酵素ドリンク、酵素洗顔、酵素風呂…。コロナ禍で健康志向が高まりを見せる昨今、市場が伸びているのが「酵素」です。一昔前にブームとなったこともあり、「酵素」の言葉そのものを知らない方は少数派でしょう。しかしその働きや意味については誤解が多いです。本稿では
- 酵素とはなにか
- 酵母・発酵との違い
- 酵素の種類や作用
などについて今一度、どこよりも分かりやすく解説していきます。
酵素(エンザイム)とは?
体内では様々な化学反応が起きています。消化吸収や代謝、聞く、話すといったあらゆる生命活動は化学反応を使った神経の働きによっておこなわれています。
その反応を引き起こす仲介役(触媒)を務めるのが酵素です。
体内には約5,000種類の酵素が存在するといわれています。
たとえばデンプンを分解する酵素「アミラーゼ」小腸から分泌されて、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」という酵素もあります。
タンパク質分解酵素(タンパク質をアミノ酸に分解)
・キモトリプシ
・トリプトシン
・プロテアーゼ
炭水化物分解酵素(糖質をブドウ糖に分解)
・アミラーゼ
・ラクターゼ
・スクラーゼ
脂肪分解酵素(脂肪を脂肪酸に分解)
・リパーゼ
酵母とは
酵素は「酵母」とよく混同されます。しかし、酵素と酵母はまったく別物です。酵母とは糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物のことです。
酵素(enzyme)の語源は en(in)+zyme(yeast=酵母)です。つまり酵母のなかという意味で酵素と命名されました。
酵母は医療の分野でも注目の存在です。酵母の細胞はヒトの細胞に近く、構造がシンプルなので、細胞間のかけ合わせや遺伝子組換えも簡単におこなえます。そのため新薬開発などにおいて重要な役割を担っているのです。
有名な酵母に、麹菌があります。スーパーなどで見かける「麹」は、蒸した米や麦などに麹菌を生やしたものです。
発酵とは
発酵とは、麹菌や酵母のような微生物が食品に含まれる栄養素を分解してエネルギーを生み出す活動をいいます。
麹菌の作る酵素を利用して、古くから酒や味噌、醤油などの発酵食品が作られています。
酵素の性質
酵素は以下のような性質をもちます。
- それぞれ特定の役割がある(基質特異性)
- 壊れやすい
- 35度~40度、中性付近のphで最大活性する
1:それぞれ特定の役割がある(基質特異性)

出典:生体内反はなぜ正 確で速いのか|日本大学薬学部「
酵素は、いわば人体という工場で働く従業員のようなものです。
工場には「組立部署」「搬入部署」「検品部署」など部署があり、それぞれに特定の業務を担いますよね。同じように酵素も特定の役割があります。
たとえばタンパク質を分解する酵素は、タンパク質を分解することしかできず、でんぷんや脂質を分解することはできませんし、糖を分解する酵素は糖を分解することしかできず、タンパク質や脂質を分解することはできません。
この酵素の専門性を「基質特異性」と呼びます。
酵素はこのような分解反応を触媒するものだけではなく、その他の様々な反応を触媒するものもあります。
酵素はいろいろなシーンで利用されます。
たとえば、料理です。
酢豚にパイナップルが入っているのを不思議に思ったことはありませんか。実はパイナップルに含まれるタンパク質分解酵素「プロメライン」によって肉を柔らかくするためです。
医薬品への利用もみられます。
市販の胃腸薬には体の中で機能するように調整されたプロテアーゼ・リパーゼ・アミラーゼが含まれているものがあります。
これらの酵素は食べ過ぎた際に、食品に含まれるタンパク質・油脂・デンプンを分解し、消化をサポートする役割を担います。
基質特異性があり(分解する標的が決まっていて)、副反応が起きない酵素は医薬品としてうってつけなのです。
化粧品にも利用されています。タンパク質や脂質を溶かす酵素は、皮ふの角質層を分解して滑らかな肌にしたり、粘膜の炎症を鎮めてくれます。
2:壊れやすい
酵素は人を含む生物が生命活動を維持していくために不可欠な存在です。しかし弱点があります。それは、壊れやすいことです。
ほとんどの酵素は主にタンパク質から構成されます。タンパク質は一次構造、二次構造、三次構造、球状の鎖がらせん状に連なった複雑な立体構造をとります。
このタンパク質の立体構造は熱やphの変化で壊れてしまうのです。立体構造が壊れることを「変性」と呼びます。
たとえば生卵に熱を加えると固まってゆで卵になりますよね。牛乳にレモン汁を加えると表面に膜ができます。いずれも元に戻すことはできません。このように変性したタンパク質は元に戻ることはありません。
同様に酵素も変性すると元の機能を失います。これが酵素失活です。
3:35度~40度、中性付近のphで最大活性する
熱やphの変化で壊れてしまう酵素には、その活性が最大になる温度(至適温度)とph(至適ph)があります。
酵素のなかには20℃程度の低温で働くものもありますが、通常酵素は動物の体温に近い35度~40度でよく働きます。
また酵素はほとんどの体液のphである中性(7.40±0.05)付近で最大活性します。ですが食べ物を消化するために強い酸性を保っている胃酸で働く「ペプシン」は、強酸性(ph1.5~2.0)の環境下でよく機能し、中性付近では働きません。
こうした性質を備えているのは、酵素が動物の体内でフルパフォーマンスを発揮するためと考えられています。
pH(ペーハー)とは?
