


薬機法では医薬品でない化粧品が「シワ改善」「シワ予防」など医薬品的な効果をうたうことは禁止されています。ただし例外的に、①メーキャップ効果(色彩や物理的効果で覆い隠す)②乾燥による小ジワを目立たなくする(効能評価試験済み)③医薬部外品として承認成分を配合した場合は表現が可能です。抽象的な表現や「潤い」「ハリ」といった化粧品効能の範囲で工夫することがポイントです。
NTTDoCoMoやハウス食品やエーザイなど上場企業と継続的に取引をし、わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受けるなどの実績をもつLifelighterでは、「AIに負けないライターになりたいけれど方法がわからない」という人向けに、毎月先着3名様限定で無料の個別相談を行っています。
NTTDoCoMoやハウス食品やエーザイなど上場企業と継続的に取引をし、わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受けるなどの実績をもつLifelighterでは、「AIに負けないライターになりたいけれど方法がわからない」という人向けに、毎月先着3名様限定で無料の個別相談を行っています。
などを有する専業薬機法ライターが解説。
薬機法(薬事法)とは


薬機法(薬事法)とは、医薬部外品や化粧品などに関するルールを定めた法律です。
正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
2017年、内容の一部改正とともに、名称も「薬事法」から「薬機法」に変更となりました。
薬機法(薬事法)では、医薬品でないものが医薬品のような効果効能(改善、治る、筋力アップなど)をうたうことや、安全性や効果効能を保障する表現(副作用はありません、安心です、必ず効きます)などを禁止しています。
【薬機法(薬事法)で禁止される表現の例】
医薬品でない商品の医薬品的効果
- 化粧水で「くすみ改善」
- サプリメントで「肝機能障害が治る」
- 育毛剤で「発毛」
安全性や効果効能を保障する表現
- 絶対に安全な商品です。
- 確実に効きます。
- 副作用はありません。
化粧品でシワ改善はNG


薬機法では医薬品でないものが医薬品的な効果効能をうたうことを禁止しています。
シワ改善、シワ予防などの表現は医薬品効能に当たり、未承認医薬品広告(薬機法第68条)違反となるリスクがあります。
シワの改善効果はNG
- シワ改善
- シワ予防
- シワを消すなど
薬機法(薬事法)上化粧品で「シワ改善」がいえる3つの条件を紹介


化粧品では基本的にはシワ改善効果をうたうことは認められません。ただし、シワに対する効果が標ぼうできるケースもあります。以下では化粧品でシワ改善をうたえるケースについて解説していきます。
化粧品でシワ改善をうたえるケース①:メーキャップ効果によるシワ改善


化粧品ではメーキャップ化粧品によるメーキャップ効果の標ぼうは認められます。
ではメーキャップ化粧品とは、どういったものをさすのでしょうか。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】はメーキャップ化粧品について以下のように規定しています。
1. メーキャップ化粧品の範囲
「メーキャップ化粧品」の範囲は、薬事法第2条第3項で規定する化粧品の定義のうち「容貌を変える効果を主目的として使用される化粧品」であって、以下に適合するものとする。
「ファンデーション類」、「白粉打粉類」、「口紅類」、「眉目頬化粧品類」及び「爪化粧品類」のいずれかに属するものであって色彩効果を有する化粧品(タルカムパウダー、リップクリーム等の色彩効果を有さない製品は除外する)。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】
メーキャップ化粧品とはファンデーション類、白粉打粉類、口紅類、眉目頬化粧品類、爪化粧品類のうち、色彩効果を有する化粧品 です。
「メーキャップ化粧品」=次の分類の化粧品のうち、 色彩効果を有するもの
- ファンデーション類
- 白粉打粉類
- 口紅類
- 眉目頬化粧品類
- 爪化粧品類
メーキャップ化粧品としては次のようなものが挙げられまです。
メーキャップ化粧品の例
- ファンデーション
- 口紅
- チーク
- コンシーラー
- マスカラ
- ネイル
では、メーキャップ効果とはどんな効果なのでしょうか。
化粧品広告ガイドライン2020年版ではメーキャップ効果を次のように定義しています。
色彩により、覆う、隠す、見えにくくする等の物理的効果
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】
つまりメーキャップ効果とは色彩効果を有する化粧品(ファンデーションやチーク、コンシーラーなど)の色彩効果により覆う、隠す、見えにくくする等の物理的効果です。
したがって、以下のような表現は認められます。
【OK】メーキャップ効果で可能なシワ改善効果
- 瞬間シワカバー
- ファンデーションでおしろい肌へ
- 毛穴をカバーし、しわのない肌に(○)
- しわを覆い隠す
- 老け顔の原因シミをカバーし見た目年齢-5歳


