アフィリエイト広告運用をされている企業のなかには、
「自社の知らないところで好き勝手に表現されて困っている」
「アフィリエイターの管理が大変」
などの悩みを抱えているところも多いでしょう。
今まではアフィリエイターが法律違反をしても広告主企業に影響が及ぶことはありませんでしたが、現在は広告主は規制の対象となります。本稿では薬事法管理者の観点から、アフィリエイト広告主の摘発事例を踏まえ
- アフィリエイトサイトで景品表示法違反があった場合に広告主が被るリスク
- 違反を減らすためにできること
などを解説していきます。
目次
アフィリエイト広告主も処罰の対象に!摘発事例を紹介
これまで、景表法の規制対象は事業者主体の広告に限られていて、アフィリエイトサイトで違反対象行為があっても、広告主が罪に問われることはありませんでした。しかし景品表示法取り締まりの強化の流れがあり、現在では広告主も責任を負うことになります。まずは摘発事例を見てみましょう。
ブレインハーツの事例
「やせる」「美白効果がある」と広告したサプリメントや化粧品などに根拠がなく景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして大阪市のインターネット通販会社「ブレインハーツ」が措置命令をうけた事例があります。本件はアフィリエイトサイトの表示も景表法の規制の対象となることが初めて明記された事案です。
平成30年6月15日、消費者庁は大阪市の健康食品、化粧品、下着等の販売業者(株)ブレインハーツに対し、食品や下着の痩身効果、石けんの美白効果、また価格に関する表示について、景品表示法違反の措置命令をだした。
結果、
- 違法な広告であったことの周知
- 再発防止策の徹底
- 広告の差し止め
- 課徴金(合計2,229万円)の納付
が課せられた。
課徴金の対象はサプリ「グリーンシェイパー」、お茶「スリムイヴ」、レギンス「Smart Leg」と「恋白美スキンソープ」の計4商品。2016年11月~18年4月に計約7億4千万円の売り上げがあったとされています。
消費者庁は「14日間の使用で体重マイナス12.8kg以上をお約束」などの表示に対し根拠となる資料を求めましたが、ブレインハーツは提出できませんでした。
さらに、「通常価格14900円を限定特価2980円」などと表示していましたが、通常価格で販売された実績がなく、有利誤認(二重表示)に当たるとして一般消費者に対して違法な広告であったことの周知を義務付け、再発防止を求めました。
同時に、合計2,229万円の課徴金納付命令も出されています。
(消費者庁:株式会社ブレインハーツに対する景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令についてhttps://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0003.pdf)
ニコリオの事例
アフィリエイトサイトの景表法違反で広告主が摘発された事例は他にもいくつかあります。記憶に新しいのが2020年4月のニコリオの事例です。自社サプリを宣伝するアフィリエイトサイトにおいて、「3ヶ月で7kg落ちた方法を紹介!」など、容易に痩身効果が得られるかのような記載をして措置命令を受けています。
結果、違法な広告であったことの周知、再発防止策の徹底および社役員及び従業員に周知徹底を義務付けられた
ニコリオは自社サプリを宣伝するアフィリエイトサイトにおいて、「3ヶ月で7kg落ちた方法を紹介!」など、容易に痩身効果が得られるかのような記載をし、優良誤認表示に当たるとして措置命令を受けています。
さらに価格の表記についても、有利誤認があったと認定されています。
ニコリオは、自社サイトのランディングページで「1日たった17円」と表記していたものの、実際には、「17円」は、初回購入価格の500円をもとに算出した金額であり2回目以降の購入には適用されないもので、有利誤認と判断されました。
アフィリエイターの違反で広告主が負うリスクとは
摘発事例からもお分かりの通り、今後アフィリエイトサイトで法律違反があった場合、その責任は広告主にまで及ぶ可能性があります。
行政指導
1措置命令
措置命令の対象になります。
具体的には、以下の3点が命じられることとなります。
【措置命令で下される命令】
- 違法な広告であったことを一般消費者に周知徹底
- 再発防止策を自社の役員や従業員に周知徹底
- 広告の停止
2課徴金
悪質な場合、課徴金の納付を命じられることがあります。課徴金の額は、売上額の「3%」、対象となる期間は最長で摘発時からさかのぼって3年間です。
信用失墜
忘れてはならないのが信用を失うことによるダメージです。社名公表になればネット上には永久にその情報が残ります。世間のイメージは簡単にはぬぐえません。アフィリエイター、広告主、代理店それぞれが法律をきちんと理解しておく必要があります。
とはいえ企業が法を把握していても、個人のアフィリエイターには自分の収益分にしか関心がなく、法律など気にもとめない人が少なくありません。違反を減らすにはどうすればいいのでしょうか。
違反を減らすには?
案件の紹介時に禁止表現などを明記する
まず考えられるのが、
- 記事作成のときに気を付けるべき表現
- 法律違反となる表現など
- 禁止表現
など禁止事項を規定しアフィリエイトの案件紹介の際に記載する手段です。そのうえで「規定を破ったらすべて非承認」とすれば、いくらかの改善は見込めるでしょう。
ただ、規定を作る人が法律を完璧に把握している必要があります。
レギュレーションのマニュアルを作成
同じく記事作成時の注意点や禁止事項をレギュレーションとしてまとめASPに共有しASPからアフィリエイターに通知してもらう方法です。「レギュレーションを破った場合すべて非承認」とすることで効果が見込めます。
ASP側に通知してもらうことでより高い抑止力が働くかもしれません。しかしこの場合も同様にレギュレーションの作り手に正しい法的知識が求められます。
専門家に相談する
法的知識を持つ専門家に相談するのも手段です。実績豊富な専門家であれば、違反しやすいポイントだけでなく、摘発対象となりやすい違反行為なども把握しており、商材ごとに適切なアドバイスを受けられます。
結果的として、リスクヘッジしながら売り上げアップも見込めるでしょう。
たとえばLife-lighterではアフィリエイターが法律違反しないよう、前もって気を付けるべきポイントを通知するマニュアルを作成しております。
ヘルスケア法律マニュアルの詳細を見る今や広告主も罰せられる時代!社内外のリーガル体制構築が急務
どれだけ法律に配慮していても、アフィリエイターが違反すればそのリスクは広告主企業にまで及びます。「アフィリエイターが勝手にやった」ではすみません。今後はあらゆるマーケティング施策において、コンプライアンスの徹底が重要です。特にアフィリエイト広告を運用するにあっては社内だけでなく社外にも監視の目を光らせておく必要があります。
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