化粧品の「浸透」はどこまでOK?薬機法(薬事法)の基準や具体例

化粧品の広告で「肌の奥まで浸透」「角質層の奥までケア」などの表現を見かけます。しかし化粧品における浸透表現は薬機法(薬事法)で細かなルールが設けられています。今回は化粧品の浸透表現について最新の情報を踏まえて解説介します。医薬部外品の「基底層まで届く」などの表現についても紹介していますので参考にしてください。

情報の信ぴょう性については

  • 日本でただ一人景品表示法に関する消費者庁の文書の誤りを指摘・改善させた実績
  • 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
  • ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
  • 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者(健康増進法・食品表示法の資格)」
  • その他民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
  • わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける

をもつ専業薬機ライターが解説します。

目次

化粧品の浸透表現の薬機法(薬事法)上の位置づけ

鎮静

はじめに化粧品における浸透表現の薬機法(薬事法)上の位置づけを見ていきましょう。

そもそも薬機法(薬事法)では医薬品等適正広告基準の(5)で効能効果や安全性を保証する表現を禁止しています。

(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。

医薬品等適正広告基準

化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】では浸透等の表現化粧品の効能効果の発現が確実であるかのような暗示、及び効能効果の範囲を逸脱した効果を暗示するおそれがある表現とし、原則おこなってならないとしています。

E3 「肌・毛髪への浸透」等の作用部位の表現

浸透等の表現は、化粧品の効能効果の発現が確実であるかのような暗示、及び効能効果の範囲を逸脱した効果を暗示するおそれがあるため、原則として行わないこと。

化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】

つまり化粧品における浸透表現は原則的には認められません

化粧品の浸透表現は角質層までならOK!

しかし、浸透の表現は「角質層までなら認められます。

ガイドラインは以下のように続きます。

ただし、作用部位が角質層であることを明記した場合であって、かつ、広告全体の印象か ら効能効果の保証や効能効果の範囲の逸脱に該当するものでない場合に限って表現するこ とができる

化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】

またE3 「肌・毛髪への浸透」等の作用部位の表現 」では以下のとおり規定しています。

E3 「肌・毛髪への浸透」等の作用部位の表現 」
 
①「肌への浸透」等の表現
「肌への浸透」の表現は「角質層」の範囲内であること

化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】

要するに、化粧品広告における浸透表現

「角質層まで」の効果であり、広告全体から見たときに

効能効果の保証にあたらず化粧品の効果効能を超えるような印象も与えない場合のみ認められます。

【化粧品の浸透表現が認められる3つの条件】

  • 浸透が角質層までであることを明記する
  • 効能効果の保証にあたらない
  • 効能効果の範囲を越えない

化粧品の浸透表現|OK表現とNG表現

では具体的には、どのような表現であれば認められ、どのような表現であれば認められないのか

化粧品における浸透表現はのOK例とNG例を紹介します。

NG表現

【NG】

  • 肌の奥深く
  • 肌の奥から美容効果
  • 真皮にまで浸透
  • 角質層の奥へ
  • 「肌内部のいくつもの層*  (*角質層)」
  • 「肌*の奥深く (*角質層)」
  • 「肌の内側(角質層)から・・・」
  • 「ダメージを受けた角質層へ浸透して肌本来の肌に回復」(回復的)

注意したいのが「角質層まで」と注釈すればよいわけではない点。

たとえば「肌内部のいくつもの層* (*角質層)」の表現。”肌の内側”とすると医薬品的な印象を与えるので不可です。ガイドライン内でも以下のようにあります。

① 「肌への浸透」等の表現


「肌への浸透」の表現は「角質層」の範囲内であること。


[表現できる例]
「角質層へ浸透」、「角質層のすみずみへ」


[表現できない例]
「肌へ浸透」(「角質層」の範囲内であることが明記されていない)
「肌内部のいくつもの層*  *角質層」、「肌*の奥深く *角質層」
(注釈で「角質層」とあっても「肌内部」「肌の奥深く」という表現は、角質層の範囲
を越えて浸透する印象を与えるため不適切)
「肌の内側(角質層)から・・・」(医薬品的)

化粧品ガイドライン(2020年版)

OK表現

アイデア

化粧品で浸透表現についていえる範囲は非常に限られます。

たとえば「肌へ浸透」としても、角質層の範囲内であることを明記しなければ不可となるので注意が必要です。以下の表現であれば認められます。

【OK表現】

  • 肌へ浸透(浸透に※つけ「角質層」までと明記)
  • 内側にアプローチ
  • 角質層へ浸透
  • 角質層のすみずみへ
  • 角層の奥まで

同じ表現でも白黒の判断はケースバイケースになります。ですのでいっそのこと浸透訴求はやめて「うるおい補給」や「キメ」など別のアプローチでPRしていくのも手でしょう。

