近未来の発毛を担う「バルジ領域」|その働きと3つ復活方法を解説

「バルジ領域」をご存じでしょうか。バルジ領域は、毛母細胞に指令を出し毛の発育を促すなど、発毛に多大な影響を与えるといわれる表皮近くの幹細胞です。

通常バルジ領域の機能は加齢などで低下してきますが、近年の研究でバルジ領域を簡単に復活(活性化)できることが判明したのです。

そこで本稿では

  • バルジ領域の働き
  • バルジ領域が機能低下する原因
  • バルジ領域を復活(活性化)する方法

などを景品表示法務検定アドバンスの筆者が解説していきます。

目次

バルジ領域とは

出典:天真堂

バルジ領域とは、2000年ころに発見された幹細胞です。

バルジ領域は発毛の研究過程で発見されたものですが、逆に脱毛に利用することもできます。

従来、毛の発育には毛包や毛母細胞が重要と考えられていました。しかし実は毛の生成には、毛根よりも表皮に近い真皮にあるバルジ領域が大きく関わっていることが分かったのです。

毛包幹細胞と色素幹細胞

毛根の仕組みバルジ領域について理解を深めるには、毛包幹細胞色素幹細胞について知っておく必要があります。

毛包幹細胞と色素幹細胞は毛の発育に関わる細胞です。

毛包幹細胞

髪の毛は、頭皮の奥にある毛根のなかの「毛包」で作られます。毛包の根元には髪の発育にかかわる「毛乳頭細胞」と「毛母細胞」があります。

毛母細胞は毛乳頭細胞からの指令を受けて、細胞分裂を繰り返して次第に角質化します。これが髪の毛です。

そして毛乳頭に発毛の指令を出すのがバルジ領域です。

色素幹細胞

毛は毛包のなかで作られるときは無色です。色素細胞(メラノサイト)が黒い色素を作り、毛に吸収されることで黒くなっていきます。

色素細胞のもととなるのが、色素幹細胞です。

簡単にいうと、

司令塔であるバルジ領域が「毛を生やせ」「髪を黒くしろ」と命令

プレイヤーである毛包幹細胞(毛母細胞・毛乳頭)・色素幹細胞(色素細胞)が「毛を生やす」「髪を黒くする」

ということです。

  1. バルジ領域
  2. 毛包幹細胞(毛母細胞・毛乳頭)
  3. 色素幹細胞(色素細胞)

どれが欠けても黒い毛は生えてこなくなります。

命令がなければプレイヤーは動かず、プレイヤーがいなければ命令は意味をなさないわけですからね。

バルジ領域と17型コラーゲン、毛包幹細胞、色素細胞の関係

17型コラーゲン

もう少し詳しくみていきましょう。

毛包幹細胞は17型コラーゲンをと呼ばれるタンパク質を産生しています。

毛包幹細胞は17型コラーゲンの働きによりバルジ領域につなぎ止められ、脱毛因子TGF-βを出すことによって色素幹細胞をまたつなぎ止めています。

例えるなら

  • 17型コラーゲンが茎
  • 毛包幹細胞・色素細胞が茎に連なる葉っぱ

というイメージです。

バルジ領域が何らかの理由で不活性化すると、毛包幹細胞が機能しなくなります。すると毛包幹細胞から17型コラーゲンが産生されなくなり、この芋づる状態を維持できず、分化されてしまいます。

すると髪の元となる毛母細胞が作られなくなり、脱毛を招くわけです。

バルジ領域が不活性化する原因

では、バルジ領域が不活性化する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しいことは判明していないものの、以下が考えられています。

  • 加齢
  • ストレス
  • 紫外線などの外的刺激

バルジ領域を復活させる方法

上向きの矢印「バルジ領域を不活性化するのが加齢やストレス・紫外線って…。ほぼ対策不可能じゃないの?」そう感じたあなた、ご安心ください。

薄毛の研究は日夜進んでいて、バルジ領域を復活(活性化)させる方法が判明しています。

バルジ領域を活性化する方法は大きく以下の3つです。

  1. 脂肪幹細胞治療(KERASTEM(ケラステム)
  2. ハーグ療法(Hair Re-generative therapy)
  3. 育毛剤(リデンシル)

脂肪幹細胞治療(KERASTEM(ケラステム)

自身の皮下脂肪を採取し、幹細胞を抽出し活性化する治療法です。

休眠状態にある毛包の発毛機能を復活させられる画期的な方法で、男性だけでなく女性にも効果があるとされています。

ヨーロッパと日本で臨床試験が実施済みで、安全性も確認されているという、期待の治療法です。

ただ、脂肪幹細胞治療はごく一部の医療機関でしか導入されていません。

ハーグ療法(Hair Re-generative therapy)

頭皮 分け目AGA

バルジ領域を活性化する医療行為です。

HARGカクテルと呼ばれる薬剤(脂肪幹細胞から抽出した成長因子と成長に必要なビタミン、アミノ酸を混合したもの)を頭皮に直接注入し、毛母細胞や周囲の幹細胞を刺激し発毛を促進します。

こちらも男女問わず効果が立証されていますが、一部の医療機関でしかおこなえません。

バルジ領域は脱毛に用いられるケースも

バルジ領域は発毛の研究過程で発見されたものですが、逆に脱毛に利用することもできます。

最近ちらほら耳にするSHR脱毛(Super Hair Removalスーパー・ヘアー・リムーバル)は、バルジ領域にダメージを与える脱毛方法です。徐々に導入するサロンも増加していますが、歴史の浅い施術方法なので、未知の部分も少なくありません。

育毛剤(リデンシル)

免疫細胞

「医療機関にかかるのはちょっと…」「もっと手軽にバルジ領域を活性化する方法はないの」そんな方も多いでしょう。

実は、手軽にバルジ領域を活性化する方法があります。

それがリデンシルの入った育毛剤をつかうことです。リデンシルはスイスのインデュケム社(現ジボダン社)が開発した強力な発毛成分です。その効果はミノキシジルの2倍といわれる程。

リデンシルにはEGCG2」と「DHQG」が含まれているのですが、DHQGにはバルジ領域の中にある幹細胞に働きかけ、活性化させる作用があるといわれています。

リデンシル配合の育毛剤を使用することでバルジ領域の活性化が期待できます。

バルジ領域はまだまだ未知の領域|明るい未来に期待しよう

バルジ領域はまだまだ研究途上で、分かっていないことも多いです。とはいえ、発毛治療は日進月歩で発展していますから、近いうちまた何か新たな発見があるかもしれません。今後に期待です。

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