「いつまでも若々しくありたい」世界万国人類みな共通の望みではないでしょうか。実は、老化には「体の酸化」が深く関係しています。そして体の酸化を遅らせ、若く健康であるためのカギとなるのが人間に備わっている「抗酸化力」です。
本稿では薬事法管理者の観点から、
- 抗酸化力の意味
- 体内酸化のメカニズム
- 抗酸化力を高めて若さを保つ方法
などを解説していきます。
目次
抗酸化ってそもそも何だ?
最近、健康食品などでよく見かける「抗酸化」の言葉。「なんとなくは分かっているけど、具体的には何のことか知らない」という人が多いのではないでしょうか。
まずは抗酸化とは何ぞや、というところから解説していきます。
抗酸化とは体の酸化を抑えること
「酸化」と聞いてまず思い浮かべるのが、リンゴの断面が黄色くなる現象ではないでしょうか。ほかにもたとえばスーパーで買ったジュースや果物も、購入して時間がたつと味や見た目が変化しますよね。
これは食品内に含まれる成分が「酸化」していくためです。酸化は身の回りのいろいろなシーンで起きています。
- 釘が錆びる
- 輪ゴムがボロボロになる
- プールの塩素で髪が脱色する
などの現象も酸化が関係しているのです。
同じように人の体も酸化します。体が酸化すると、
- 老化が進む
- 血管が弾力を失う(硬化)
- シミやシワ、肌あれなどの肌トラブル
などの悪影響の他、生活習慣病の引き金にもなるといわれています。
体内酸化の原因は活性酸素
できることなら、いつまでもぴちぴちお肌でシワやシミとは無縁の生活を送りたいものですよね。体の酸化はなぜ起こってしまうのでしょうか。体内酸化の原因と考えられているのが、活性酸素です。
活性酸素とは?
人は酸素なしには生きられません。体内で酸素を消費するとき、同時に“活性酸素(スーパーオキシド・過酸化水素など)”と呼ばれる酵素も発生します。
活性酸素は、本来体内の免疫機能や感染防御などの好ましい役割を果たす酵素です。ところが代謝過程において様々な成分と反応し過剰に増えると細胞を破壊したりがんの進行を早めたりします。
活性酸素も生成量がわずかであれば体内酵素によって分解することができますが、生成量が増えすぎると、分解が追い付かなくなってしまうのです。この活性酸素の産生が抗酸化防御機構を上回った状態を「酸化ストレス」といいます。
【通常の場合】 ・体内に入ってきたウィルスを攻撃 ・細胞間のシグナル伝達 ・排卵や受精 ・細胞の分化 【酸化が進んだ場合】 ・正常な細胞を攻撃 ・がんの進行を早める ・心臓病や糖尿病の引き金となる 同じ年齢の人であっても、見た目も行動も若々しい人もいれば、見た目も老け込み、できることが少なくなっているという人もいますよね。 この違いを生み出すのが活性酸素の働きをおさえる抗酸化作用の力(抗酸化力)です。老化のスピードは40歳代から加速するといわれているのですが、その理由は、40歳代より活性酸素を取り除く抗酸化物質の働きが急激に低下するからと考えられています。 老化を阻止することはできませんが、抗酸化力を高め、老化の進行を遅らせることは理論上可能です。 つまりいつまでも若々しく生活できるかは、体内の抗酸化作用を保てるかにかかっているといっても過言ではありません。では年を重ねても体内の抗酸化作用を保つためにはどのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。 大切になるのが、「体の内」「体の外」両面からのアプローチです。 抗酸化作用のある食べ物を摂取する 活性酸素を増やす生活習慣を断つ 抗酸化物質は「1.活性酸素の発生自体をおさえるもの 」「2.活性酸素の酸化力をおさえるもの」「 3.活性酸素によるダメージを修復するもの」と種類があり、それぞれ異なる役割を担います。 抗酸化物質は1000種類以上あるといわれています。そこで、ここでは身近にある食べ物に含まれる抗酸化物質に絞って見ていきましょう。 特に高い抗酸化作用を発揮するのがビタミンC。ビタミン C は「スーパーオキシドアニオンラジカル」や「ヒドロキシラジカル」などの活性酸素種を消去する作用(※1)を持ちます。 ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEは野菜や果物、芋類に多く含まれます。 (※1)「抗酸化ビタミン C, E によるアンチエイジング|東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チームより 緑茶の「カテキン」ゴマの「セサミン」大豆の「イソフラボン」赤ワインの色素「アントシアニン」柿や紅茶の「タンニン」ルそばの「ルチン」はすべてポリフェノールの仲間です。 