健康食品で「腸内環境改善」「腸内フローラを整える」「腸」や「腸活」は使えるのか、解説します。
情報の信ぴょう性については
- 日本でただ一人消費者庁に公的文書の誤りを指摘・改善させた実績
- 消費者庁及び公正取引協議会主催「景品表示法務検定」アドバンス(合格者番号APR22000 32)
- ハウス食品、エーザイ、NTTDoCoMo、徳間書店など上場企業との取引実績多数
- 東京都福祉保健局主催「食品の適正表示推進者」
- 民間企業主催の薬事法関連資格(薬事法管理者資格、コスメ薬事法管理者資格、薬機法・医療法遵守認証広告代理店、美容広告管理者など)
- わかさ生活に薬機法広告の専門家としてインタビューを受ける
をもつ専業薬機ライターが解説します。
「腸」の訴求が薬機法違反になるかどうかはケースによる
腸の表現が薬機法違反となるかどうかは、訴求の方法やロジックによります。では、どんなケースでは違反にあたり、どんなケースでは違反にあたらないのでしょうか。
特定部位の訴求は基本NG
薬機法では医薬品的な効能効果の標榜を禁止しています。
医薬品的な効能効果には「身体の組織機能の一般的増強、増進を目的とする効能効果」が含まれます。
そのため身体の特定部位への言及、改善や機能向上など変化の標榜はNGです。
【NG表現】
- 「腸の働きを改善します」
- 「腸内扇動促進」
- 「腸内細菌を活性化」
- 「健胃整腸」
- 「腸内フローラを整える」
また医薬品的か否かは、文言ではなく表示全体から判断されます。
個々の文言は問題なくとも、全体としてみたときに医薬品的な与えると不可となるおそれがあります。
たとえば以下のようなケース。
NGリスク
「○○(商品名)配合のオリゴ糖はビフィズス菌のエサとして働きます」
特定部位に触れていないので一見すると問題ないよう思えます。しかし全体としてみたときに、身体への変化や影響を与えるかのような印象を与えるのでNGリスクがあります。
他方商品名が表記されておらず、単に成分の働き(効能効果等)を謳うことは、基本的に問題はありません。なぜなら、事実を述べているに過ぎずそもそも広告と見なされないからです。
OK
「オリゴ糖はビフィズス菌のエサになります。」
効能と切り離して事実を訴求するやり方は薬機表現テクニックのひとつなので覚えておくとよいでしょう。
「腸」の訴求=即アウトともいいきれない
ただ、「腸」といったら必ずアウトになるわけでありません。
以前「腸まで届く」の表現が薬機法違反になるかが争われた事例があります。
身体の特定部位、組織を標榜しているのでアウトとの見方もありました。
他方で「変化」については述べていないのでセーフとの見方もあったのです。判断が分かれるところですが、現在は「腸まで届く」は許可される傾向にあります。
もっともこの辺りはケースバイケースで、腸まで届く表現は少なからず摘発のリスクがあります。
また腸を整える表現はトクホで許可を取得していれば標ぼう可能です。
では次のケースはどうでしょうか
「腸内乳酸菌を増やす」
乳酸菌サプリメントなどよく見かける表現ですね。
「サプリメントを摂取することで、物理的に、腸内乳酸菌が増える」ロジックであれば問題はありません。
しかしサプリメントに含まれる成分が、体に作用して薬理的に腸内の乳酸菌を増やす」ロジックは不可となります。
- 「物理的」「足し算的」に腸内細菌を増やす
- 「薬理的に」「体に作用して」腸内細菌を増やす
OK表現とNG表現
認められない表現と認められる表現を見ていきましょう。
認められない表現
- 腸の働きが改善される
- 腸が活発になる
- ○○(商品名)は××糖を配合しているので、悪玉菌を減らせます
- 腸内環境(腸内フローラ)を整える
- 腸活
- 腸の機能改善
- 整腸
- 腸内フローラに働きかけ
- 無理なく腸に働きかけます
- 腸内細菌を活性化
注意したいのが、「改善」「活性化」といった直接的な表現だけでなく、「整える」「活発に」「働きかける」などぼかした表現もNGとなる点です。「腸が活発になる」「無理なく腸に働きかけます」については過去に摘発された事例があります。
また消費者庁は「腸活」も不可とする見解を出しています(「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に 対する要請について」)
認められる表現
- 絶好腸なあなたへ
- 腸のチカラ
- 食物繊維のチカラ
- 食物繊維たっぷり
- ○○(商品名)には乳酸菌が豊富に含まれるので腸内乳酸菌を増やせます
- 人間の免疫機能の7割は腸内フローラに集中しています
- ○○糖を配合することで、腸内の善玉菌を増加
訴求のポイントは、次のとおりでず。
- 「腸」に触れず、事実を述べるにとどめる
- 「チカラ」などぼかした表現を用いる
- 補給のロジックを使う
正しい知識で摘発を回避しよう
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