化粧品で「バージンヘアを手に入れる」はアウト!薬機法の毛髪補修表現の考え方

シャンプーやヘアオイルなどの広告では、「バージンヘアを手に入れる」「バージンヘアが蘇る」などの表現をよく見かけます。

毛髪の補修表現は、医薬品等適正広告基準や化粧品等の適正広告ガイドラインによって細かく制限されています。

本稿では、薬機法における毛髪の補修表現の考え方を

  • 景品表示法務検定アドバンス(消費者庁、公正取引協議会主催)
  • 食品の適正表示推進者(東京都福祉保健局主催)など

を所有する専業薬機ライターが解説します。

目次

毛髪の補修表現の原則

シャンプーやトニックなど頭髪用化粧品において、毛髪の損傷部位等への物理的補修表現は、ガイドラインにおける定義・化粧品の効能効果を超えない範囲のみ認められます。恒常的に補修ができるかのごとき表記はNGです。

 

化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】ではE17 毛髪の損傷等の補修表現で毛髪の損傷等の補修表現を以下のように定義しています。

 

 

(1) 毛髪の損傷等の補修のガイドラインにおける定義

・毛髪の補修とは、化学反応や薬理作用を伴わない補修成分で損傷毛髪を、物理的に補い繕うことであり、治療的な回復のことではない

 

よって

 

  • 再生
  • 回復

 

など治療的表現は不可となります。

「バージンヘアを手に入れる」はNG

NG違法

バージンヘアとはヘアカラーやパーマを一度もしたことのない髪のことをいいます。

「バージンヘアを手に入れる」「バージンヘアが蘇る」とすると必然的に再生・回復効果をうたっていることになり、アウトになる可能性が高いです。

NG表現とOK表現

 

NG表現

NG例

・毛髪補修成分が傷んだ髪を再生

・傷んだ髪を補修して健康な髪の再生を促す

・毛髪補修成分が髪の内部に浸透し、傷んだ髪が回復する

・毛髪を補修し、バージンヘアが甦る

・傷んだ髪を修復します

・傷んだ髪が回復します

・健康な髪が甦ります

 

注意したいのが、再生・回復表現だけでなく

 

傷んだ髪を補修して本質から髪質改善

・くせ毛改善

 

など髪質そのものを改善する表現もNGとなる点。

髪質改善をうたったシャンプーやトリートメントは多いですが、薬機法に抵触するおそれがあります。

その他、広告全体でみたときに治療的な効果(回復など)を思わせるものは認められません

例)

NG

・有効成分が浸透し・ダメージヘアを補修

 

OK表現

OK

  • 化粧品の効能範囲の補修表現
  • 整える表現
  • 髪表面をコーティングする表現

が可能です。

「保湿成分〇〇」など成分の配合目的の表記も認められます。浸透表現も過剰表現とならなければOKです。

化粧品において髪の補修表現に関してうたえるのは次のようなものになります。

  1. 傷んだ髪の補修表現
  2. 髪の表面の補修表現
  3. 髪の内部の補修表現
  4. 成分の特記表示の配合目的としての表現

 

 

1傷んだ髪の補修表現

・髪を補修して髪の質感をととのえる

・傷んだ髪の毛先まで補修してなめらかに

・傷んだ髪のキューティクルを補修

・枝毛等の・毎日のドライヤーで傷んだ髪を補修する

・枝毛をコートして補修するシャンプー

 

2髪の表面の補修表現

・髪の表面の凸凹を補修し、自然で美しいつや髪を

・キューティクルをしっかり密着させてなめらかな状態に補修

・補修成分がたんぱく繊維の隙間を埋めて補強し、キューティクルをコーティング

・〇○成分が傷んだ髪の表面に吸着して、しなやかな状態に補修します

 

3髪の内部の補修表現

「薬事法では”内部”まで働きかける表現・浸透する表現は医薬品的な効果にあたるので、認められないのでは?」

薬事の知識をお持ちの方ほど、こんな風に思われるのではないでしょうか。

実は、内部まで浸透する表現も条件付きで認められるケースがあり、髪の内部の補修表現も一定の範囲なら可能です。化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】では以下のように規定しています。

 

E3 「角質層・毛髪への浸透」等の作用部位の表現

角質層や毛髪部分へ化粧品成分が浸透する表現を行う場合は、浸透する部位が「角質層」や「毛髪」の範囲内であることを明記すること。また、浸透して損傷部分が回復(治療的)する等の化粧品の効能効果の範囲を逸脱する表現は行わない。  引用:化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】

 

つまり髪の内部の補修表現も、以下の条件を満たした場合認められるということになります。

  1. 化粧品の効能範囲内であり
  2. 浸透する部位が「毛髪」の範囲内であることを併記している

 

OK

・○○成分が髪の内部まで浸透し、髪のダメージを補修します

・傷んだ髪の芯まで補修します

 

NG

・傷んだ髪へ浸透して修復

・浸透して回復

ただし、髪の内部構造の名称に触れると医薬品的な効果をうたっていると取られる恐れがあるので注意しなければなりません。

 

あくまでも「内部」という表現にとどめるか「キューティクルまで」とするようにしましょう。

髪の構造

 

OK「キューティクルまで浸透」・・・「髪の表面」までなので可能

NG「コルテックスまで浸透」・・・「髪の内部」までなので医薬品的な効果とみなされる恐れ

 

 

4成分の特記表示の配合目的としての表現

・毛髪補修・保湿成分「○○」配合

・毛髪補修コート成分配合

・毛髪補修タンパク配合

 

正しい知識でホワイトな訴求を

毛髪の補修効果は男性・女性にかかわらず魅力的ですが、化粧品等の適正広告ガイドラインや医薬品等適正広告基準で細かなルールが定められています。ただ内容を押さえておけば、様々な切り口でのアプローチができますので、キチンと理解し、実務に活かしましょう!

 

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