コロナで外出自粛を強いられる昨今、自宅での滞在時間が増えた人も多いでしょう。自宅で過ごすとなるとパソコンやスマートフォン、テレビの利用時間がどうしても増えてしまいます。しかしこうしたデジタルデバイスを使う上で注意しなければならないのがブルーライトによる影響です。
ブルーライトが眼精疲労を引き起こすことはよく知られていますが、実は近年の研究でシミやソバカスなど肌への影響を引き起こすことが判明しています。本稿ではブルーライトダメージを減ら6つの方法を研究データとともに解説していきます。
目次
ブルーライトが肌に影響を及ぼすことが判明
日本ロレアル株式会社の手掛ける化粧品会社ランコムは、研究によりスマホ・PCなどの画面から発生する「ブルーライト」が肌に影響を及ぼす研究結果を発表しました。
光が肌に与える影響
詳しい内容に入る前に、光が肌に与える影響について知っておきましょう。
【光老化とは】
あなたは「光老化」という言葉をご存知でしょうか。
光老化とは太陽光線を浴びることにより皮膚に現れる老徴であるしみ、しわ、たるみなどです。
年齢を重ねて加齢により自然に生じる皮膚の加齢現象とは質的にも量的にも区別されます。
光老化の主な原因となるのは、
- 紫外線(UV-A、UV-B)
- ブルーライト
- 近赤外線
です。
ブルーライトってなんだろう?
{ブルーライト」という言葉は自体は最近よく耳にします。しかしその正確な定義を説明できる人は少ないでしょう。実際のところ、ブルーライトとはいったい何で、紫外線や赤外線とはどう違うのでしょうか。
【ブルーライトとは】
一般に私たちが「光」と呼んでいるものは、電磁波のうち、人の目で見ることのできる可視光線のことです。可視光線の波長は、およそ400~800nm(※ナノメートル)で、ブルーライトは380~500nm。400nmより短くなると紫外線、700nmより波長が長くなると赤外線と呼ばれます。(ブルーライト研究所より引用)
※nm(ナノメートル):1メートルの10億分の1の長さ
出典:マイナビ
可視光線のなかでも波長が短いブルーライトはも、肌の奥まで届くのが特徴です。メラニン色素を発生させて色素沈着を引き起こし、シミ・くすみの原因になるとされています。
ブルーライトが色素沈着を引き起こすことが判明
今回の研究で
- ブルーライトはUVBよりも鮮明な色素沈着を引き起こす
- 415nmのブルーライトによる色素沈着は、UVBによるものよりも消えにくい
ことが判明しました。ランコムがおこなった実験は次の2つです。
- ブルーライトの色素沈着に関する実験
- ブルーライト(415nm)とUVB照射の比較実験
ブルーライトの色素沈着に関する実験
始めにブルーライトの色素沈着に関する実験をおこないました。まず被験者にブルーライトを一定時間照射。
その後、皮膚科医が肌に起こった色素沈着を目視したところ、照射1時間以内に即時的な肌の変色を引き起こすことが判明しました。さらにその色素沈着は一時的なものではなく、照射終了をしても3週間後まで残ることがわかりました。
高いエネルギーのブルーライトほど肌の変色も濃くなる傾向が認められました。
- ブルーライトは、照射1時間以内に、”即時的”な肌の変色を引き起こす。
- 照射終了の3週間後まで残る色素沈着を引き起こす。
- 高いエネルギーのブルーライトほど、肌の変色も濃くなる。
ブルーライト(415nm)とUVB照射による色素沈着比較実験
次にブルーライト(415nm)とUVB照射の比較実験をおこないました。(ブルーライトには、真夏3時間分の太陽光に相当する1平方センチ当たり87.5ジュールの光を使用)その結果、ブルーライトによって、鮮明な色素沈着が起こりうることと、ブルーライトによる色素沈着は3カ月以上持続する可能性があることが明らかになりました。
- ブルーライトによって、鮮明な色素沈着が引き起こされうる。
- ブルーライトによる色素沈着は3カ月以上持続する可能性がある。
ブルーライトが酸化ストレスを引き起こし肌に影響すると考えられる
今回の研究で以下の事実が判明しました。
- ブルーライトによって日焼けと同じような現象が発生すること
- ブルーライトによって生じた色素沈着は、UVBによって生じたものよりも消えにくい
ただ、ブルーライトがどのようなメカニズムで肌にダメージを与えるのかはいまだ詳しいことは分かっていません。現段階ではブルーライトが酸化ストレスを引きおこすことで肌ダメージにつながるのではないか、と考えられています。
<酸化ストレスとは?>
私たちが生きるうえでは、酸素が不可欠です。
しかし体内で酸素が消費される際、同時に活性酸素と呼ばれる体内酵素が生成されます。活性酸素は通常であれば、細胞伝達物質や免疫機能として働きますが、過剰に増えると細胞を傷害し、がん、心血管疾患など様々な疾患をもたらす要因となってしまいます。
生体内には、活性酸素から身を守るための防御機能が備わっていますが、活性酸素の生成量が増えすぎると、防御しきれなくなってしまうのです。この、活性酸素が防御機能を上回った状態を酸化ストレスといいます。
参考:
肌の老化の原因に…使い過ぎが引き起こす「スマホ焼け」に注意(女性自身)|Yahoo!ニュース|
ブルーライト照射による皮膚の酸化ストレス誘導|日本医科大学大学院医学研究科
ブルーライダメージを少しでも減らしたい!有効な対策法6選を紹介
ブルーライトが肌の健康を害することは分かりました。しかし現代社会では、ブルーライトと無縁の生活を送るというのはなかなか難しいものです。以下では、対策ができるのすればよいのでしょうか?
