リフトアップ」はNG!表現に気をつけよう
薬機法では認可を受けていない効能は認められません。美顔器でうたえるのは、化粧品の範囲内の表現だけです。現状では違反している広告も多いですが、今後規制が強化されていくことが予想されます。今のうちからしっかりと正しい知識を習得しておきましょう。
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