出典:https://eijingukea.nahls.co.jp
pH(ペーハー)とは、水素イオン濃度指数のことで、物質が酸性なのか、アルカリ性なのかを、具体的な指数によって表したものです。0から14に分けられていてpH7が中性です。
体内酵素と体外酵素
酵素には体内で作られる「体内酵素」と「体外酵素」があります。
体内酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」に、体外酵素は「食物酵素」と「腸内細菌酵素」にそれぞれ分かれます。
体内酵素
体内酵素はもともと体内にあり、食べたものを分解、吸収しエネルギーに変えたり、運動や呼吸、血行促進などの生命活動を支えるものです。
消化酵素
消化酵素は消化を助ける酵素です。
体内に入ってきた栄養素を吸収しやすいように分解する働きをします。
消化酵素には、「タンパク質分解酵素」や「炭水化物分解酵素」「脂肪分解酵素」などがあり、腸内環境を整える作用、新陳代謝を活性化する作用をもちます。
消化酵素の働き
- 腸内環境を整える
- 新陳代謝の活性化
- 便通の改善
- ターンオーバー促進
代謝酵素
2万種類以上もあるといわれている体内酵素のうち消化酵素以外は、すべて「代謝酵素」です。代謝酵素は、あらゆる生命維持活動にかかわっています。
代謝酵素の働き
- 体内に吸収された栄養素をエネルギーに変える
- 古くなった細胞や組織を新しく入れ替える
- 遺伝子を修復する
- 免疫力を調整する
- 有害物を解毒する
- 老廃物を排泄する
消化酵素と代謝酵素は同じひとつの潜在酵素から作られます。
つまり消化酵素と代謝酵素は相互関係にあり、消化酵素を消費すればその分代謝酵素を作る潜在酵素が少なくなるので相対的に代謝酵素の量も減ります。
つまり消化酵素にできるだけ酵素を割きたくない身体は消化に時間のかかる(消化酵素を多く消費する)脂っこいものを受けつけなくなるわけです
体外酵素
体内で作られる消化酵素や代謝酵素に対し、体外で作られるのが体外酵素です。
腸内酵素
腸内細菌が作るのが「腸内酵素」です。
体内酵素は体内の「細胞」が作るのに対し、腸内酵素は腸内の「細菌」が作ります。
腸内酵素の役割は体の調子を整えることです。
しかし「腸」なのにどうして「体外酵素」に分類されるのでしょうか。それは胃や腸といった消化管は「体内の体外」ともいわれるためです。
私たちの腸内には約100兆個の細菌が生息しており、腸内環境を作っています。
腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類が存在し、バランスをとりながら腸内環境を保っています。
善玉菌・・・消化吸収の補助や免疫刺激など、健康維持に貢献してくれる。悪玉菌の増殖、定着を防ぐ。 善玉菌は約3,000種類の腸内酵素を作りだす。
ex.
ビフィズス菌、乳酸菌
悪玉菌・・・タンパク質を腐敗させ毒素を排出したり有害物質を産生したりする。病気の引き金となることも。 ex.
ブドウ菌、ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)
日和見菌・・・善玉菌と悪玉菌のどちらにも属さない。善玉菌が多いときには善玉菌の味方をし、悪玉菌が多いときには悪玉菌の働きを助ける。
ex.
バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌
顕微鏡で腸内を除くと、お花畑([英] flora)」のようにみえることから、『腸内フローラ』と呼ばれるようになりました。
善玉菌は約3,000種類の腸内酵素を作るといわれ、腸内環境が良いほどいい酵素が作られます。通常は善玉菌優勢ですが、悪玉菌が増えると便意や下痢、肌荒れやアレルギーなどを引き起こすことがあります。
そしてマクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球などの免疫細胞は、約60%が腸管に存在します(※)
腸内環境が免疫力や消化機能といった体の調子を左右するので、善玉菌優勢の良い腸内環境を整えること(=腸活)が健康に大事といわれるのです。
※腸管免疫|公益社団法人 日本ビフィズス菌センター用語集
腸内環境を整える方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
食物酵素
食物酵素は食物に含まれる酵素です。消化酵素と代謝酵素は同じひとつの潜在酵素から作られます。
食物酵素の役割は消化酵素を温存し、代謝酵素の量を相対的に増やし代謝酵素をサポートすることです。
「酵素ドリンク」「○○酵素配合」など、市販の健康商品が広告するところの酵素とはすべてこちらの食物酵素ということになります。
食物酵素が多く含まれる食品には
- フルーツ
- 野菜
- 生鮮食品
などがあります。
たとえば生のキャベツに含まれる食物酵素は、消化を助けます。とんかつ定食にキャベツが必ず添えてあるのは、消化を助けるためなのです。
もちろん納豆やみそ、漬物などの発酵食品にも食物酵素は多く含まれます。
酵素の効果
気になるのが、「酵素で本当に健康効果を得られるのか」ではないでしょうか。「酵素はデタラメ」「酵素に効果はない」とする人も多いです。
結論から申し上げますと、酵素に効果はあります。
ただし、酵素そのものに効果があるわけではなく、栄養分としての効果です。
いくつもの研究により、酵素が便秘や疲労改善に寄与することが立証されています。詳しくはこちらの記事で解説しています。
正しい知識で正しい酵素ライフを
酵素はその関心の高さから、誤情報も多いです。たとえば「体内で一生につくられる酵素の量は限られている」という論は実際には何の根拠もありません。ただし酵素は栄養分ですから、過剰摂取すると、肥満などに繋がります。誤った情報に振り回されることなく、正しい知識をもって酵素を摂取し、健康を目指しましょう!
コメント
コメント一覧 (8件)
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