なかでも黒大豆ポリフェノールについてはラット実験(※2)でその効果が立証されています。 ポリフェノールはイチゴやブドウ、ベリーなどの果物全般にも多く含まれます。フルーツの場合、皮にもポリフェノールが豊富に含まれているため、皮ごと食べるのがオススメです。 2013年に黒大豆ポリフェノールの抗酸化作用を確かめる実験が行われました。 黒大豆ポリフェノールを主成分とする食品を餌に混ぜ、一日200㎎、 2 週間にわたりラットに投与するものです。実験の結果、高脂肪食を与えたラットでは血液および肝臓組織、大脳組織中の過酸化脂質量を示すTBARS(Thioba rbituric Acid Reac ti ve Substances)の低下が確認されました。 (※2)黒大豆ポリフェノールの抗酸化作用と血流改善作用|農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター カロテノイドは動植物に広く存在する黄色や赤色の色素です。 代表的なカロテノイドは などです。 抗酸化物質を効率よく作り出す最も手軽な方法は食品からの摂取です。ですから、食生活を意識的に見直していくのが良いでしょう。ですが「そんなに栄養のことばかり気にしてられない!」という方はサプリメントで摂取するのもおすすめです。 ただ、通常サプリメントに「抗酸化作用がある」とは表記されていません(もし表記されていたら薬機法違反です。どんどん通報しましょう)ので、サプリメントに配合されいてる栄養素をチェックして判断する必要があります。 【抗酸化作用が期待できるサプリメントでおススメなもの】 抗酸化物質を含んだ食べ物をとって体内の抗酸化作用をサポートするだけでなく、活性酸素の生成量そのものを増やさないことも重要です。活性酸素を増やす習慣をやめる努力をしましょう。 【活性酸素を増やす習慣の例】 タバコ 紫外線 アルコール ストレス タバコは活性酸素を発生させるだけでなく、抗酸化物質であるビタミンCを壊します。タバコの本数を減らす努力をしましょう。禁煙できればベストです。 紫外線がシミやソバカスの原因になることはご存知かと思いますが、活性酸素も大量発生させます。過度の紫外線は浴びないことが大切です。 などの対策をしましょう。 アルコールは分解の過程で活性酸素が発生します。 適度なら健康に良いとされるアルコールも活性酸素の生成量を増やさないためには、なるべく減らしていきたいところです。 ストレスも活性酸素の発生につながることがあります。何かとしがらみの多い現代社会です。 完全にストレスから解放されるのは無理かもしませんが、適度にリフレッシュしましょう。 活性酸素によるダメージを抑えるのが抗酸化作用
活性酸素に好き放題させていては大変なことになってしまいます。そこでヒトの体にはもともと活性酸素の酸化を抑える「抗酸化作用」が備わっています。
抗酸化作用により「抗酸化酵素」などの抗酸化物質が生成され、活性酸素によるダメージを抑制してくれるので私たちは健康でいられるわけです。ところが、抗酸化酵素を作り出す力は20代をピークに低下し、抗酸化作用も加齢と共に減弱してしまいます。老化予防のカギは抗酸化力
エイジングケアの秘訣は抗酸化作用!いつまでも若々しくあるための習慣とは
抗酸化作用のある食べ物を摂取する
体を酸化させないようにするためには、体内における抗酸化物質の生成が重要です。特に高齢者は若年者と比較して抗酸化物質が減少しています。体のなかの抗酸化酵素の生成をサポートするために、体外から抗酸化物質を摂取することが有効です。
身近な抗酸化物質
ビタミンA(β-カロテン)・ビタミンC・ビタミンE
ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEは抗酸化ビタミンと呼ばれ、活性酸素の働きを抑える作用があります。
ビタミンCはコラーゲンを生成するためにも必要な栄養素で、美肌にも欠かせません。ポリフェノール
ポリフェノールはほとんどの植物に含まれる抗酸化成分です。植物が紫外線や乾燥から身を守るために蓄えているといわれていて、特に葉の部分に多く含まれます。
カロテノイド
いまだ解明されていない部分が多い物質で、強い抗酸化作用で知られます。
活性酸素を増やす生活習慣を断ち切る
タバコの本数減らす・禁煙する
紫外線を過度に浴びない
アルコールを控える
ストレスを溜めない
抗酸化作用を高めて末永く健康に
体内酸化を止めることはできませんが、活性酸素を抑えれば酸化を遅らせることはできます。少しでも酸化のスピードを緩やかにして、永く健康的にありたいものです。
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