「ウッ…臭い…。」他人の口臭が気になったことのある人は多いのではないでしょうか。
口臭は自覚しにくく、なおかつ指摘しづらいから厄介ですよね。
本稿では
・「自分の口臭で周りに迷惑をかけていないか心配」
・「口臭が気になって話せない」
といった方に向けて、口臭の原因や、セルフチェックのやり方、普段の生活に+αするだけで誰でも簡単に口臭を改善できる方法などを解説します。この記事を読んだあなたは、もう口臭に悩むことなく、積極的に会話に参加できるようになっているでしょう。
「気になっても伝えられない」それが口臭
8割の人が他人の口臭を気にしている
どんなに容姿端麗でも、どんなに仕事ができても口臭があるだけで、嫌がられます。ニオイというものは人の防衛本能に関わるもので、良好な人間関係の構築を著しく困難にします。
介護の現場などでも、ニオイに慣れることが最初の関門といわれるほどです。口臭が原因で破局なんてケースも珍しくありません。
インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ会社DIMSDRIVEが実施した口臭ケアに関する調査(2017年3月6日~3月24日、DIMSDRIVEモニター4,099人を対象)によると他人の口臭が気になったことがある人は実に「8割」に上ります。
しかし多くの場合口臭を指摘できない
ところが多くの場合口臭がクサイと感じてもそれを相手に指摘することはありません。
『口臭白書 2019』によれば、口臭ケアに関する意識調査において「口臭を指摘できる相手」についてのアンケートをとったところこのような結果となっています。
「自分の親」「自分の兄弟」など近親者に対しては指摘できるとした回答が10~30%程度あったものの、親しい間柄であるはずの「恋人・パートナー」でさえ9.4%にとどまりました。
それ以外については同性の場合で
- 「同性の上司や先輩」で(8.6%)
- 「同性の部下や後輩」で 5.0%)
と、多くの人が口臭を指摘できないことを示しています。異性に対して指摘できるとした回答はさらに少なく、
- 「異性の上司や先輩」(6.1%)
- 「異性の部下や後輩」(2.4%)
と指摘できる人は、ほとんどないことがうかがい知れます。
一方で「誰にも指摘できない」が(30.5%)。実に三割を超えています。
この調査結果は、あなたの知らないところで「あの人なんか口クサくない?」「近寄りたくない!!」
なんていわれている可能性が十分にあることを示しています。
口臭の正体
口臭の種類
口臭は大きくに2つに分かれます。
- 「生理的口臭」
- 「病的口臭」
生理的口臭は起床時や空腹時、食事の後などにニオイがする一過性のものです。生理的口臭は誰にでもあり、完全になくすことはできません。
対する病的口臭は歯周病や肝疾患など身体の不調が原因で発生するものです。
「上司の口臭が耐えられない」
「彼女の口が臭い」
など社会生活上問題となるのは、病的口臭です。原因の多くが口腔内のトラブルである病的口臭は、日頃のケア次第でかなり抑えることができます。(以下本文中の「口臭」は病的口臭を指します)。
口臭の正体は「揮発性硫黄化合物」
口臭の正体は、口内細菌が口内のタンパク質を分解するときに発生するガス(揮発性硫黄化合物)です。
口腔内で発生する揮発性硫黄化合物は主に次の3種類があります。
・メチルメルカプタン :たまねぎが腐ったようなニオイ
・硫化水素 :卵が腐ったようなニオイ
・ジメチルサルファイド :キャベツが腐ったようなニオイ
口臭が不快なのは、こうした複数の揮発性硫黄化合物が混じり合っているためです。
認知症や心疾患を誘発するケースも
周囲を一瞬で不快にさせるのに口臭ほど効果的なものもないでしょう。
しかし口臭のリスクはは人間関係の悪化だけではありません。口臭について知っておく必要があるのが、重篤な病に繋がり得ることです。
口臭の原因は後述しますが、もしあなたの口臭の原因が虫歯や歯周病の場合、放置していると
- 心筋梗塞
- 狭心症
など、重大な疾患のリスクが高まるといわれています。
歯周病はアルツハイマー型認知症に関与しているとの研究データもあり、「たかが口臭」と侮ると痛い目を見るかもしれないのです。
