ハトムギは、漢方や薬膳でよく用いられる和漢食材です。ビタミンB群やタンパク質、カルシウムなど栄養豊富なイメージがあるハトムギですが、実はニキビ(尋常性痤瘡)ケアにも効果があることが研究で立証されています。
科学的に立証済み!ハトムギエキスのニキビへの効果とは
「ハトムギ」はイネ科の植物で、穀類のなかでも特に栄養価が豊富です。古くから美容や健康に良いとされ、ハトムギ茶として飲んだり、炊いて食べたりするほか薬としても重宝されてきました。外から「殻→薄皮→渋皮→子実」となっており、渋皮を取り除いたものが漢方薬でいうところの「ヨクイニン」です。
そんなハトムギは、実はニキビ(尋常性痤瘡)ケアにも有効であることが証明されています。
ハトムギの「抗炎症作用」や「ターンオーバー促進作用」がニキビに効く
実験は金沢大学大学院医薬保健学科の研究員らが2013年に実施したもので、内容は以下の通りです。
【ハトムギの抗炎症作用を検討する紫外線 (UVB) 照射試験】
マウス皮膚上皮由来正常細胞に
- ヨクイニン
- 子実,渋皮,薄皮,外殻のすべての部分を含む熱水抽出エキス(CRD)
- ハトムギの有用成分である Monoolein と Trilinolein
を作用させ、紫外線 (UVB) 照射前後ならびに加熱障害前後の細胞形態変化により評価する.
- ヨクイニンとCDRはそれぞれ1.0㎍,10㎍,100㎍(※㎍⇒マイクログラム=100万分の1g)
- Monoolein と Trilinoleinは0.32nmol,3.2nmol,32nmol(※nmol⇒ナノモーラー=100万分の1ml)
とし、次の2つの方法で細胞障害を計測。
1エキスを加え24時間培養後、5日間放置
2エキスを加え、5日間放置
結果、添加濃度が高くなるほど、細胞障害率が低下した。
参考:ハトムギの抗腫瘍ならびに抗炎症作用に関する検討
実験の結果、ハトムギには抗炎症作用があることが分かりました。
また、いくつかの研究論文にてハトムギには抗腫瘍作用や新陳代謝活性化作用もあり、ガンやニキビ治療に効果があるとする報告がなされてます。(※1)(※2)
(※1)ハトムギ全粒熱水抽出エキス (Coix-seed Reactive Derivatives: CRD)摂取が有用であった尋常性痤瘡例:症例集積研究
(※2)はとむぎ種子に含まれる制癌性成分”Coixenolide”(コイクセノライド)の構造に関する研究
ただ厳密にはハトムギそのものにニキビを改善する作用があるわけではありません。
ハトムギ特有の成分「コイクセノライド」の抗腫瘍作用が皮膚細胞の異常・異変を抑え、結果としてニキビ改善に寄与してくれるのです。
ハトムギを用いて内外からのケア!おススメの方法は
ハトムギがニキビの緩和改善に効果的であることがお分かりいただけたかと思います。では、どのように活用すればよいのでしょうか。
ハトムギのチカラを最大限に得るには、内外からのケアが重要です。ここからは手軽にできるハトムギを使ったケア法を紹介していきます。
ハトムギコスメ
ニキビの原因はいろいろですが、ひとつには過剰な皮脂分泌があります。つまりニキビには油分を使ったケアは御法度です。
そこのところ、たとえばハトムギ化粧水はさらっとしたものが多いのでニキビ肌のケアに適しているといえます。
もちろんだけ化粧水だけでなくオールインワンジェルや保湿ジェルなどでもOKです。
[su_box title=”「ハトムギ化粧水は効果なし」とする声もあるけど?” box_color=”#6c7d87 “]
ハトムギ化粧水を使って「ニキビが治った!」などの声がある一方「ハトムギ化粧水は意味ない」「効果感じられない」とする声もあります。これはどういうことなのでしょうか?