化粧品でシワ表現をうたえるケース②:物理的効果によるシワ改善


化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】ではメーキャップ化粧品以外の化粧品による色彩効果以外のメーキャップ効果も認めています。つまり物理的なメーキャップ効果によるシワ改善効果も標ぼうが可能です。
たとえば、「テープにより、ハリを与える」といった表現は物理的な表現なので認められます。
2. メーキャップ効果の範囲
「メーキャップ効果」とは、「メーキャップ化粧品」による色彩効果を原則とするが、「メーキャップ化粧品」以外の化粧品による「色彩効果以外の物理的な効果」についても、メーキャップ効果を表示し、広告することは事実に反しない限り認められる。
化粧品等の適正広告ガイドライン【2020年版】
ただし色彩効果以外の物理的なメーキャップ効果を標ぼうできるのは「客観的に事実」であり「化粧品の定義の範囲を逸脱しない」場合に限られます。
色彩効果以外の物理的なメーキャップ効果がいえるケース
- 「客観的に事実」であり
- 「化粧品の定義の範囲を逸脱しない」
合理的根拠が必要


注意が必要なのが、物理的効果であっても合理的な根拠が必要ということです。
たとえば、「テープにより、ハリを与える」といった表現は物理的な表現なので認められますが、合理的な根拠が求められます。



一昔前まで、メーキャップ化粧品についてそのメーキャップ効果が事実であることの根拠データの提出を求められることはありませんでした。
しかし、近年では物理的効果をうたうメーキャップ化粧品・およびその不当広告が増加してきたことで、効果の根拠資料の提出を求める動きが出てきています。
物理的効果を標ぼうする場合、注意しなければなりません。。
化粧品でシワ表現をうたえるケース③:乾燥による小じわを目立たなくする


化粧品では効果効能表の範囲内であれば標ぼう可能です。化粧品効果効能表の56に「乾燥による小じわを目立たなくする」があります。
もっとも、日本香粧品学会が平成18年に公表した「化粧品機能評価法ガイドライン」に基づく試験、もしくは同等以上の適切な試験で効果が評価されたものでないと、「乾燥による小じわを目立たなくする」はうたえません。
また加齢によるシワ等を含め、全てのシワに効果があるものと誤認される表現をしてはいけないとされています。
「乾燥による小じわを目立たなくする」を標ぼうできるのは以下の条件を満たす場合のみ
- 「化粧品機能評価法ガイドライン」に基づく試験か同等以上の適切な試験で効果の評価をおこなっていること
- その試験で一定以上の効果が確認されていること
- 加齢によるシワ等を含め、全てのシワに効果があるものと誤認される表現をしていないこと



実は「乾燥による小じわを目立たなくする」は当初は化粧品の効能表にはありませんでした。
2011年7月11日に、当時化粧品でもシワへの効果を訴求したいというメーカーの強い要望や消費者ニーズがあったことから、追加されたのです。
「小ジワ」の強調は認められない


日本化粧品工業連合会(粧工連)の通知によれば「小ジワ」の字句のみの強調は認められません。
また、「小ジワ*を目立たなくします」として「*乾燥による」を注釈することは不可となっています。
小ジワの悩みを解消も不可


「小ジワの悩みを解消します」も認められません。
「小ジワの悩みを解消します」が認められないのは、あくまでも「目立たなくする」効果であることが明確に分かる表現でなければならないからだと考えられます。
ただし、「目立たなくする」に関しては、注釈することはNGとはされていません。
したがって、「乾燥」と「小ジワ」を強調して「乾燥による小ジワの悩みに*︕」という見出しにし、「*乾燥小ジワを目立
たなくします」という注釈をつければOKといえます。
シワ改善で認められる表現と認められない表現