口臭(病的口臭)の原因
口内トラブル
口臭(病的口臭)の原因のほとんどは、口腔内のトラブルです。
- プラーク
- 歯垢
- 歯周病
などがニオイの元となります。
歯垢・歯石
歯垢は口内の食べかすを餌にして増えた口内細菌の塊です。
歯垢を放置すると唾液中のカルシウムを吸収し歯石になります。歯垢や歯石は口内細菌の集合体であり、口臭の元となります。
虫歯・歯周病
虫歯もニオイを発生させます。歯周病ともなれば口内は細菌だらけですから、口臭はかなりキツクくなります。
舌苔
舌苔は舌の表面につく白い汚れです。細菌や食べかす、口腔粘膜の剥がれたものが集まって白い苔のように見えることから舌苔と呼ばれるようになりました。
舌苔が増えるに伴い、口臭も増えやすくなります。
唾液量の低下
唾液には殺菌作用があります。
唾液がきちんと分泌されていれば細菌からをやっつけ、口腔内を守ってくれますが分泌量が減ると唾液の機能が低下してしまいます。
すると口内細菌も増え、口臭が強くなりやすくなります。
唾液量が減るのは
- ストレスや疲れを感じたとき
- 水分不足のとき
- 寝起き
などです。このようなシーンで唾液量が低下し、口臭が出やすくなります。
身体の不調・病気
身体の不調や病気が口臭の原因となるケースもあります。内臓疾患には口臭を引き起こすもの多いです。
胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や腸などの消化器官が正常に働かなくなると、消化不良に陥ります。
消化不良になると胃や腸に食べ物が残ります。残留物は胃や腸のなかで腐り、硫黄臭を発生させます。便秘のときに、オナラのような口臭になるのはこのためです。
慢性肝炎・肝機能低下・尿毒症
本来であれば、体内の毒素は肝臓で分解・無毒化されます。
しかし肝機能が低下すると毒素がうまく分解されず、毒素が血流にのって肺に運ばれ、吐息とともに排出されてしまいます。
慢性肝炎・肝機能低下・尿毒症といった肝疾患患者の口臭はアンモニアやカビの臭いがするのが特徴です。
糖尿病
通常、 体内細胞が糖を分解し、生命活動に必要なエネルギーを作り出します。
ところが糖尿病になると、血中の糖をコントロールするホルモン「インスリン」の働きが低下し、糖をエネルギーに分解できなくなります。
そこで細胞は、糖の代わりに脂肪を分解してエネルギーにします。
脂肪の分解には「ケトン体」が必要になりますが、ケトン体の主成分である「アセトン」には、独特の酸っぱいニオイがあり、これが口臭の原因となるわけです。
栄養バランスの乱れ
肉食に偏った食事を続けると、腸内フローラが乱れ、悪玉菌が増加します。
腸内には数にして100~1000兆個、種類にして1000種の細菌が存在するといわれます。顕微鏡で見ると、「お花畑=[英] flora)」のように見えることから、『腸内フローラ』と呼ばれるようになりました。
腸内細菌は善玉菌と悪玉菌、日和見菌に分かれます。
善玉菌…良い働きをする(ビフィズス菌や乳酸菌など
悪玉菌…悪さを働く(ウィルシュ菌など)
日和見菌…状況によって働きが異なる
腸内フローラの状態は健康状態にさまざまな影響を与えます。
善玉菌が多い時は腸の扇動活動がきちんとおこなわれ、有害物質や老廃物は便としてスムーズに排出されます。
しかし悪玉菌が増え、有害物質や老廃物が腸内に長くとどまると、血液に乗ってニオイと共に体中に運ばれます。
そして、動物性たんぱく質の過剰摂取は悪玉菌を増やします。
肉ばかり食べると腸内フローラが悪化し、口臭を引き起こすわけです。
過度なダイエット
過度なダイエットをすると炭水化物やたんぱく質が不足します。
炭水化物やたんぱく質が不足すると身体は中性脂肪を燃焼し、悪臭を放つ脂肪酸に変えます。脂肪酸による口臭は甘酸っぱいニオイが特徴的です。
誰でも簡単にできて効果抜群!口臭予防法5つを紹介
口臭は他人に指摘しにくく、かつ自分では気づきにくいから厄介です。
「自分も口臭で迷惑をかけているんじゃないか」「この間部下が顔をしかめていたのは、自分の口臭が原因なのでは?」心配になりますよね。
けれども実は日頃の生活で少し意識するだけで、口臭を予防することができるんです。