1:デジタルデトックス
有効な対策のひとつに考えられるのが、完全にスマートフォンやパソコンなどデジタルデバイスを使わない期間を設ける、いわゆるデジタルデトックスをすることです。デジタルデトックスはブルーライトのダメージから逃れられるだけでなく
- 時間を有効に使える
- ストレス発散になる
といったメリットも得られます。
2:ブルーライトを浴びる時間を減らす
とはいえ仕事などでパソコンを使わざるを得ない場合もあるかもしれません。
その場合には休憩を挟むなどし、連続的にブルーライトを浴びる時間を減らすよう心がけるようにしましょう。
3:ブルーライトカットアイテムを使う
ブルーライトカット機能を備えた眼鏡や保護シートを使うのも有効です。
スマートフォンのガラスコーティングも、少なからずブルーライトカットの機能を果たすでしょう。
4:画面を暗く調節する
画面を暗くすることで、デバイスから発せられるブルーライトの量を低減する方法です。モニターの明るさは必要最低限に設定しましょう。常に「夜間モード」にしておくと、モニターからのセーブできるのでオススメです。
またブルーライトにはリラックスホルモンである「メラトニン」の生成を阻害する作用があり、就寝前にブルーライトを浴びると睡眠の質が低下しまいます。なので就寝2~3時間前はスマートフォンやパソコンなどの画面は見ないようにしましょう。
最近のPCでは、夕方になると自動でが画面の明度が調整されるものもありますよね。
5:日焼け止めを塗る
日焼け止めを塗るのも有効なブルーライト対策といえます。ポイントはSPF数値の高いものを選ぶことです。
SPFとは、「Sun Protection Factor」の略で、UVB波に対する防止効果を示します。「1」〜「50+」まであり、数値が大きいほどがUVB波に対する防御効果が高いことを表しています。
6:肌の健康をサポートする食べ物を摂取する
ブルーライトを浴びる量を減らしダメージそのものを減らすことも大切ですが、ブルーライトダメージを受けたあと、その影響を抑えることも重要になります。そこで肝心なのが肌の健康をサポートしてくれる栄養素を摂取することです。
とりわけ中高年になると回復力が衰え、シミやくすみなどブルーライトダメージが沈着してしまうリスクが高まります。抗酸化作用のある食べ物や肌状態をサポートしてくれる食べ物を積極的に摂取し、内からもブルーライト対策をしましょう。
抗酸化作用のある食べ物
抗酸化作用を期待する場合、すすんで摂取したいのが以下の栄養素です。
- ビタミンC
- ビタミンE
- β-カロテン
これらは抗酸化ビタミンと呼ばれていて、高い抗酸化力を持ちます。
【ビタミンCを多く含む食品】
- レモン
- キウイフルーツ
- ブロッコリー
【ビタミンEを多く含む食品】
- アボカド
- ナッツ類
- あんこう(肝)
- うなぎ蒲焼き
- ブロッコリー
【β-カロテンを多く含む食品】
- ニンジン
- トマト
- ほうれん草
コラーゲン
近年の研究でコラーゲンの経口摂取にも効果があることが判明しています。コラーゲンは体内でも生成されますが、30歳前後をピークにその生成量が減り続けてしまいまうので、体外からの摂取が大切です。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は体のいたるところに存在する保水成分です。肌を支えるコラーゲンの生成を促す作用があります。
今や「光公害」の時代|これからはブルーライトケアは必須に
ブルーライトは眼精疲労だけでなくシミやソバカスなど肌への影響を引き起こすことが判明しています。ブルーライトダメージを減らすには、「1.ブルーライトを浴びる量を減らす」「2.ブルーライトトを浴びた後のケアをする」ことが有効です。
現代は「光公害」の時代といわれ私たちの身の回りのありとあらゆるところにブルーライトは存在しています。ブルーライトを一切浴びない生活というのは難しいかもしれませんが、内外からの対策をして、すこしでもブルーライトによる害を減らすことが重要です。
参考:
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