認められない表現
- シワ改善
- シワ予防
- シワを消す
- シワをなかったことに
- 小ジワの悩みを解消します
- 小ジワ(※)を目立たなくします
(※)乾燥による - お肌がピーン
- 肌年齢ー5歳
認められる表現
- 瞬間シワカバー
- ファンデーションでおしろい肌へ
- 毛穴をカバーし、しわのない肌に
- しわを覆い隠す
- 老け顔の原因シワをカバーし見た目年齢-5歳
- 乾燥による小ジワの悩みに(※)
(※)乾燥小ジワを目立たなくします - エイジレスなお肌
- シワの原因は乾燥。○○でうるおいを与えよう
- 乾燥による小じわを目立たなくする
- 深く刻まれた悩み
- 目元のための美容液
- 深い溝を埋める
- 年齢を感じさせない肌
シワ改善のいいかえテクニック


では、シワ改善はどのようにいいかえればよいのでしょうか。続いて、シワ改善のいいかえテクニックを紹介します。
シワ改善のいいかえテクニック①:メーキャップ効果にする


シワ改善はメーキャップ効果であればいえます。メーキャップ効果でいえるのは、以下の範囲です。
メーキャップ効果の範囲
- 色彩効果を有する化粧品の色彩効果(覆う、隠す、見えにくくする等)
- 色彩効果を有さない化粧品の色彩効果以外の物理的な効果
簡単にいうと、肌そのものの変化ではなく見た目上の変化なら認められることになります。
- 瞬間シワカバー
- ファンデーションでおしろい肌へ
- 毛穴をカバーし、しわのない肌に
- しわを覆い隠す
- 老け顔の原因シミをカバーし見た目年齢-5歳
- シワ伸ばしテープで引き上げる
シワ改善のいいかえテクニック②:化粧品の効能効果56の範囲にとどめる


化粧品では化粧品効能効果56の範囲であればうたえます。
そのため単純に化粧品の効能効果56をこえないよう文脈で調整するのもテクニックです。
たとえば化粧品の効能効果56のうちシワに関連する表現には以下のようなものがあります。
化粧品の効能効果のうち肌関連のものの例
- 23. 肌をひきしめる
- 24. 皮膚にうるおいを与える
- 25. 皮膚の水分、油分を補い保つ
- 26. 皮膚の柔軟性を保つ
- 27. 皮膚を保護する
- 28. 皮膚の乾燥を防ぐ
- 29. 肌を柔らげる
- 30. 肌にはりを与える
このうちたとえば「24.皮膚にうるおいを与える」「29.肌を柔らげる」「30.肌にハリを与える」を使ってシワ改善の表現を作ると次のような表現が可能です。
- シワの原因は乾燥。○○でうるおいを与えよう
- 柔らかでハリのあるお肌を保つ
効能表56の「乾燥による小じわを目立たなくする」をいいかえた表現も認められます。
- 乾燥による小ジワの悩みに(※)
(※)乾燥小ジワを目立たなくします
ただし「小ジワ」を強調したり、小ジワの悩みにとするとNGです。
- シワの原因は乾燥。○○でうるおいを与えよう
- 柔らかでハリのあるお肌を保つ
- 乾燥による小じわを目立たなくする
- 乾燥による小ジワの悩みに(※)
(※)乾燥小ジワを目立たなくします
シワ改善のいいかえテクニック③:エイジレス、目元悩みなど抽象的な表現を使う


抽象的な表現を用いるテクニックです。シワを想起させる表現としては次のようなものがあります。
- 刻む
- 溝
- 目元
- 年齢肌
もっとも、抽象的な表現でも医薬品的効能を強く想起させるものは不可となるおそれがあるため注意してください。厚労省は「カラスの足跡」も不可としています(昭和62年11月25日)。
- エイジレスなお肌
- 深く刻まれた悩み
- 年齢肌の悩み
- 目元のための美容液
- 深い溝を埋める
- 陶器肌
- 卵肌へ
- ノーマスクでも余裕
シワ改善は医薬部外品で承認を得ていればうたえる


化粧品で標ぼう可能なシワ改善効果は「メーキャップ効果によるシワ改善」と「物理的効果」「乾燥による小じわを目立たなくする」のみです。
それ以外のシワ改善効果は認められません。しかし、大手企業の化粧品でも堂々と「シワ改善」と表現していれる商品がありますよね。一体なぜOKなのでしょうか。
実は医薬部外品で、シワ改善の効果が承認された有効成分が配合されていれば、承認の範囲内でシワ改善も標ぼう可能なのです。
薬機法の表現の考え方は「認められた範囲で効果をうたえる」というものです。
化粧品効果効能表の56の範囲で効果をうたえますし、医薬部外品は有効成分の承認の範囲で効果をうたえます。
なおこの考え方は医薬品にも共通します。たとえば胃腸薬として承認を受けた医薬品が「頭痛改善」とするとNGということです。


