


薬機法(薬事法)では、健康食品やサプリメントで「やせる」「痩身」「ダイエット」などの表現は原則認められません。
しかし厚生労働省は「低カロリーのものを摂取することにより、結果的にやせる」場合は、「やせる」「瘦身」などの表現も問題ないとしています。
薬機法(薬事法)とは


薬機法(旧薬事法)とは、医薬部外品や化粧品などに関するルールを定めてた法律で、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
2017年、内容の一部改正とともに、名称も「薬事法」から「薬機法」に変更となりました。
薬機法(薬事法)では、医薬品でないものが医薬品のような効果効能(改善、治る、筋力アップなど)をうたうことや、安全性や効果効能を保障する表現などを禁止しています。
【薬機法(薬事法)で禁止される表現の例】
医薬品でない商品の医薬品的効果
- 化粧水で「シワ改善」
- サプリメントで「肝機能障害が治る」
- 育毛剤で「発毛」
安全性や効果効能を保障する表現
- 絶対に安全な商品です。
- 確実に効きます。
- 副作用はありません。
健康食品で「やせる」「ダイエット」がいえるケース


健康食品は医薬品ではないため、基本的には「やせる」「ダイエット」といった「身体の変化」を標ぼうすることは認められません。しかし実は、健康食品でも例外的に「やせる」ダイエット」と標ぼうすることができるケースがあるのです。
低カロリーロジックなら「やせる」がいえる


実は「やせる」「ダイエット」の語そのものが違反になるわけではありません。
厚生労働省が昭和60年に出した通知「痩身効果等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等について(薬監第38号厚生労働省昭和60年6月28日)」内、「痩身効果等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等の注意点(チェックポイント)」には次のように記載されています。
医薬品的な効果効能の標榜がないこと。
ア 痩身効果について
単にカロリーの少ないものを摂取することにより、摂取する総カロリーが減少して、結果的に痩せることは医薬品的効能効果とはいえない
痩身効果等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等について(薬監第38号厚生労働省昭和60年6月28日)
「商品に含まれるカロリーが低い。だから、結果的に摂取カロリーが減り、痩せる」
この低カロリーロジックでは、医薬品的な効果は一切関係していません。そのため「やせる」「ダイエット」「痩身」などの表現も薬機法上認められるということになります。
たとえば次のような表現は薬機法上問題となりません。
OK
- 「○○cal!スリムになりたいあなたにおススメ」
- 「カロリーが低いのでやせます」
- 「低カロリーなので、ダイエット中の方も罪悪感なく召し上がれます♪」
- 「食べたいけどカロリーが気になる…そんな方には○○(商品名)」
近年増えている「置き換えダイエット系の商品」はこの低カロリーロジックを使っているわけです。
痩身効果を標ぼうしても置き換えダイエット、すなわち低カロリーロジックであれば薬機法上の問題は生じません。
ただし、置き換えダイエットでも景品表示法には注意が必要です。置き換えダイエット系の商品でも措置命令が発出された事例があります。
例)
- 株式会社シエルに対する措置命令(2018/10/30)
- 株式会社シーズラボに対する措置命令(2021/11/24)
ひと昔前までは置き換えダイエット系の商材で摘発を受けるケースは皆無で、「置き換えダイエットは安全」と考えられていました。しかし近年では置き換えダイエット商材に対する措置命令が発出されています。
「ダイエット」の文言も薬機法上は問題ない


さらに健康増進法が規定する栄養表示基準では、栄養成分が低い旨の表示ができる食品は「ダイエット」といえるというルールがあります。
たとえばカロリーの場合、100 グラム当たり 40 キロカロリー以下のものについて、カロリーが低いという意味で「ダイエット」は標ぼう可能です。
-「便秘」は使える?-1-300x200.png)
-「便秘」は使える?-1-300x200.png)


薬機法は例外ルールも多い!必ず専門家に相談を


薬機法のルールは条文だけでなく、通知やガイドラインによってきめられています。そのため例外規定も多く存在します運用上の判断基準が存在します。ネット上の情報だけを鵜呑みにせず、必ず専門家から実務に即したアドバイスを受けることが、トラブル回避の近道です。