医薬部外品で、承認を受けていれば角質層を越えた浸透表現も可能

また、医薬部外品の場合は承認を受けていれば角質層を越えた浸透表現も認められます。

ガイドラインは以下のように規定しています。

E3 「肌・毛髪への浸透」等の作用部位の表現
ー(中略)ー

なお、医薬部外品の有効成分の浸透等の表現を行う場合は、事実に基づき、承認を受けた 効能効果の範囲を逸脱しないこと。

化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】

医薬部外品で、有効成分の浸透効果角質層よりも奥の「基底層」まで承認されている場合には、以下のような表現も認められます。

  • 「基底層まで浸透」
  • 「角質層の奥深くまで」

医薬部外品で、有効成分の浸透効果が基底層よりもさらに奥の「真皮層」までの承認されている場合には加えて以下のような表現も可能です。

  • 「真皮層まで浸透」

化粧品の浸透表現のルールは変わる可能性

注意したいのが、浸透表現のルールは近い将来変わる可能性がある点です。

化粧品広告の細かな表現ルールは、日本化粧品工業連合会(粧工連)などが決めています。

ルールの内容は、時世やニーズ、違反状況などによって変わっていくのです

たとえば現在「乾燥による小ジワを目立たなくする」は一定の要件を満たした場合化粧品でも認められていますが、以前は化粧品でシワに関する表現は一切認められていませんでした。

しかし2011年7月11日に、シワ対策化粧品への消費者ニーズ化粧品会社からの強い要望を踏まえて化粧品の効能効果表に「乾燥による小ジワを目立たなくする」が追加されたのです。

逆に認められていた表現がある時を境に認められなくなるケースもあります。

そして現在日本化粧品工業連合会における広告審査会のなかで議題にのぼっているのが、この角質層への浸透表現についてです。

現時点では化粧品の浸透表現も以下の条件を満たす場合は認められます。

  • 浸透が角質層までであることを明記する
  • 効能効果の保証にあたらない
  • 効能効果の範囲を越えない

「角層の奥まで」は 現状ではNGではありませんが、今後不可となる可能があります。

薬機法(薬事法)における化粧品の浸透表現のQ&A

質問:薬機法(薬事法)で化粧品の「浸透」表現は認められる?

回答:薬機法では、化粧品が「皮膚の表面や角質層までの作用」にとどまることが求められています。そのため、「浸透」という表現は、医薬品のように皮膚の深部まで作用する印象を与える可能性があり、誤解を招く表現として指摘されることがあります。使用する際は「角質層まで浸透」など、適切な範囲を明示することが重要です。

質問:「浸透力が高い」は広告表現h問題ない?

回答:「浸透力が高い」という表現は、消費者に医薬品のような効能を連想させる可能性があるため、薬機法の観点から注意が必要です。特に「深く浸透」「細胞レベルで浸透」などは、化粧品の範囲を超えるとみなされる可能性があるため避けるべきです。「角質層まで浸透」など、化粧品として認められる範囲を明確にすると安全です。

質問:化粧品の「浸透」を示すエビデンスは必要?

回答:「角質層まで浸透」など、化粧品の範囲での浸透を表現する場合でも、裏付けとなるエビデンス(試験データなど)が必要です。根拠がない場合、薬機法や景品表示法の観点から問題視される可能性があります。企業によっては、透過性試験や水分量測定などのデータを用意し、安全な表現を心がけています。

質問:「ナノ化成分が浸透する」と書いても問題ない?

回答:「ナノ化成分が浸透する」という表現は、成分が皮膚の深部まで入り込む印象を与えるため、薬機法に抵触する可能性があります。適切な表現としては、「ナノ化技術で角質層まで浸透しやすい」など、化粧品の範囲内にとどめることが推奨されます。また、実際にナノ化がどの程度効果を発揮するのか、エビデンスの準備も重要です。

質問:「浸透」を使わずに肌へのなじみを表現する方法は?

回答:「浸透」という言葉を避ける場合、「なじむ」「広がる」「潤いを届ける」などの表現が適しています。例えば、「角質層までうるおいを届ける」「肌になじみやすい処方」などが、薬機法に抵触せずに使用できる表現の一例です。特に「深く」「細胞レベル」などの言葉は慎重に扱う必要があります。

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