1、毎食後の歯磨き(ブラッシング)を欠かさない
やはり歯磨き(ブラッシング)は重要です。
ブラッシングをきちんとすることで口臭の原因となる口内細菌の70%は取り除るといわれています。
できれば毎食後、歯を磨くようにしましょう。
口内細菌が最も増えるのは就寝中なので、寝る前には必ず歯を磨くことが大切です。歯磨きのやり方について詳しく知る
2、歯間ブラシやフロスで徹底ケア
ブラッシングで取り除けない残りの30%の口内細菌を取り除くには歯間ブラシやデンタルフロスでが有効です。
「ブラッシングは歯周病予防のためにするもの」
「歯間ブラシは虫歯予防のためにするもの」
といわれることがあります。虫歯予防のためには歯と歯の間の汚れを取り除いてあげることが大切です。
【フロスの通し方】
STEP1.前後に動かしながらゆっくりと歯間へ
のこぎりのように前後に動かしながらゆっくりと歯間へ。歯や歯茎を傷める恐れがあるので力任せに入れないこと。
STEP2.歯の側面にあて上下に動かす
歯の根元まで入れ、歯垢をのこぎりのように前後に4~6回に動かす。
片方の側面を終えたらもう片方も同じようにする。
STEP3.歯の間から抜きだす
デンタルフロスを歯の間から抜き出す。抜き出すときものこぎりのように前後に動かしながらゆっくりと。
フロスを正しく通すと、口内細菌の94%以上を取り除けるといわれています。糸が太いものほどよく取れますが、慣れないうちは扱いが難しいです。
初めは細いタイプのものを使用し、慣れてきたら太いものに変えるとよいでしょう。
フロスは毎食後通す必要はありません。口内細菌が最も増えるのは就寝中なので、寝る前にするだけでOKです。
3、舌苔を取り除く
舌苔を取り除くことで口臭が大幅に改善されることが少なくありません。
歯ブラシで落とす方法もありますが舌は繊細で、やたらに擦ると傷ついてしまう恐れがあるのでやめたほうがいいでしょう。
そこで便利なのが「舌ブラシ(舌苔クリーナー)」です。
舌苔を取り除くためのブラシで、最近ではドラッグストアなどでも販売されています。
ただ、舌苔専用のブラシといっても力任せに擦るのは禁物です。
あくまでも優しくなでるように落としていきましょう。あまりゴシゴシやってしまうと舌を傷めたり、逆に口臭が強くなってしまう可能性があります。
4、小まめに水分を補給する
水分が不足すると唾液分泌量が減少、口内が乾燥し、口臭が強くなります。
「喉が渇いた」と感じる前に水分を摂取するのがポイントです。
デスクやカバンにペットボトルや水筒を常備し、小まめに水分補給しましょう。
5、野菜をしっかりとる
野菜に含まれる食物繊維は腸内フローラを整え、便通を改善してくれます。
ニオイの元となる物質や老廃物も体内にとどまることがないので、口臭となって体外に排出されることも防げます。
サラダなどのシャキシャキ感は歯の汚れを落とす効果も期待できます。(歯に挟まる恐れもあります)もちろん野菜ばかり食べると今度は栄養不足で体調不良を起こしてしまうので、バランスが大切です。
6、規則正しい生活を送る
バランスの取れた食事に加えて、規則正しい生活や十分な睡眠も口臭予防には重要です。
不摂生はストレスやホルモンバランスの乱れに繋がり、口臭の元となります。
特に女性はホルモンバランスの乱れにより口臭が強くなるケースも多いです。
- 「おばさんの口がクサイ」
- 「更年期になると口が臭うようになる」
といわれるのは、更年期になるとホルモンバランスに乱れが生じるためです。
口臭がひどい場合は病気を疑うこと
実は口臭がまったくない人はいません。ただ、あまりにもニオイがひどい場合、病気を疑う必要があります。肝臓疾患や十二指腸炎、場合によっては口腔がんや肝がんなど大きな病にかかっている可能性があるので、病院で診察してもらいましょう。
最新の調査「口臭白書2019」では男性よりも女性の方が口臭が強いことが判明しています。これは女性ホルモンバランスの乱れが歯周病の罹患リスクを高めるためです。特に思春期・妊娠・出産期・更年期の女性ホルモンが乱れる時期に歯周病のリスクが高まるといわれています。
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