本日東京都福祉保健局による講習会がありました。
最後の質疑応答の概要をお伝えします。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
- わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける
をもつ専業薬機ライターが解説します。
【雑品①】
質問
スマートウォッチで『検温』ができると表記しているものがありますが、このスマートウォッチは医療機器と判断されるのでしょうか。
体温の測定機能を持つものは医療機器とされるようですが、検温=体温測定ではないという判断もあるとききました。いかがでしょうか。
回答
検温という言葉は体温を測ることを意味します。したがって、検温機能がある機器については医療機器と判断されます。雑貨のスマートウォッチにおいて検温機能等の標榜は不可となりますのでご注意ください。
【雑品②】
質問
「筋肉を鍛える」という表現は訴求可能でしょうか?
回答
一般的に雑品としてのEMS機器や筋肉運動等に補助的に用いる製品については、筋肉を鍛えると標榜すること自体は可能となります。
【雑品③】
質問
医療機器でない雑品のマットレス等について、「(物理的に睡眠時の姿勢をサポートすることで)睡眠の質が良くなる」等の訴求をすることが可能か。
それとも、「寝心地がよい」などの使用感までが訴求可能な範囲であるか。
回答
いわゆる雑貨のマットレス等の広告において、睡眠の質の改善等を標榜することは不可となります。一方、物理的に睡眠時の姿勢をサポートすることで、体に負担がかかりにくい、寝心地が良い等の訴求であれば問題ありません。
【雑品④】
質問
生地に遠赤外線を放射する鉱石を練りこんだ靴下で「効能効果:血行促進」との表現は可能との認識で間違いないでしょうか。
回答
こちらについては、令和4年12月14日付、薬生監麻発1214第1号、遠赤外線を輻射する衣類等の取扱いについてという通知をご確認ください。
着用した使用者自身の体温、また衣類等からの遠赤外線の輻射によるもので血行促進する使用目的または効果を有する衣類等は、血行促進といった標榜のみを持って医療機器に該当するとは判断いたしません。
この場合の衣類等については、濃度型のもの、電動式のもの、また体への侵襲性があるものは除きます。
ただし、血行促進以外の医療機器的な使用目的または効果を標榜した場合は、家庭用遠赤外線血行促進用衣等の医療機器に該当いたします。
医療機器的な使用目的または効果に該当する広告・標榜については、例えば、疾病の治療、疾病の予防、疲労回復、筋肉の疲れを取る、筋肉のこりをほぐす、腰痛、肩こり、関節痛、炎症等の改善などが挙げられます。
また、血行促進による二次的効果の訴求もできませんので、ご注意ください。
【化粧品①】
質問
香りの効果として、「癒される」「リラックスする」は適切でしょうか。
例:〇〇の香りに癒される、癒しの〇〇の香り、リラックスする〇〇の香り、〇〇の香りでリラックス
香りによりリラックスする・癒されるということが明確であれば不可とはしておりません。
ただし、成分の効果による精神作用との誤認を与えないように注意が必要となりますので、ご注意ください。
【化粧品②】
質問
化粧品の新聞広告で漫画を使い登場人物が効果を表現する手法が多くなっています。
架空のユーザーボイスとも言えなくもありません。
その対処法などをご教示ください。
回答
漫画形式の広告についても、医薬品等適正広告基準の対象となります。
したがって、漫画形式の広告の内容が、使用体験談的なものであれば、医薬品等適正広告基準第4の3・5、効能効果等または安全性を保障する表現の禁止に抵触する可能性があります。
ただし、最終的には個別判断となりますので、ご注意ください。
【化粧品③】
質問
「着る化粧品のうち保湿成分を含有している肌着」について質問があります。
繊維に保湿成分を含ませて保湿効果をうたう下着を販売しています。この場合において、以下ご教示いただけますと幸いです。
1. 保湿効果をうたうだけで化粧品に該当か?
2. 上記で化粧品に該当する場合には、化粧品として許される表現&範囲ならOKか?
回答
1の質問については、人体への保湿効果を標榜する場合は、化粧品に該当いたします。
2の質問に対しては、事実の範囲内かつ作用が角質層に留まる場合は、化粧品の効能効果の範囲内で標榜が可能となります。
【化粧品④】
質問
昭和60年9月26日付 薬監第53号「化粧品における特定成分の特記表示について」の質問事項15において、“個別成分でなく総括的成分の場合であり「植物成分」「植物抽出液」「海藻エキス」「動物成分」「ハーブエキス」などである。”と説明されていますが、「アミノ酸」「タンパク質」「脂肪酸」「植物オイル」等も総括的成分と捉えることは可能ですか?
回答
植物成分や乾燥エキス等、種類・種別全般を示し、個別の成分名の記載がないものが総括的成分とみなされます。
よって、アミノ酸・タンパク質・脂肪酸・植物オイルも総括的成分とみなすことが可能となります。
【化粧品⑤】
質問
“美容成分”は配合目的とはならないと理解していますが、”5種の美容成分”とのみ広告に提示する際に、該当の成分名や配合目的を一緒に提示しなくてよいですか?
回答
配合成分数を上げることは事実である限り差し支えございませんが、強調的表現とならないよう注意が必要となります。該当の成分名の記載はなくても不可ではありませんが、美容という意味が化粧品の効能効果の範囲内なのであれば、その旨を明確にしていただくことが望ましいと考えます。
【健康食品①】
質問
医薬品と判断するための具体的基準についての質問です。「舌下錠」や「舌下吸収」などとは謳わないが、例えばラムネ菓子のように口の中でサッと溶けるようなお菓子的な商品を製造した場合、それは違法となるのでしょうか?
回答
舌下や口腔粘膜等からの吸収を目的としている場合は、医薬品的形状と判断されますので、いわゆる健康食品では不可となります。
一方、ラムネ菓子のように口の中で溶かして味わうことを目的としている場合は問題ありません。
【健康食品②】
質問
「非医薬品リスト」に「陳皮」が収載されていると思いますが、効果効能を標ぼうしない限り、一括表示の原材料名やパッケージの表面、POPなどに「陳皮配合」と記載することはできると考えてよろしいですか?
回答
この質問にある「陳皮」というものは生薬名のため、いわゆる健康食品の表示及び広告等において、原材料名として使用することは不可となります。
温州みかん等の起源植物名であれば記載は可能となります。
まとめ
令和6年度の医薬品等広告講習会は普段から直接薬務課に問い合わせをしているLife-lighterでも、参考になる事例がありました。
行政から一般向けに、このような回答が提供されるケースは医薬品等講習会以外にはほとんどありません。参考にしてください。