”ハトムギ化粧水に効果がない”とする人の多くは、使い方が良くないものと思われます。というのもハトムギ化粧水は水っぽいテクスチャで、肌への密着性・浸透性も低いため化粧水と同じやり方では効果が表れにくいのです。
ハトムギ化粧水はパックなどでしっかりと浸透させることが必要です(パックの作り方は後述しています)。
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ハトムギボディソープ・ハトムギ洗顔
ハトムギ成分を配合したボディソープや洗顔料もおススメです。ボディソープならケアしにくい背中ニキビにも使えますし、保湿成分も含まれているのでしっとり洗いあがります。
ただし、泡立ちが良くないものも多いです。特に冬場は浴室も冷えますから、泡立てるのに時間がかかってしまうのはマイナスポイントに数えられるでしょう。
そのほか
- 「ぬめりがなかなか取れない」
- 「すすぎに時間がかかる」
などの弱点もあります。洗浄力が低いなどということもなく、ハトムギの匂いなども特にありませんが、ヌルヌル感は好みが分かれそうです。
洗顔料はハトムギ成分配合をウリにしたものが多く販売されています。お伝えの通りハトムギには抗炎症効果がありますから、ニキビや肌荒れの予防が期待できるでしょう。 保湿しながら洗顔できるのでニキビケアにもってこいです。
泡立ちが良くないものが多いですが、顔を洗う分の泡だけでよいので泡立てネットを使えば簡単に作れます。
ハトムギサプリ
わけてもビタミンCやビタミンEなどを含むものは抗酸化作用も期待できるのでシミやしわ、クスミなどの肌トラブルにもいいかもしれません。
ハトムギパウダー
使い勝手がよく、いろいろなアレンジが利くのが良いところです。
ここでは
- ハトムギパック
- ハトムギパウダーを使った料理
- 普段の食事にプラスオン
を紹介します。
ハトムギパック
【パックのレシピ】
【用意するもの】
- ハトムギパウダー(20g)
- 深めの器(洗面器などある程度口が広いもの)
- 水
<作り方>
- ハトムギパウダー20gを深めの器に入れ、少しずつ水を加えながら混ぜる。
- 顔に塗っても垂れない程度の硬さになるまで練る。
<使い方>
入浴時などに、目や口の周りを避けて顔全体にパックを塗ってしばらく置く。5分ほどたったら、ぬるま湯で洗い流す。
ハトムギパウダーを使った料理
ハトムギ美肌薬膳 天然もずくのチヂミ
【レシピ】
■材料
- 材料 (1枚)
- ニラ1/2パック
- 天然もずく60g
- 干しエビ7~8g
- ハトムギ粉30g
- 片栗粉大さじ1
- 卵1個
- 金針菜5g
- ごま油適量
■ タレ
- 醤油大さじ1/2
- 酢大さじ1
- レモン汁2~3滴
- コチュジャン小さじ½
【作り方】
- もずくは塩だしする。1リットルの水に小さじ1の塩を入れ、20~30分置く。
- ニラを3センチに切る。金針菜は水につけてもどし、食べやすい大きさに切る。
- 1と2と干しエビと卵とハトムギ粉と片栗粉を入れて混ぜる。
- フライパンにごま油を入れ、香りがたったら、3を薄く伸ばし入れる。
- 焼き色がついたら、裏返して焼き、裏面も焼き色がついたら、器に移して出来上がり。
- タレは材料を合わせる。
- 小皿にタレを入れ、タレを付けて召し上がってください。
(クックパッド「アルファー」さんのものを引用させていただきました。ありがとうございます。)
ハトムギパウダーをいつもの食事にプラスオン!
「料理とかパックなんてそんなめんどくさいことやってられねーわ!」という方もおられるでしょう。そんな方はいつもの食事にちょい足しする手もあります。
ハトムギパウダーをスプーン1杯分コーヒーや紅茶、味噌汁に混ぜるだけでOKです。案外味はほとんど変わりません。
ニキビケアは一日してならず!継続が大切
ニキビケアをはじめ、スキンケアはすぐに効果が表れるものではありません。「ハトムギ化粧水を使ったら翌朝治っていた」「ハトムギでパックしたらニキビがすべてなくなってつるつるになった」などとする声もありますが、通常ではありえません。仮にこれらの話が本当だとしても、別の要因(たまたま回復する時期と重なったなど)からでしょう。継続しなければ改善は見込めませんから、焦らずに長いスパンでニキビケアに取り組んでいくことが肝要といえます。
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