2023年2月26日現在、シワ改善の効果が承認されている有効成分は以下の3つのみです。
- ナイアシンアミド(ビタミンB3)
- ニールワン
- レチノール
ナイアシンアミド(ビタミンB3)
ナイアシンアミドは表皮のターンオーバーや真皮のコラーゲン生成を促進し、皮膚のバリア機能を改善することによりシワ改善効果が期待できる成分です。
ナイアシンアミドを配合している化粧品にはONE BY KOSE(ワンバイコーセー)の「リンクレス」シリーズや資生堂のプリオールシリーズなどがあります。


ニールワン
ニールワンはポーラ・オルビスホールディングスが2002年から15年かけて研究開発したシワ改善に効果のある有効成分です。
好中球エラスターゼの働きを抑制しシワを改善します。
ポーラのリンクルショットシリーズが有名ですね。


レチノール
レチノールはビタミンAの一種です。ビタミンAの一種です。肌の細胞体に働きかけて、コラーゲン生成を促進し皮膚に柔軟性を与えて、しわを改善します。ヒアルロン酸の合成を促すことにより肌の水分量を高める効果も期待できます。
レチノールを配合している化粧品には、世田谷自然食品のシークなどがあります。


詳しくはこちらの記事で解説しています。
よくある質問と回答


質問:化粧品で「シワ改善」と表示することは薬機法上可能ですか?
回答:化粧品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)により、効能効果が56項目に限定されており、「シワを改善する」という直接的な表現は含まれません。そのため、化粧品で「シワ改善」と表示することは原則できません。ただし、乾燥による小ジワであれば、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現が認められています。本質的なシワ改善を謳えるのは医薬部外品です。
質問:薬機法上、化粧品でシワに対してどのような表現が許されていますか?
回答:化粧品でシワについて表現する場合、日本化粧品工業連合会の自主基準に基づき、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現が認められています。これは、あくまで保湿効果により一時的な小ジワを対象としたもので、根本的なシワの改善を示唆するものではありません。永続的な効果や深いシワへの改善効果を謳うことは、薬機法違反となるため注意が必要です。必ず「効能評価試験済み」などの条件を明記しましょう。
質問:「シワを改善する」と明記できる化粧品と医薬部外品の違いは何ですか?
回答:「シワを改善する」と直接的に謳えるのは、厚生労働大臣が承認した有効成分を配合した「医薬部外品」に限られます。医薬部外品は、その有効性や安全性が個別に審査・承認されているため、特定の効能効果を標榜できます。一方、化粧品は薬機法で定められた56項目の効能効果しか表示できず、その中に「シワを改善する」という表現は含まれません。化粧品はあくまで美容目的であり、医薬部外品は積極的な効果を期待できる点が異なります。
質問:化粧品の広告で、シワに関するNG表現にはどのようなものがありますか?
回答:化粧品で「シワが消える」「シワをなくす」「深いシワにも効果」といった直接的な表現は薬機法違反です。これらは化粧品の効能効果の範囲を超え、医薬品的な効果を暗示すると判断されます。また、使用前後の比較写真でシワが明らかに改善されたように見せる表現も、消費者に誤解を与える可能性があり、不適切とされます。過度な表現や断定的な表現は避け、薬機法のガイドラインを遵守することが重要です。
質問:薬機法に適合する、シワに関する化粧品の広告表現例を教えてください。
回答:薬機法に適合する化粧品のシワに関する表現としては、「乾燥による小ジワを目立たなくする(効能評価試験済み)」が代表的です。その他、「潤いを与え、ハリのある肌に導き、乾燥による小ジワを目立たなくする」や「肌をふっくらと整え、乾燥による小ジワを目立たなくする」といった表現も可能です。あくまで保湿効果による間接的なアプローチであることを明確にし、医薬品的な効果を連想させない工夫が求められます。
シワ訴求はいいかえが難しい!別のアプローチで攻めるのも手


シワの改善は非常に大きなニーズがあるため、ついつい過剰表現を使いたくなってしまいます。しかし、化粧品でシワの改善表現を標ぼうすると、広告審査でも非承認となりやすいです。シワ改善のいいかえができない場合、「うるおい訴求」「乾燥訴求」など、別の確度からアプローチするのも選択肢でしょう。